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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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海底神殿

前回のあらすじ

 ・新しい英霊フィニクスが仲間になった!

 【太陽の墓場】の攻略が思いの外早く完了してしまった。レベリングもかねて現実世界基準で3日ぐらいかけて攻略するつもりがフェルドたちの圧倒的な強さのせいでただのダンジョンマラソンになってしまい、結局すぐ終わってしまった。


 フィニクスの件があったから2日間かかったけどそれがなければ1日、だいたい4時間ぐらいで終わった事になる。


 ひとまずウノにある自分の拠点に戻ってくる。ダンジョンドロップの整理をしようかなと思ったけど、どうせこの後5つもダンジョンを回るんだ。いちいちやるよりあとで纏めてやった方が効率がいいはず!任せたぞ未来の俺!


 さて、未来の俺に細かいことは任せたがそれでも召喚院の依頼の品だけはきちんと回収できているかだけは確認する。もう一度最下層まで行くのは面倒だからな。


 インベントリの中を漁り、【精霊結晶(火):極大】があるのを確認する。よし、これで100階のボスを討伐したことは証明できる。話では極大をドロップするのは100階のボスだけらしいからな。


 1時間ほど拠点で休憩。最下層の宴会で消費してしまった各種料理を作り、【錬金術】のスキル上げをする。もう少しで俺の考える魔道具ができそうなので早めにスキルレベルを上げておきたい。


 そのあとはランザの工房を冷やかしに行く。俺が頼んだ装備はまだまだ時間がかかるようだ。まぁ、現状では必要ないから急ぐ必要はないけどね。どうせこのあとのダンジョンだって俺はマラソンになるんだから(遠い目)


 諸々の予定も完了したのでだらだらする前に次のダンジョンに行ってしまおう。次のダンジョンは【海底神殿】に決めている。


 一度召喚院に飛んでそこから受付で海底神殿への行き方を聞く。一番近い国はここブレイバー帝国。しかし【海底神殿】と言うだけあって海の中に存在するダンジョンだ。召喚院の拠点がある帝都からはそれなりの距離がある。


 しかしここは召喚院。転移陣を管理運営する教会の上位組織でもある。もちろん帝都から海底神殿の近くまでの転移陣もきちんと設置されていた。


 そんなわけで転移する。転移先はなんと人工島とのことだった。もちろん現代の埋立地のようなものではなく、英霊の力と召喚院の溢れる技術力を用いて海底を隆起させて作った海底神殿攻略専用の拠点だ。


 島には宿屋、雑貨屋、鍛冶屋があるのみ。冒険者が多くいる街にあるような娼館はない。どうしても性欲処理がしたいなら帝都に帰れってことだろう。


 雑貨屋には海底神殿を攻略する用のアイテムというよりは海底神殿に行くまでを補助するアイテムを多く取り揃えている。


 例えば1つ舐めれば1時間呼吸が可能な空気飴、【水中行動】のスキルがついた水着などだ。そのほかにも海底までの水先案内人兼護衛の手配もしてくれるそうだ。ここに来る人がそんな護衛とか必要になるのかどうかは甚だ疑問ではあるが。


 ちなみに俺には必要ない。その存在がとっくの昔に忘れ去られていたが俺には六英雄の英霊がついている。クリスタとレインに聞いたところ水中での呼吸や移動は2人がいればなんの問題もないそうだ。


 「水は全て私の支配下よ?」


 と頼もしいクリスタの言葉ももらっている。安心して進めそうだ。


 準備もないし早々に出発!もし、俺がラノベの主人公なら海底神殿にたどり着くまでに慣れない海の中での戦闘でハプニングがあったのだろう。しかしくどいようではあるが俺には英霊がついている。


 水は全て支配下というのは伊達ではないようだった。水流を巧みに操り凄まじい速度で移動する。接敵はクリスタとレインの放つ水流攻撃で引きちぎられるか、多少頑丈な奴は超加速による接近からの剣技でクリスタが粉微塵にしていた。本当の意味で水を得た魚を見た気がするぜ。別にクリスタとレインは魚じゃないけど。


 船でまる1日と聞いていたが3時間で着いた。ダンジョンの説明にあったが実際にこの目で見るとやはり驚愕する。一歩海底神殿へと足を踏み入れると文字通り空気が変わる。そこには空気があり陸上と全く変わらない。そして1番の驚きは本当に海が天井になっており、広大な海底神殿の端々に見える7本の柱がその大海の天井を支えているのだ。


 「これは・・・この光景はゲームの中じゃないと見れないよなぁ。」


 さて、感傷に浸るのはこれぐらいにしてさっさとダンジョンに入ろうか。召喚する英霊は前回に引き続きクリスタとレイン。そして今回はヴォートとユルドラ、そして今回はアルバセロではなくてエルドラとアバドンを召喚してみる。


 エルドラとアバドンの強さはあのルシファーが保証してるのでなんとなくわかるが実際に戦うところは見ていない。アバドンの方はアークに頭が上がらないみたいだけどはてさて。


 2人は眷属召喚みたいなスキルがあるみたいだし数の暴力で索敵して貰えばいいだろう。むしろある程度までの階層なら2人の眷属だけでも進めるだろうしな。よし、マラソンするか。


 「それじゃあ攻略開始するよ。」


 俺の言葉の直後、ドパンと凄まじい衝撃波が走り一瞬にして膝元まであった水が消し飛んだ。そして同時に姿を消す英霊たち。


 「・・・はぁ、索敵ぐらいして行けよな。まぁいいや。マラソンしようっと」


 今回は英霊6人だ。どうせ追いつくのは下の方になるのは間違いない。せっかくだから魔法練習でもしながら進むか。そのまま走っても仕方ないしな。


 【魔力掌握】と【魔纏】を習得してから魔法を使う際の自由度が大きく変化した。もちろん通常のスキルによる魔法ももちろん威力が上がったり速度が上がったりしたが何より現象そのものを操れるようになった。


