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1000回目の魔王様~どう考えても俺より強いんですが、~  作者: 落ち武者
第二章~改めまして魔王です?~
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第三十話『新昔話・桃太郎 5』

どうも!

昨日よりは早くなりました。土曜日の投稿です。


今回も桃太郎の過去話。

前回の最後、その理由が分かります!


是非最後まで読んでいってください!!

  

 それは月へ行く前日の事、俺が山に山菜を採りに行っている間に起こった


 俺は膝から崩れ落ち、地面に転がる犬・猿・キジを見る。


目の前にあるのは、動かなくなった仲間だ。

月へ行く船を守る為に残っていた仲間だ。


 どうして…一体誰が……。

ようやく明日、皆で月へ行ける筈だったのに…。

そもそも何で一方的に殺されたんだ……。


 違う、言ったのは俺だ。

人間への攻撃を禁止したのは俺だ。


"きびだんご"の効果はもう無いだろ!

鬼退治はもう終わってるんだよ…!

何で俺の言葉に従ってるんだよ……!

何で……殺されてるんだよ………。



 従者の死、及び()()()()()を確認。

これより主へのスキルの譲渡を始めます。


「何だこの声は……」


 以前、こんな声を聞いた事がある。

鬼を根絶させた時、頭の中に響いた声だ。


 だからと言って、今はどうでもいいけどな………。




―――――固有特殊スキル『森を統べる者()』を獲得しました。



 うるさい。



―――――固有特殊スキル『叡智ある者()』を獲得しました。



 黙れ。



―――――固有特殊スキル『飛翔する者(キジ)』を獲得しました。



 俺の頬に涙が流れる。

これは、犬・猿・キジがそれぞれ持っていた『種族スキル』だ……。


 いらない……。

こんなスキルなんかより、俺はお前達に生きていてほしい………。





 そんな時、俺の後ろから、とある声が聞こえた。聞こえてしまった………。


「あの()()()()()()()()()()()()()()()()な。

兎に角、これで安心して生活できる。みんな俺に感謝するんだな」


「確かにな、桃太郎様は安心出来るが、おの獣は安心出来ねぇからな」


 そう得意気に言っている男達は、隠す気もなく話していた。

周りの村人達も、言葉にはしないが、明らかに嬉しそうな顔をしている。



 間違いない、この男達が俺の仲間を手に掛けた。

それだけじゃない。

お爺様とお婆様まで殺していた……。老衰は嘘だったのか……!


 この男は、男達は………いや、この村人達は、俺の大切な存在を…、奪ったのか…………。



「いい加減にしろ………」


 俺の怒りに任せた、ただ速いだけの鈍い刀の剣激が、男の体を真っ二つにする。


 周りに居た野次馬達が悲鳴を上げ、逃げ始めた。


「逃がすわけないだろ……」


 逃げ回る村人達を、俺は次々に斬っていく。

女も子供も関係なしに斬り捨てる。


 命乞いをした者には更に怒りが湧き、余計に斬り刻んだ。


 ふざけるな。

お前達は俺の仲間が一方的に殺される所を見ていたんだろ。


ならば、お前達に助けを乞う資格は無い!

俺はお前達を殺し尽くす。



 ・・

 ・



 それから一時間が経った頃、その村の村人を全て殺し、死体の山が出来上がった。


 しかし、その心に残ったのは、復讐する者が居なくなり行き場のない怒りだった。

その怒りが、自分を苦しめる……。


「……分かってたさ。こんな事したって、ただ虚しいだけだなんて、分かってたさ………」


 俺は俺を許せない。

こんなのは八つ当たりだ。でも……。


「仇は…、とりたかった……」



 称号『英雄』、及び()()()()()()()()()を確認。

―――――特殊スキル『殺戮する者』を譲渡します。


 刀を鞘へ納め、しばらく立っていると、これまで聞いたどの声にも当てはまらない、不思議な声が頭に響く。



 殺戮、か…………。


「は、ははは、はははは!

その通りだ。俺は殺戮しかしていない」


 もう、涙すら流れない。

俺は乾いた笑いを無人の村に響かせながら、俺は自分の家に帰った。



 もう、俺は…………。



ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。


仲間を失い、村人を殺し尽くした桃太郎。

お爺様の誓いを果たす為、桃太郎は月へ向かいます。

桃太郎の過去話も次回でラスト!


次回は明日の19時に投稿します。

お楽しみに!!


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