太陽の聖騎士
前回のあらすじ
・太陽の墓場を攻略したよ
ログインしましたっと。
ログイン場所は最後にログアウトした【太陽の墓場】の最深部の100階。ボスのリポップはしないらしい。ダンジョン最深部だけは攻略したら現実世界で24時間理ポップしないらしい。
これまでダンジョンを攻略したプレイヤーは俺しかいない(アナウンスを見逃している可能性はある)ので確かなことは言えないが、ダンジョン攻略、特にボスは時間がかかるのが普通なのでそこで連続プレイ可能時間の限界を迎える可能性が高い。そんな状態から戻るのは時間的に不可能に近いのでそこでログアウト出来るようにって言う運営の配慮だと勝手に思っている。
さてさてそんな考察はどうでもいい。肝心なのは・・・
「この壁画だよなぁ。とりあえず召喚、アーク、レオーネ。」
この2人を召喚するのには意味がある。それはこの街に着いたときの2人の会話が原因となっている。ここまでは空を飛んできた。そして街の近くの森で降りたがその時アークとレオーネがピクリと反応して街の方を振り向いた
『レオーネ、感じたか?』
『えぇ。確かに感じたわ。忘れるわけないわ。あの方の強力無比なあの魔力を』
『やっぱり間違いないか。ってことはこの地に伝わる太陽の聖騎士はあいつで間違いないな』
などなど、明らかにこの地の英霊(と思われる)存在を知っているような会話が繰り広げられていた。
俺の英霊の系統は主に3つ。1つが六英雄神の系譜に連なるものたち。2つ目がルシファー率いる天使と悪魔。そして3つ目がアークとレオーネがいた国の聖女と騎士団。
新しいイベントに向けて六英雄とルシファーは新しく仲間が増えたがアークとレオーネにはまだ新しい仲間はいなかった。伝承ではその太陽の聖騎士の戦いの影響でダンジョンができたことになっている。つまりダンジョンが出来るだけの強力な魔力を持っていた人物と言うことになる。
そう言えばアークもダンジョンのボスだったな。つまり少なくともアーク級の強さを持った人物だったのか?
『ここは・・・あいつの魔力がより強い。もしかして最下層か?桃』
召喚されたアークとレオーネは一瞬でここがどこか察したようだ。やはり太陽の聖騎士とは知り合いのようだ。
「そうだ。ここが【太陽の墓場】の最下層。アークとレオーネが伝承となった太陽の聖騎士と知己のようだったからな。ボス自体は討伐したから攻略はすでに終了しているが、上にある壁画が気になったんでな、ちょっと聞いてみようかと」
『『上?』』
2人の英霊が揃って上を見上げる。俺が見た限りでは壁画の内容はよくある戦いの一部始終を描いたもののようだ。ところどころに謎の象形文字っぽいものがあり判読は不可能だが絵の内容は大勢の魔物の軍勢を前に1人の聖騎士が死力を尽くして街を守ったって話だろう。
『これは確かにあいつのことが描かれてるな。レオーネ、読めるか?』
『なんとか読めるわね。えーっと、【我が身、我が魂、燃え尽きようとも絆は燃えず】かしらね』
『あいつらしいポエムだな。この壁画をきっとここを作ったあいつの魔力が刻んだものだな。桃、あいつを英霊として召喚できるか?街一つをたった一人で、命がけで救ったんだ。英霊たりえる資格はあると思うが』
実はこのダンジョンに入る前からそれとなくではあるが英霊召喚が出来そうな場所を探していた。しかし今のところポップアップは出てこない。
「いや、今のところはその気配はない」
と、アークに答えた時だった。
<条件を満たしました。太陽の祭壇が現れます>
突如としてアナウンスが流れ、天井の壁画が割れた。その割れ目からゆっくりと何かが降りてきて俺たちの前で静止した。
「条件を満たした?それに太陽の祭壇って言ったか?」
太陽の祭壇と呼ばれたその台は確かに祭壇のように精密なレリーフが刻まれていた。そしてその中央には何か棒状のものを置くようなー日本刀とか置くような台を想像して貰えばいいー場所があった。
「うーん、これはここに何かを置けばイベントが始まるっぽいけど何を置けば?」
『桃様、この祭壇からはあの方の魔力を感じます。先ほどの神の声にあった”条件”がもし何かあのかたに由来するものを持っていることなら、何かをお持ちなはずです。』
レオーネの助言を聞き、インベントリの中を確認することにする。適当に放り込んでいたのでまずはそれを整頓して検索機能で”太陽”と検索してみる。
「ビンゴだ。多分これだろう」
検索に引っかかったのは「太陽の斧剣」と言う武器。入手順に並べてみた結果、一番上に来たので多分100階の隠し部屋にあった宝箱から手に入れたものだと思う。まさかこれがトリガー?普通にしてたら無理じゃね?手に入れるの
インベントリから太陽の斧を取り出す。
「これに見覚えは?」
『あいつの神器だな。小さくなってるけど』
『ですね。サイズは可愛くなってますが』
2人のお墨付きももらったことだし祭壇にセットする。すると太陽の斧剣から魔力が祭壇へと流れこみ光と熱を放つ。
『懐かしいな!この溢れんばかりの超攻撃的魔力!』
珍しくアークが獰猛な笑みを浮かべている。こんなキャラだっけ?
