第五話『1週間後の来訪者 5 』
どうも!
昨日に投稿出来なくてすいません…。m(_ _)m
この前より、更に文章量が多めです。
森に行く四季と蒼依に待ち受けるものとは?
是非最後まで読んでいってください!!
「おい四季!!起きろ!!!」
「うげっ!?」
波動竜が大きな声とともに、ベッドで寝ている俺に覆い被さってきた。
アホか!?重いわ!!
「お?起きたか四季!!」
「そりゃ起きるわ!起こすならもっと、優しく起こせ!!」
まったく、何処に行ったのかと思えば、こんな風に急に現れやがって…。
振り回されるこっちの身にもなれ…、まぁ無理だろうけど……。
「ん?四季、寝起きにしては珍しく機嫌が良いな。
普段であれば、寝起きの貴様はある程度耐性がなければ死んでしまう程の殺気を放っておるだろう?」
俺が言った事なんて全くきにしていない様子で、顎に手を当てながら、波動竜はニヤリと笑った。
ほらな?話を全然聞かないだろ??
まぁ確かに……、夢で他人の感情が自分の感情と混ざって、いつもそんな事になるけど……。
あれ?改めて聞くとやべぇ奴だな、俺……。
「まぁな……今回は単純に、他人の過去を視ずに寝れたんだ。機嫌が普段より良くて当然だよ」
マオが起きてるから、無意識に『魔王眼』で他人の過去を視ることが無くなって、久しぶりにゆっくり眠れたんだ。
お陰で、勇者の力を使った時に負った怪我も完治した。今なら存分に戦える。
「なるほどな!我も昔、その様な事があった。あの時は1つ世界が消えて大変だった。ハッハッハッ!!」
波動竜は、まるで良くある失敗談みたいに話しながら笑っている。
いや笑えねぇよ!?
そもそも世界って、そんな簡単に消えるものじゃねぇし、もし俺がその世界に居たら、世界攻略失敗じゃねぇか!!
………と、いろいろツッコミたい事はあるが、今は後回しだ。
「それで、波動竜は何をしに来たんだ?ただ俺を起こしに来たって訳じゃないんだろ?」
「うむ!我も森にピクニックに行きたくてな!
連れてってくれと言いに来たのだ!!」
「ピクニックじゃねぇよっ!?
それにお前が来るといろいろ面倒な事になるから、おとなしく温水プールで泳いでろ!」
マオもそうだけど、何でそんな勘違いするの?
あんな危険な森で遊べる訳ないだろ……。
「温水プールは昨日1日泳いで飽きたのだ!
我もピクニックに行きたいのだ!!!」
だから昨日1日居なかったのかよ……。
遊び過ぎだろこの波動竜……、始祖竜って感じがまったくしないぞ………。
「だからピクニックじゃねぇって………。異世界人の幼なじみを助けに行くんだよ。それでも行くのか?」
人間嫌いの波動竜なら、絶対行きたがらないと思ったから誘わなかったんだよ。
「…………ふん!仕方あるまい。今日は桃太郎と遊ぶ事にする。
だが、貴様のそれが終わったのであれば、次はピクニックたからな!!」
波動竜はしばらく無言で考えると、俺に人差し指を突き出しながらそう言った。
「はいはい……、そこら辺はナビィさんに言ってくれ……」
城を外出するのってある程度ナビィさんの許可が必要だからな……。
何でだろう……、俺は主なんだけどなぁ………。
あと頑張れよ桃太郎。
波動竜の面倒は、お前に任せた!!
「うむ!それで良い!!ハッハッハッハッ!!!!」
波動竜は俺のその答えに満足したようで、大笑いしながら、部屋から出ていった。
え、それだけ!?
・・・
・・
・
波動竜に文字通り叩き起こされてからしばらくして、俺とナビィさんと蒼依の3人が、『魔王の間』に集まった。
しかし、波動竜は兎も角、桃太郎まで居ない。
波動竜の奴…、あの後本当に桃太郎の所に行ったんだな……。
桃太郎には悪いから、帰ってきたらご飯を大盛にしてあげよう。
「じゃあナビィさん。そろそろ行こうと思ってるんだが、東の森の神獣には念話出来たか?」
魔王が急に行くと神獣は怒るからな……。
まぁ話を聞かない奴も居るし、あまり意味はないんだけど………。
「えぇ、東と南、そして西の神獣には、念話が繋がりました。我々との共存関係は守ってくれそうです」
ナビィさんは真顔で淡々と凄い事を説明していく。
マジで!?
現在大陸に存在する4体の神獣中、3体も了承してくれたのか!?
それはラッキーだ。こんな事ほとんど無い。
だが問題は……。
「北はどうだ……?」
もし駄目なら、俺が念話してみるか……。
「駄目ですね、話す前に念話を切断されました。おそらく御主人様が念話をするのも不可能でしょう。北の神獣は、我々と対話する気がありません」
そんな俺の考えも含めて、ナビィさんは、否定する。
ヤバイな…、少しイライラしてる……。
これ以上聞いたら俺が被害を受けそうだし、何も聞かないでおこう………。
「そっか……、まぁ3体も了承してくれたので満足するか………。
今回は東の神獣だし、なんとかなるだろ…」
4体の中で一番魔力保有量が大きい、北の神獣が話を聞かないタイプの神獣だったのは後々大変だが、ギリギリ俺より弱いし、俺達に害を及ぼすなら倒すまでだ。
「あの……四季さん、こんなにのんびりしてて良いんですか………?
