第二十八話『新昔話・桃太郎 3』
どうも!
何とか水曜日の投稿です。
今回も、桃太郎の過去話です。
是非最後まで読んでいってください!!
「遂にじゃな、よくぞここまで強くなった。
今のおぬしであれば、鬼にも負けぬじゃろう。
頑張るのじゃぞ!」
「はい、全てお爺様とお婆様のお陰です。俺は必ず、鬼を滅ぼします」
3年の時が月日が経ち、俺の剣の実力は遂に、お爺様を越えた。
そして今日、俺は鬼を退治する為の旅にでる。
「太郎、これを持って行きなさい。きっと役に立つ」
そう言って、お婆様が俺に渡した革袋には、団子が4つ入っていた。
「お婆様、この団子はいったい…?」
「なっ!?婆さん!何て物を太郎に渡してるんだ!!」
「あの………、お爺様はこの団子が何なのか知っているのですか?」
ただの団子を渡したにしては大袈裟過ぎる程、お爺様が驚いているので、俺がそう言って聞くと、お爺様は仕方なさそうに答えた。
「それはきびだんごじゃ……」
「きびだんご、ですか……?」
「そう、一度食べれば千人力、きっと鬼と戦う時に役に立つわ、私に出来るのはこれぐらいたがらね」
「そうだったんですね。ありがとうございます、お婆様!」
俺がお婆様に感謝すると、少し離れた所に移動したお爺様はが、こっちにこいと手招きしていた。
「どうしたんですか?お爺様」
お爺様の所へ行くと、お爺様は俺の耳元で囁くように言った。
「良いか太郎、今婆さんから貰ったきびだんご……、おぬしは勿論、他の人間にも決して食べさせてはいかんぞ」
「え……、何故、です?」
「その団子には洗脳効果がある…。
食べたが最後、目的を果たすまで団子を与えた者の言いなりじゃ…」
「お爺さん、何の話をしているんだい?」
「何でもない話じゃよ、婆さん。良いな、太郎」
「わ、分かりました。気をつけます。
ではそろそろ、行ってきます。お爺様、お婆様!」
「まぁ少し待て…、太郎。おぬしにコレを託す」
そう言ってお爺様が俺に、一本の刀を突き出した。
それは、心優しいお爺様が決して俺に触らせず、常に腰にさしていた刀だった。
「それは、お爺様の……」
「良い、儂らにはもう無理じゃ……。
婆さんのきびだんごで騙し騙しやってきたが、そろそろ肉体も限界じゃ………儂らはもう、月へ辿り着けん。
鬼を退治し、余裕があればの話じゃ……この刀を、かぐやへ届けてはくれんか?」
「…………」
俺は言葉が出ない。
これは、ただ刀を渡すという事だけじゃない。
だって…、
それを頼むのは、鬼を退治して帰って来たときでも良いじゃないか………。
つまり、お爺様とお婆様とはもう…………。
「ははは!何暗い顔してるんだい。太郎、無理にとは言ってないよ。
太郎は鬼を退治するんだろう?
格好じゃないか!!」
突然、お婆様がそんな事を言い、俺の頭を撫でた。
「え……」
「私らの事を受け入れるのは後で良い、今はお爺さんの刀を、受け取ってくれないかい?」
お婆様はそう言って、優しく笑った。
俺を安心させる温かい笑顔で、でも同時に、とても哀しそうな、そんな笑顔で………。
「………分かりました、お爺様。
その刀、その誓い、俺が受け取ります」
「うむ、太郎!いや、桃太郎よ!
必ず生きて、ここへ帰ってこい!!
たとえこの身が朽ちようと、儂らはここで、おぬしを待つ!!!」
「はい!必ず生きて、帰って来ます!!」
この日、この時、俺の桃太郎としての旅が始まった。
お爺様から受け取った刀は、今も使っている。
・・・・・・
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俺はお爺様の言いつけを守り、犬・猿・キジの3匹の動物にきびだんごを与え、仲間になった。
その後2年半におよぶ旅の末、世界から俺達は鬼を根絶させる事に成功し、俺は称号『英雄』を獲得した。
しかし、俺達を待っていたは、大多数が恐怖や敵意を持った声だった……。
勿論、俺達を称賛し感謝する者達も居た。
だがそんな者達よりも、俺達を恐れる者達のほうが、遥かに多かった。
それでも俺は人々を助け続けた。
その先を知らず、ただ英雄として、お爺様の誓いを果たす為に……。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
何か最近疲れていて、あまり文章が書けません…。
定期投稿は出来そうですが、投稿時間は遅くなりそうです。
次回は金曜日の19時頃を目標に投稿します。
お楽しみに!!