祭壇が次第にひび割れ、中から現れた人の手(!)がガシッと捧げられていた斧剣を掴んだ。直後祭壇が弾け飛び、中から見上げるほどの大男が姿を現した。
『我の眠りを妨げるとは、なんと愚かな・・・その犯した罪の重さを悔いながら死になさい。』
刹那、俺ですら身動きできないほどの圧倒的魔力が物理的なプレッシャーとなって襲いかかる。その魔力が掴んだ斧剣に収束し、威圧され動けない俺目掛けて振り下ろされた。
『はっ!その傲慢なところは死んでも治ってねぇか!【全反撃】!』
俺たち3人の中で唯一反応したのはアーク。禍々しい闇の魔力を全身に張り巡らせ装備みたいに変形させ、同じく闇の魔力で構成された翼で瞬時に俺の目の前に飛び込んできた。
太陽の聖騎士(仮)から放たれたのは太陽と錯覚するほどの熱量を持った火球。しかしアークはそれを弾き返した。
『・・・我の攻撃を跳ね返すそのあまりにも不遜な行為。そして傲慢にも我を見上げるその視線。団長ですか?』
『やっと正気に戻ったようだな、フィニクス。いきなりそのなりだ。もう少し時間がかかって久々にお前とガチでやれると思ったんだがよ』
『この我とガチでやる?なんとも烏滸がましい。・・・ですが懐かしい』
『だな。』
『それで団長、この地で命燃え尽きダンジョンに囚われている我に今更なんのようだ?それに団長だって、そこにいるレオーネ王女だってもうとっくに死んでいるはずだが?』
『それなんだが、詳しく話すと長くなるんだが・・・』
そこからレオーネも交えて現状をフィニクスに伝えている。その間で俺は動けるようになったので、さっきの戦闘(?)を思い返す。
フィニクスから感じる魔力ははっきり言ってルシファーのそれに迫るほどだった。アーク、レオーネと話してる今はさほど強大な魔力は感じないがあの時は俺が気圧されて動けなくなるほどの魔力だった。
「・・・やっぱりまだまだ世の中には強え奴がいるんだな」
思わず独り言をこぼす。あの場でアークが飛び出してくれなければ確実に死んでいた。まさに九死に一生だな。
そしてアークも【全反撃】の魔力バージョンを使えたのか。英霊自身の力もまだまだ知らないことがたっぷりあるなぁ。どこかで一度まとめなきゃな。
そんなことを考えているうちにアークとレオーネによる説明は終わったみたいだ。
『なるほど、あなたが団長と王女様を従える召喚騎士ですか。あの団長と王女が誰かの下につくとは。これも時代ですか。いいでしょう、我も元七つの大罪の一員、団長が認めるのであれば我も力を貸そう。せいぜい使いこなしてみることだな。』
<お知らせします。ダンジョン【太陽の墓場】のシークレットボス、『太陽の聖騎士フィニクス』が初めて攻略されました>
<『太陽の聖騎士フィニクス』を最小人数で初攻略しました。>
<この情報は秘匿されます>
<称号【傲慢を超えし者】を獲得しました>
<特別な条件を満たして攻略しました。称号【太陽の主】を獲得しました>
<特別な条件を満たして攻略しました。スキル【火魔法】が【火魔導】へ進化しました>
<『太陽の聖騎士フィニクス』の初回攻略報酬として『傲慢の宝玉』を獲得しました>
<『太陽の聖騎士フィニクス』を最小人数での初攻略の報酬として称号【不死鳥の寵愛】を獲得しました>
おっと、久々にロングアナウンス。いろいろまた手に入ったみたいだな。そしてフィニクスの言動の節々から感じられたあの傲慢な言動。やはり七つの大罪、傲慢の罪を背負う者だったようだ。
まぁ、何はともあれこれで【太陽の墓場】は完全攻略だな。新しく七つの大罪の英霊も集まったことだし、万事OKでしょ!
さて、あと回らなきゃいけない場所が5つもあるしサクサク進もうー!
運営の想定!太陽の聖騎士攻略法!
1、七つの大罪に関連する物(存在)をなんでもいいので太陽の墓場の100階に存在させる(祭壇登場条件)
ちなみにこれは壁画を見て街で調べればわかるようになっているらしい
2、太陽の斧剣を入手する(100階の隠しボス攻略・難易度激ムズ、推奨レベル200以上)
3、復活したフィニクスと戦う
ここがやばいよ公式フィニクス
1、登場シーンで威圧+広範囲殲滅級攻撃
2、火属性なのに水・氷無効
3、戦えば戦うほど能力上昇+時間を追うごとに増える地形の炎熱ダメージ+最終的にはミスリルでも溶けるほどの高熱の肉体となる(ただしこの状態で戦えるのはほんの数分)+HPが10%切ると1分間無敵と全範囲殲滅攻撃が来る
桃の特別な条件
1、【太陽の主】→1人での攻略
2、【火魔導】→ノーダメクリア。(こっちの方は実は簡単。フィニクスの片思い相手の家の子孫の女性が街にいるので連れて来れれば達成可能)




