第九話『空に昇る魔力』
どうも!
昨日投稿出来なくてすいません。
今回は、四季達が転移した場所でのお話です。
是非最後まで読んでいってください!!
「上手くいったな爺さん。てか、よく俺が合図を待ってるのが分かったな?」
俺は転移してすぐ、イトスの爺さんにそう声を掛ける。
「ふっ、あそこまであからさまに視線を送られれば、どれだけ弱い魔獣じゃろうと気づく。ワシが気づくのは必然じゃろう。
しかしお前さん…、以前見た時より随分と雰囲気が変わったの?」
神獣は死ぬ度に、新たな世界に誕生する。
俺はこれまで、イトスの爺さんが存在する世界を、何回か攻略したことがある。
だから一応、お互いに顔見知りだ。
「爺さんがそう思ったって事は、俺の演技が凄かっただけさ。
今は取り繕う必要もないからな…、変わったんじゃなくてこっちが素なんだよ……」
人類文明が無い今、俺が魔王らしく振る舞う必要は無い。
そのお陰で今は自由に人助けが出来るし、かなり気が楽だ……。
「そういう事か……、理解した。お前さんも苦労しとるんじゃの……」
「まぁそれなりにな………。さて、いろいろ聞きたい事はあるが、とりあえず鷺だ。爺さんが看ててくれたって事は、もうあの子に初魔熱の薬は飲ませてくれたのか?」
一番の危機がとりあえずさったし、次に気になるのはそこだ。
蒼依も熱は出てるが、初魔熱ってレベルじゃないんだよな…。
確実に魔力を使うのは初めての筈なのに……。
「あぁ、その事なんじゃが……鷺という娘、おそらく魂の器をいじられとる。薬は飲ませたが、熱の引きが異様に遅い。加えて、特異過ぎる特殊能力を持っておる。このままじゃと危険じゃ」
またやったのか……女神ちゃん………。
悪いけど、その子はまだ殺させないぞ………。
主人公の思い人が死んで、主人公が強くなる。なんて展開、俺は大嫌いなんだ。
あんたが望むその展開、変えさせてもらう。
俺はそう思い、覚悟が決まった。
「……なるほど、分かった。
イトス、蒼依と鷺を『魔力障壁』で守っててくれないか。出来る、よな?」
「ん?当然じゃ、出来る。が、何をする気じゃ魔王」
態度が急に変わった俺を、少し不機嫌になったイトスが睨む。
「こうやって話してるときは、四季って呼んでくれ。俺の家名だ」
「ふっ、良いじゃろう四季。じゃが、それでワシの森に被害が出たら、ただでは済まさんぞ」
そう言って、並みの神獣が怯む威圧を放つイトスを視て、俺は笑う。
やっぱり神獣は怖いな……だが、覚悟が決まっている俺に、お前ら程度の威圧は効かねぇよ。
そして浮かべる。
「安心しろよ、イトス。
少し、本気を出すだけだ。異世界人、任せたぞ」
そう言いながら、演技ではない、どこかの女神と瓜二つの不気味な笑顔を、四季は無意識に浮かべる。
その笑顔を見て、イトスは自分の判断に安堵する。
(こりゃ……、敵にせんで良かったわい………。あの笑顔…、ワシじゃあ勝てんのぉ………)
「任せい、色は?」
「赤でやる」
少し集中し始めた俺は、そう端的に答える。
「そうか、じゃあワシは青じゃの」
そう言ったイトスが青い魔力を大量に練り出し、『魔力障壁』として、蒼依と鷺を包んだ。
よし、準備完了だ。
〈分かってるよな、マオ。……奪うぞ!〉
〈うん、一緒いくよ!!〉
マオのそんな念話とともに、膨大な赤い魔力が空に昇る様に表れた。
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「ハッハッハッハッ!!!!!
そういう事か四季!!良かろう!今から行く!!」
突如表れた赤い魔力を視て。
帰路に就いていた波動竜が、四季の意図を理解し、上機嫌に大きな声で言った。
「おい待て!いい加減にしてくれ!!俺は休みたいんだ!!」
当然そこには、無理やり連れてこられた桃太郎が居て、全力で反論する。
が、
「何を言っている桃太郎!我が盟友のピンチなのだ!!
あの娘より早く行かなくてはならん!!休んでいる暇は無い!!!」
桃太郎の反論など聞いている様子は無く。
意見が全く変わらない……。
「ピンチって……、このバカみたいに膨大な魔力の事か……?
しかもこの赤い魔力、どう見ても北の森からだ……。という事は、はぁ……戻るのか………」
「当然!では行くぞ!!!ハッハッハッハッ!!!」
それを聞いた波動竜は、雷速で走って行ってしまった。
「あぁもう分かった!だから待て!!」
桃太郎も『身体強化』で肉体を限界以上に強化し、雷速と同等の速度で走って波動竜を追いかける。
こうして桃太郎と波動竜は、赤い魔力の中心、北の森に向かって走り始めた。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
逃げて、逃げて、逃げて、四季達の状況は良くなったのか?
赤い魔力とは?
次回は今日の19時に投稿予定です。
お楽しみに!!