第三話『1週間後の来訪者 3 』
どうも!
ギリギリ19時以内の投稿です。
今回の舞台は魔王城。
魔王が異世界人を助けるのか?
是非最後まで読んでいってください!!
「おかえりなさい、御主人様。その子が異世界人ですか?」
城に転移すると、転移した場所に先回りしていたナビィさんが笑顔で言った。
「そうだ、もう1人はまだ森に居る。とりあえず治療してやれ。
かなり疲労しているから、治癒魔法じゃなくて回復魔法で頼むぞ」
この男、服装からして高校生って奴か…?
もう1人の"さぎ"って奴が誰なのかも気になるし、今日中には話を聞きたい。
「分かりました。その間、御主人様は桃太郎の所に行って、こちらへ転移させてください」
「あ、連れてきてなかったのね……。分かった、連れてくる」
畑と田んぼに置いてきぼりか……。
ドンマイ、桃太郎……。
〈マオ。聞いてたか?先に桃太郎の所に転移だ〉
〈オッケ~、もう出来てるから行くよ~〉
マオがそう返事すると同時に、俺は桃太郎の居る場所に転移した。
ナビィさんの事だから、行って帰って来たらもう終わってたりして。
ま、流石にないか……。
・・
・
「遅かったですね、御主人様。もう終わりましたよ。すぐに目を覚ます筈です」
そう言っているナビィさんの目の前には、完璧に『魔力回路』が治されている異世界人が寝ている。
『魔王眼』で視てみれば、なんと元の回路よりも遥かに強力になっている……。
これ、回復っていうか、進化じゃね…。人の領域に片足踏み込んでるし………。
「流石ナビィさんだったわ!!仕事早すぎでしょ!?」
「ふふふ、そんな褒められても、御主人様の腸ぐらいしか引きずり出せませんよ?」
赤面しているナビィさんの右手に、俺の腹から伸びて出た、赤いモザイクが握られている。
え、握られてる!?
「照れてるんだろうけど…、その行為は褒められたものじゃないからね!?と言うか返してよ!!俺の腸!!!」
もう!とんでもないサイコパスだな!!
あ~あ…服が血まみれだ……、これ血が消えるまで時間掛かるぞ………はぁ…。
「いいじゃないですか、減るもんじゃありませんし。寧ろ増えますよ?」
「そういう話じゃねぇよ!!確かに放置してれば増えるけども!!
俺は魔王であんたはその従者!!主のこんな事する従者とかあり得ねぇだろ!!!」
「あり得てますよ?」
何でそんなに笑顔なの!?怖いよ!!
「違ぁぁぁぁう!!
お前も何か言ってやれ!……あれ、桃太郎………?」
会話に入ってこない桃太郎が気になり、振り替えって、視線を後ろに居る桃太郎に移す。
そこでは………、
「うぉぇぇぇぇ…………!!!」
いつの間にか居たアメミの持ってきた袋に、全力で嘔吐をする桃太郎が居た。
えぇぇぇ!!!!
俺の腸を見て吐いてんのか!?
「嘘だろ……、お前村人全員斬り殺したんじゃないの?
それよりはグロくないだろっ!!」
「いえ、グロいですよ?痛がってないのが余計気持ち悪いです」
「うん、そっか……」
どうしてそんな綺麗な笑顔で傷つく事を言うの?
俺、泣いちゃうよ?
はぁ……、もう嫌だ………。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「……!!ここは………?」
目を覚ました僕は、そう言って辺りを見回す。
何かの建物の中……、漫画やアニメに出てくる魔王の城みたいだ。
「お?ようやく目が覚めたか……」
そんな僕にそう、後ろから声が掛かる。
「この声……、あの時会った人!え………」
声の掛かった所に視線を移すと、その女の人は、血まみれの服を着ていた。
何で血まみれ……、隣の人達も、何で顔色1つ変わらないんだ………?
「ん、どうした?まだ具合悪いか…?」
「い、いえ、大丈夫です。あの、血まみれですけど、大丈夫ですか………?」
「あぁ……、これは気にしないでくれ、俺の血だ」
「なるほど……」
え、それって全然平気じゃないような……。
「じゃあとりあえず俺の自己紹介だな。俺は四季、魔王をやっている。一部記憶が無くてな、名前はまだ分からない。
あんたは?」
魔王って、ゲームとか漫画に出てくる、あの魔王……?
と、兎に角!早く答えないと。
「僕は茨城蒼依。高校生で……、そうだ!!幼なじみがまだ森に居るんだ!!!助けてくれ!!」
「それは、俺が魔王だって、理解して言っているのか?」
女の人?がそう言った瞬間、肌がピリピリとする何かを感じた。
あの眼、僕を殺す事に対して何も感じていない様な眼、本当に魔王なんだ………。
でも、ここで意見を変えたら、鷺を助けてもらえない。
そんな事、ここで死ぬより嫌だ!!
「理解して言ってます。
僕の命をどうしても良い!!鷺を、僕の幼なじみを助けてください!!」
全部本心だ。
きっと、ここで嘘を1つでも吐けば、鷺を助けてもらえない。
「お願いします」
僕は額を床に擦り付けて懇願する。
今の無力な僕には、これしか出来ない。
悔しい。でも、それ以上に情けない………。
お願いします。
鷺を、助けてください。
「駄目だな。その願いは叶えない」
目の前の魔王の、そんな無慈悲な一言で、僕は突き放された。
また、失敗………?
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
魔王が何故、駄目だなと言ったのか?
茨城蒼依の幼なじみは、どうなるのか?
次回は明日の19時に投稿します。
お楽しみに!!