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第六話『もう1人の来訪者』

どうも!

遅れましたが、なんとか土曜日です。


今回は、鷺の視点のお話です。


是非最後まで読んでいってください!!

「あ!鷺お姉ちゃんだ。おはよー!」


 学校への登校途中、同じく登校途中の小学生が、私に元気良く挨拶した。

私もその小学生に、元気良く挨拶を返す。


「うん!元気な挨拶良いね!おはよー!」


 私、知草 鷺(しりくさ さぎ)は、この町では少し有名な普通の高校生。


 困ってる人を見過ごさない様にするのが、私の座右の銘だ。

最初は()()()()()があってそうしていたけど、今では自然と体が動いて、みんなの手助けをするのが、私の日常だ。


 そして、そんな私は今、恋をしている。


「あ、そうだ蒼依!私明日から部活の朝練で……その………」


 そう私は幼なじみの、茨城 蒼依(いばら あおい)に話しかける。

中学生の頃は関係が拗れて、一緒に登下校が出来なかったけど、いろいろあって、今はまた一緒に登下校をしている。


 彼が、私の座右の銘の理由、そして、私の好きな人だ。


「そっか、もう大会近いもんな。分かった、いつも通り、明日から俺も早く登校するよ」


 蒼依はそう言いながら、横を歩く私に笑いかける。

 ここは私の特等席、誰にも渡したくない。


「うん。あがりと!しっかり起きてよ!!」


「分かってるよ、流石に2日連続で寝坊はしないって」


「そんな事言って、寝坊したら許さないからね!」


 やった!

朝練の期間も、蒼依と一緒に登校出来る!!


「ちょっと?歩くの速くなってない?」


「速くなってない!蒼依が遅くなったの!」


 本当は嬉しくなって歩くのが速くなったけど、こんな事に嬉しくなってるのが恥ずかしいの!


 もう!蒼依のバカ!!

最近はたくさん女の子と仲良くなってるし!

私が一番最初なのに!!


 私は、そんな恥ずかしさと嫉妬に夢中になって、蒼依より先に交差点に着き、立ち止まる。



「ねぇ鷺、…………ん?」


 少しして、私に追いついた蒼依が、そんな風に声を掛けた。


 気になって蒼依の居る方に振り向いてみると、さっき私に元気良く挨拶した小学生を、青ざめた様子で見ている。


「どうしたの、蒼依?何であの子達を見て……!!」


 そこで私も気づいた。

無人のトラックが、小学生達に迫っている。


 待ってて、蒼依!

私が助けてくるから!!


 私は、急いで小学生達の居る場所に走った。


「みんな!ここから離れて!!早く!!」


 その場所に着き、そう言って小学生達を逃がす。

なんとか間に合い、後は私もここを離れるだけ。


 しかし、少し焦ってしまった所為か、足をつまずいて転んでしまった。


 すぐに立とうとするが、その途中で目の前に迫るトラックが見えてしまい、()()()()()()()()()


 駄目だ…、間に合わない……。

私……、死ぬ………。ごめんね、蒼依………。


 そう私が思った時、蒼依が倒れている私の手を掴み、私を助けようと、現れた。






 蒼依は、私にとってヒーロー()()()

もちろん今も優しいし、誰にだって手助けをしてしまうお人好しだけど、小学生の時はもっと、人助けをしていた。


みんなを助けるヒーローになりたいといつも言って、いろんな事をしていたし、()()()今の私よりも、町では有名な男の子だ。


 でもある時、蒼依は失敗してしまった。


クラスに居た、いつも服で隠れる体の部位に痣がある子を、蒼依は助けようとした。


 しかし、当時小学生の蒼依に逆上したその子の父親が、いつも以上に厳しい虐待をした結果、その子は死んでしまった。

それからか蒼依は、作り笑いをするようになり、誰かを自分から助けるとは、一切言わなくなった。


 だから、私が助けるんだ。

蒼依が助けたいって思う人達を、代わりに私が助けるんだ。


 そしたら昔みたいに、作り笑いじゃない心からの笑顔を、私に見せてくれるよね……?






 もう、2人は助からない。

でも1人なら助かる方法がある。私が蒼依を突き飛ばせば、トラックには轢かれない。


 そう、ここから突き飛ばせば………。

そんな風に決心して……、蒼依を……、()()()()()()()


 ……………………嫌だ、よぉ……。

私……、蒼依と離れたくない………。


 そんな風に思いながら、私と蒼依は、トラックに轢かれた。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





「おや?君だけかい?