早くしないと、鷺が危ないんじゃ………」
と、俺とナビィさんが話していると、少し離れた所にたっている蒼依が聞いてきた。
「大丈夫だって昨日説明したろ?
お前の幼なじみの鷺は、今は東の神獣と一緒に居る。よっぽど失礼じゃなきゃ、命の危険は無いよ」
心配性だな…。
俺もお前の過去を視て、ある程度はどんな奴なのか理解してるし、神獣に殺される心配はない。
「そうなんですね!なら…」
「だが、おとなしく渡してくれるかは、お前次第だ」
俺のその言葉を聞いて、蒼依の安心した顔が、また心配そうな顔に変わった。
「え、それって…どういう………」
「主な交渉は俺がするから心配するな。
蒼依が気をつける事は、神獣がどれだけ恐ろしくとも、恐れてはいけないって事だ」
「恐れてはいけない……、僕の方が弱いのに……?」
「そうだ。蒼依の方が弱いし、戦って勝てる可能性は低い。
でも、魔力保有量は『レベル6魔王』に匹敵する。神獣からしたら、お前は自分と同等以上の強者なんだよ。
どうだ、簡単な話だろ?
お前は神獣を騙すんだよ。そして幼なじみを渡してもらう」
魔獣や魔物、魔族や神獣の認識なら、魔力保有量が高い方が強いって認識だ。
「騙すって……、具体的にどうしたら……?」
「何もせず堂々としてろ。
昨日俺に助けを求めた時みたいに、しっかり目を合わせているだけでいい。
渡して欲しい理由も聞かれるから、そこは正直に答えろ。
それだけでいい。幼なじみを助けたいなら、出来る出来ないではなくやれ。それ以外は命の取り合い、お前の幼なじみの安全は保証出来ない」
蒼依の魔力保有量なら、確実に強い部類だし、堂々としていれば、それだけで神獣は騙される。
俺は昨日より、少し強めに威圧をしながら聞いた。
「分かりました、やります」
蒼依はその威圧に歯を食いしばって、しっかり俺の目を見て、堂々と答えた。
合格、だな。
「その顔が出来れば十分だ。行くぞ」
「はい、頑張ります」
俺は笑ってそう答え、蒼依も元気に返事をする。
よし、こっちは準備完了だ。
「じゃあナビィさん!行ってくる!!」
「えぇ、死なないでくださいね?御主人様」
その言い方だと嫌な予感するし、そんなに笑いながら言わないでくれる!?
はぁ………。気を引き締めますか……。
〈マオ!話は終わった。準備してた術式を展開してくれ!〉
俺は予定通り、マオに念話を送り、術式を展開する様に言う。
〈ラジャ~、いくよ~!〉
それを聞いたマオがそう言うと、俺と蒼依の足元に、魔法陣が出現する。
「さぁ、命を懸けろよ、蒼依!!」
術式が展開する一瞬の間に、俺はそう言った。
「…はい!僕は命を懸けて、鷺を助けます!!!」
そう言った蒼依の眼は、決して命を差し出す気はなく。ただ純粋に、幼なじみを助けに行く為に、全力の意気込みを感じるものだった。
その直後、術式は展開し、光に包まれる。
「良く言った。けっぱれよ、蒼依」
既に声は本人に届かないが、俺は静かにそう呟き、目を瞑る。
そして『魔王の魔法回路』を100%で起動し、魔力を全力で全身に回転させる。
戦い方も分からない青少年が命懸けるって、意気込んでるんだ。
おじさんが、全力出さない訳にはいかんよな。
俺がそう意気込むと同時に『転移魔法』が展開し、俺達は東の森に転移した。
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「ッ!?……嵌められた………」
転移してすぐ、俺は森の空気の違いに気づく。
この森に居る全ての魔獣からの、凄まじい殺気。間違いない、罠だ。
「あの、どうしたんですか?四季さん…」
「黙って俺の後ろに隠れてろ。来るぞ!!」
そう言われた蒼依が、慌てて俺の後ろに隠れる。
そして、ちょうど隠れたと同時に、待ち伏せしていた2~3000匹程の魔獣が、俺達を殺そうと襲い掛かってきた。
1匹1匹が、そこそこ強い魔獣だ。
これ、昨日だったら蒼依は死んでたな……。
だけど、
それは悪手だぞ、北の神獣。
俺は明確な敵意に向かって、少し怒りながら、とある『特殊スキル』を起動する。
そっちがそれを望むなら、俺は魔王として、お前達を殺し尽くす。
「こい、"ゼオセヴィア"!!我が敵を殺し尽くせ!!!!」
瞬間、俺達に襲い掛かってきた魔獣は、全て蒸発した。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
遂に魔王が、"ゼオセヴィア"を使いました。
何をしたかは、第七話くらいに分かります。
次回はまた、別の視点、もう1人の異世界人の視点です。
次回は土曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!