 つまりスキルという枠組みに囚われない魔法の使い方が出来るようになった。例えば全て炎でできた炎刀なんて技も出来るってことだ。


 今回はこれを使いこなす練習をしてみようか。現象を操るにはイメージが何よりも重要ということがはっきりしている。これまでの魔法は詠唱によるサポートがあるので適当なイメージでも発動したが現象魔法(仮)は詠唱のサポートがないのでイメージが命だ。


 今回は水を支配下に置くことをイメージしてみよう。空中と陸上はなんとでもなるが今の俺には水中で戦う術がない。水深が浅いここで練習だ。


 お手本はクリスタとレイン。3時間も間近で見てきたんだ、出来ないはずはないだろ?


 足元の水に魔力を流す。思いのほか反発が強い。どうやらこの水はダンジョンの壁とか床とかと同じダンジョンの一部と見做されているようだ。だが俺には【太陽の墓場】で地面に干渉して全てを掌握した。たかが足元の水ぐらいなんてことない。


 よし、掌握完了。浮力を最大限に高めて水面に足が着くようにする。そしてその水の塊を動かすイメージを強く持つ。予想以上に魔力を使うがそれでも俺を乗せた水は動き始めた。 

 「成功だ!このままもっと速度を上げていこう!」


 桃が四苦八苦しながら英霊の奇跡を人の身で再現するというこの世界の人々が聞いたら飛び上がるような御技を繰り広げている最中、すでに英霊たちは10階のボスを通りすぎるだけで突破してたのだった!


 桃と英霊たちの差は広がるばかりだ!


 「あ、やべ。夢中になってて進むの忘れてた」


 水面を走るという人類には到底不可能な現象を体験していた俺が新しいおもちゃを与えられた子供のようにすっかり夢中になってしまった。夢中になって1時間もやれば大学生だ、大抵のことはそれなりに形になる。ましてやゲームで魔法だ。体を動かすのではなくイメージの明確さで上達するのだから尚更だ。


 そのまま移動速度を上げ、走る以上の機動力を手に入れた俺は先行している英霊たちが残した上層階の雑魚魔物を狩りながらさらに精度を高めていった。


 ほぼ自由自在に水を操ることが出来るようになり、ふと気がついた時には2時間が経過していた。その間に俺が進んだのはわずかに15階。(これでも一般の冒険者と比べるとソロとしてはかなり早いペースではある)


 英霊たちとの差を考えるだけで気分が重くなる。


 「クヨクヨしてても仕方ない。ここからはフルスロットルで追いかけるとするか」


 その後、脇目も振らずただひたすら進むことだけを考えて攻略すること更に1時間。ようやく俺が英霊たちに追いついたのは70階を超えてからだった。ここまで出番もなくドロップアイテムへと変貌した各階のボスたちには黙祷を捧げよう。


 ちなみに隠しボスは水を支配下に置くクリスタとレインの前にはフリーパスも同然だったよ!畜生!俺の出番はどこだ!


 76階


 この階層に出てきたはリザードマンナイツという魔物だった。ナイツというぐらいなので当然騎士から始まりどんどんどんどん格上の、強いリザードマンが出てくるという非常に厄介な魔物だと【百科事典】先生は言っていた。


 「ここは俺に任せろ。このまま水遊びだけで帰るわけにはいかない」


 戦わせろと渋る英霊たちを召喚主権限で制して最前線に立つ。俺の目の前に一糸乱れぬ行進をしながらこちらに向かってくる無数のリザードマンたち。装備は主に槍だが肉体強度が強く尻尾の威力も侮れない。そして水魔法まで使いこなすという。


 「ま、これぐらいがちょうどいいだろうよ」


 上層階で開発した魔法だが相手が弱すぎてお話にならなかった魔法を試してみよう。一呼吸で俺の周囲の水を支配する。そしてその水を俺の周囲を球で囲むように配置。そしてそれらを超高速で回転させた。


 超高速で物体が動くと空気はどうなるか。その答えは僅かだが真空状態となる。真空状態となった箇所には空気が吸い寄せられる力場が生まれる。


 これを利用したのが俺の今の技。昔どこかの漫画で見た記憶があり再現してみようと思った。


 「さあ、引き寄せられろ!」


 最初はなんとか抵抗していたが水の回転速度を上げる。すると1体、また1体と俺の方に飛んできた。そして俺の周囲を高速で飛び交う水に触れるや否やその箇所から木っ端微塵にちぎれ飛ぶ。


 「魔力は食うがなかなか使い勝手がいいなこの魔法。強い弱い関係なく切り裂ける。」


 俺の周囲を飛び交う水には僅かだが氷の粒が混じっている。これがウォータージェットにも使われている技術を魔法で再現したんだ。この氷に粒のおかげで切り裂ける。


 更にその状態を維持したまま戦列に飛び込めば阿鼻叫喚の地獄絵図。一瞬で隊列が崩壊しリザードマンが逃げ惑う。


 逃すことなく足元の水を操りリザードマンを上回る速度で移動して殲滅。10分ほどでリザードマンキングと討伐してこの階層の掃討が終了。


 魔法を解除して軽いドヤ顔で英霊たちのところに戻ったが、すでにそこに姿形はなく、再び置いて行かれてましたとさ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ゲーマーの端くれという設定なのに、あまりにもドロップアイテムや称号、スキル等の確認作業をしないのが、モヤモヤして気持ちよく読み進めるれないです。
2020/07/29 23:56 退会済み
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