そうか、彼は()()()()()()()()()()……」


 そんな声を聞き、私の意識がはっきりと目覚めた。


「あれ?ここ…何処?」


 私、轢かれた筈………。

それにこの子、誰だろう……、見た目は子供なのに、何か変な雰囲気を纏ってる………。


「ここはボクの『白い世界』だ。

君達2人を招待したんだけど、どうやらもう1人は自分で能力を手に入れて、先にに行ってしまったようだね」


 私の疑問を聞き、その女の子はそう話し始める。


「もう1人……!!蒼依!!蒼依が居ない!!貴女は蒼依が何処に居るか知っているの?」


 私、私が突き飛ばさなかった所為で、蒼依は死んでしまった。

早く会って謝らなきゃ……。


「そんなに焦らなくても平気さ。後に君も同じ座標に転生させるからね」


 目の前で椅子に座っている女の子はそう言い、紅茶のようなものを飲んだ。


「転生…?貴女は神様なの……?」


「そうだとも!ボクは『()()約束の女神』。君達の魂をここへ呼んだ者だ。そして君に力を与える者だ」


 女神様はニヤリと、どこか不気味な笑みを浮かべながら言った。


「力を与える……、私に?」


「そう君に。

本当は君と彼の2人に分けて与えたかったんだけど。仕方ない、君に両方与えるよ。

その代わり、ボクと約束をしてもらう」


 そう言うと、女神様の纏う雰囲気が更に不気味になっていく。

 この雰囲気……間違いなく私を利用するつもりだ。


「その力があれば、蒼依を助けられる?もう、蒼依を死なせたくないの」


「もちろん助けられるとも!フフフ、その気持ちがあれば、必ず適応する」


「なら私は、貴女と約束する」


 たとえ利用されているのだとしても、蒼依と一緒に居られるなら、私は構わない。


「そうか、じゃあ約束だ。――――――――――――」


 そうして、私は約束をし、異世界に転生した。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





「ううん……、あ、蒼依!?何で抱きつい……、あれ?私、生きてる……?」


 私は蒼依が抱きついてる事に慌てながら、自分が生きている事を自覚した。

鏡を見なくても、自分の顔が赤くなっていると分かるほど、感情が高ぶっていた。


 何か夢を見ていたような………。


「うん。良く分からないけど、そうみたい。とりあえず、鷺が生きてて良かった……」


 安心した様子の蒼依を見て、私も安心する。

だからこそ、死ぬ前の蒼依の行動が嬉しくて、とても悲しい……。


「私もだよ、蒼依が生きてて良かった……。ありがとう。でももう、あんな事しないでよ。私を助ける為に、命を犠牲にしないで………」


「それはこっちのセリフだよ。無茶しないでよ……」


 お互い様か……、それよりここは何処かの森……?


 そう考えていたその時、『白い世界』での記憶が甦る。

更に、女神様から与えられた、特殊能力を認識する。


 特殊能力: 『全てを持つ者』。

本人に必要で、更に欲しいと思った才能、技術に対応する全ての知識及び技能を獲得する。


 これが私の能力。

なら試しに、『英雄眼(特殊スキル)』と『魔力感知(スキル)』を獲得して…!?


「!?蒼依、今すぐここを離れて!

良い?この先にずっと真っすぐ行けば多分助けてくれる人が居る。その人に助けを求めて」


魔力感知(スキル)』に、とてつもない力を持っている何かが、こっちに向かって来ている。

蒼依を助けないと……。


「え、何で急に……?」


 急にそんな事を言われた蒼依は、訳がわからず、困惑している。


 ごめんね、説明する時間は無さそう…。

 でも今度こそ、死なせない。


「いいから、約束したでしょ。次からは私の忠告を守るって。あの時、私の所に来てくれてありがとう。今度は私の番、蒼依は逃げて」


「嫌だ。そんな……あれ……?」


「ごめんね、そう言ってくれるって分かってた。だから、起きたらこの先へ進んで。その人がきっと、助けてくれる」


 名前は分からないけど、『英雄眼(特殊スキル)』がそう教えてくれている。


 だから、生きて。


「待って…………」


 そう小さく呟いて眠った蒼依を私は物陰に隠し、こちらに向かって来る何かに向かって進んだ。


ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。


いろいろお話が動いてきました! 

鷺は何に向かって進んだのか?

四季と蒼依は上手く立ち回り、無事に鷺を助けられるのか?


この小説だけで、他に小説を3作品書いてる気分で疲れますが、頑張ります!


次回は明日の19時に投稿します。

お楽しみに!!

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