第八話『三十六計逃げるに如かず』
どうも!
遅れてすいません、水曜日の投稿です。
今回はゼオセヴィアが分かります。
東の森の戦いがどうなるのか?
是非最後まで読んでいってください!!
「よぉ!こうして会うのは初めてだな、神獣の爺さん。異世界人を受け取りに来たぜ!!」
そう言って俺は、鳴り響いた神雷とともに、突如洞窟内に出現した。
時間は、少し前に遡る。
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・・
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3000を越える魔獣からの逃走も、とうとう俺達は追い詰められていた。
「ちょっと四季さん!!囲まれちゃいましたよ!?」
「言われなくても分かってる……」
蒼依が焦りながら言った言葉に、俺はそう力なく返す。
一匹一匹は弱いし、無理やり進む事も出来る…。
だが、時間が掛かり過ぎる……。
……仕方ない、か………。
本当は北の神獣に残しておきたかったが、それでもう1人の異世界人を助けられないなら仕方ない!
「どうするん、ですか…?」
「……しゃがめ!蒼依!!
魔法で消し飛ばして、穴を作る!!」
魔力不足による疲労で、異常な汗を流す蒼依に、俺はそう告げ、右手を突き出しながら宣言する。
「術式、限定反転!『三式魔力砲』!!!」
出現した三重の魔法陣から、一方向に打ち出された膨大な魔力が魔獣を消し去り、狙い通り、囲いに穴が生じた。
そこへ俺は蒼依を担いで突っ込み、全力で走る。
よく勘違いされるが、ナビィさんの行動には意味がある。
その1つとして、この世界来てから、俺への攻撃が増えた。
これはきっと、『万能:八式結界』で魔力を貯めろって事だ。多分、きっと、そうであってください………!!
兎に角、俺は少しずつ自分に『万能:八式結界』を壊さない様に張り続けて、今日ようやく魔力が貯まったのに……、北の神獣、まじで許さねぇ………。
最初に大技叩き込んでやる!!!
と、意気込んでみたものの、膨大な数の魔獣が消えた訳じゃない。
気をつけて進むぞ……。
俺が捕まらない様に道を進んでいると、蒼依が申し訳なさそうに口を開いた。
「………すいません。僕、もう体が、動かなくて……」
「あぁ?何言ってるんだ。蒼依は良くやってる。寧ろすげぇよ、良くここまで耐えた!
お前が優先するのは自分の命だ。今は気にせず休んでろ!」
ったく…、素直に休んでりゃあ良いのにな……。
俺なんて初めての『身体強化』は2分しか続かなくて、ナビィさんに文字通りミンチにされたからな……。
これが、若者の愛の力か……すげぇな。
そんな事を考えながら走っていると、マオから良い知らせが舞い込んできた。
〈マスター!見つけた!!すぐ転移するからジャンプして!!〉
〈待て!座標だけ教えろ!!東の神獣は用心深い。呼ばれるまでは『魔王眼』で視て、転移しない方が良い!!〉
転移したと同時に"ゼオセヴィア"で焼いてやる!!
〈わ、分かった、座標送る…〉
少し戸惑った様子のマオから、東の神獣の居る座標が送られてきた。
俺はその座標を『魔王眼』で視る。
このあとは簡単で、イトスに呼ばれると同時に俺が転移して"ゼオセヴィア"を使い、空中に投げ飛ばしていた蒼依を、地面に着く前にこちらへ転移させてキャッチする。
・・
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そして今に至る。
俺は熱と疲労でまともに動けない蒼依を、鷺のもとへと届ける。
「鷺!!はぁ……良かった………」
蒼依も寝ている鷺が生きている事に安堵し、鷺の手を握って、隣に寝ている。
よかったな蒼依…。
よし!後は城に帰るだけだ。
「随分と立派な剣を持っているじゃないか。
魔力は大丈夫なのか?ワシも今はお前さんに渡す余力は無いぞ?」
「大丈夫だ。"ゼオセヴィア"はどっちにしろ、今日はもう使えない」
魔王専用の世界顕現武器『ゼオセヴィア』。
破剣であり、魔剣であり、覇剣。
その剣に正確な形はなく、顕現したその状況によって、最も対象を破壊出来る剣へと変化する。
また、称号『魔王』をもっていないと、顕現した者ですら殺す剣でもある。
その絶大な力の代わりに、1日2回しか振れない。
今回、俺は初めてこの武器を使ったが…、この制約を掻い潜るのは、かなり難しそうだ……。
「そうか、なら安心じゃな……」
「それよりその口ぶり……、やっぱり生きてるの……、あいつ……?」
俺は、ボロボロに壊れている黒い炭の塊を見ながら言う。
出来ればこれで退場して欲しいんだけどなぁ…。
「当たり前じゃ。あの程度で死ぬのなら、ワシらは神獣ではない」
イトスの爺さんがそう言うとほぼ同時に、黒い炭の塊が集まり、どんどんと再生されていく。
「そうだよなぁ……、神獣殺しって割と面倒なんだよなぁ……はぁ………。で、策はある?爺さん」
「無理じゃな。今のワシらじゃ、死なず死なせないのが精一杯じゃ…」
イトスは、俺の顔を視てニヤリと笑い、そう答えた。
どうやら爺さんは、俺の考えに賛成の様だ。
「おぁぁりゃぁあぁぁぁぁ!!!
今のは効いたぜ魔王!!
まだ隠し玉あるんだろ!!使ってみろよ!!」
互いにどうするか決まったちょうどその時、イビノスは雄叫びを上げながら完全に全身を再生した。
「んじゃ行くぞ!!爺さん!!」
「おうさ!!」
魔力を爆発的に高め、俺とイトスは笑う。
その神獣すら少し恐れる程の魔力を集結させた俺達を視て、イビノスは楽しそうに牙を見せて笑う。
そして、俺は言う。
「逃げるぞ、爺さん」
「分かっとるわ。じゃあの、イビノス」
「………は?」
呆けた顔をしているイビノスに、俺は出来る限りの不気味な笑みを浮かべる。
「そんなバカ正直に戦う訳ねぇだろ。ばぁぁぁか!」
「てめぇぇぇらぁぁぁぁ!!!!」
自分が弄ばれた事に気づいた、イビノスのそんな声を聞きながら、俺達は空間ごと転移した。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
彼は勇者ではありません、英雄でもありません、たとえ大事な戦いでも、彼は何度でも逃げます。
でも、だからこそ彼は負けません。決して勝てない相手でも、負けません。
今回は、そんな彼が分かりやすいお話です。
次回は土曜日の19時に投稿します。多分!
お楽しみに!!




