第十九話『頭に残る言葉』
どうも!
まだちゃんと、日曜日です。
今回は、蒼依がメインのお話。
是非最後まで読んでいってください!!
「…あれ?ここ、どこだろう……」
目を覚ますと僕は、見知らぬ白い場所に居た。
訳が分からず、意識が無くなった直前の記憶を思い起こす。
確か、車に轢かれて…気づいたら異世界に居て……、魔王に会って、森に鷺を助けに………。
「そうだ!鷺!!鷺は何処に!!!」
「ふふふ、君達は此処へ来る度にそう言うね」
僕が慌てて起き上がると、いつの間にか後ろに居た存在から、いきなり声が掛かる。
振り替えると、そこには魔王様の様な白髪に赤い瞳の女の子が居た。
「え、誰ですか……?」
そんな質問を聞いた女の子は、白い椅子に座りながらティーカップを口に運び、僕に笑い掛ける。
「ボクかい?ボクは女神、『白き約束の女神』だ。
君達をこの世界に招いた存在だよ」
「僕達を異世界に………なら………」
もしかして、僕達を轢いたあの無人トラックは、目の前に居るこの女の子が……?
この女の子の所為で、鷺が………。
考えたくない。でも、本当にそうなら、フツフツと怒りが湧いてくる。
「おっと、下手な事は考えない方が良いよ。こう見えてボクは、君より強いからね」
女神様は笑顔のままそう言って、お菓子を口にしている。
「分かってます、女神様より僕は弱い。だから一度、鷺を失った。
でも、今度こそ失わない。貴女に殺させない」
もうあんな思いはしたくない。
強くなる。強くなって、鷺をこの女神様から守る。
「ふふふ、別に構わないよ。ボクはボクのやり方で動く。君も好きに行動すると良い。
さて、そろそろ君の想い人も目覚める頃だ。君の事もある程度理解出来たし、この世界から目覚めてもらおう」
「!?」
鷺が目を覚ますってこと……?
じゃああの後、魔王様は鷺を助けてくれたんだ。
良かった……。
そう思ったその時、僕の体が白い光に包まれる。
「安心してくれ、夢から覚めるだけだ。
それと最後に、魔王は人助けをしない。するのは虐殺と独裁だ。ボクはそれしか許していない」
「……え?」
それって、どういう意味……?
「ふふ、どう受け止めるかは君次第だ」
女神様はニヤリと、魔王様と同じ様な不気味な笑みを浮かべながら、僕に言った。
そして、そんな笑顔を見ながら僕の意識は、この白い場所を後にした。
・・・・
・・・
・・
・
「さ、ぎ…?いや、女神様……?」
ベッドに寝ながら、微かに開いた目で見えた存在に対し、僕はそんな風に口を開く。
そんな、少し寝ぼけた僕の言葉を聞き、寝ていた僕の横に座っていた女の人は、とても愉快そうに笑った声が部屋に響く。
「残念、不正解。俺は四季、魔王だよ。
悪かったな、最初に見るのが俺で」
魔王様はそう言って、立ち上がった。
「ま、魔王様…!?」
予想外の出来事に驚き、慌てて上半身を起こす。
同時に、あの白い場所での記憶が甦った。
"魔王は人助けをしない"その言葉が、どうしても頭の中に残る。
どうして、僕達を助けてくれたのか……。
その理由が、分からない………。
「どうした?まだ辛いなら、無理して起きなくても平気だぞ?」
少し考え込んだボクを見て、魔王様は心配そうに僕に優しく声を掛ける。
これも、何かの策略だったりするのだろうか……?
いや、こういうのは止めよう。
少ない情報で人を決めつけるのは、あまり好きじゃない。
僕は、僕の知っている魔王様を信じたい。
「いえ、大丈夫です。それより……」
「鷺だろ?隣の部屋だ。あっちもすぐに目を覚ますから行ってこい。
お前の目覚めてから最初に見たのは俺だったが、お互いに想い人の方が良いだろ?」
すごく楽しそうな魔王様はそう言うと、ベッドから降りて立ち上がった僕の背中を力強く押し出した。
僕もそれに答えるように、元気良く声を上げる。
「はい!行ってきます!!」
そうして、僕は鷺の寝ている部屋に、走って向かった。
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勢い良く出て行った蒼依を見た後、俺は再び椅子に座る。
「今回は蒼依が良い奴で助かった。女神さん、そんなに俺の敵を作りたいのか?」
流石に今回のは露骨過ぎるだろ……。
まぁ、嘘ではないけどさ………。
「そろそろ、異世界人を受け入れる環境が必要、か………」
そうと決まれば、これから少し忙しいな。
寝るのは一週間後ってところだな………、さらば、平穏な日々。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
前回、蒼依と鷺のお話だって言ったのに、結局そこまで行きませんでした……。次回こそ、間違いなく蒼依と鷺のお話です!
四季もいろいろ覚悟を決めたかな?
次回は来週の土曜日、19時以降に投稿します。
お楽しみに!!




