第二十六話『新昔話・桃太郎 1』
どうも!
遅れてすみません…、土曜日の投稿です。
今回は太郎の過去のお話です。
お婆さんとお爺さんにどんな風に出会ったのか?
是非最後まで読んでいってください!!
「むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んで居ました」
桃太郎はそう言って、過去を語りだした。
あ、そこから話すのね……まぁ別に良いけど………。
波動竜も文句を言ってないし、俺は黙って聞こう。
「いつもの様に、お爺さんは山へ熊狩りに、お婆さんは川へ選択に向かいました」
うんうん、こんな感じでお話が進むんだよな。
ん?山へ熊狩り……?
あれ、そんなお話だったっけ…………?
俺はそんな事を思ったが、一応続けて聴いてみる。
「お婆さんが川で選択をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな籠が流れて来ました」
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「おや、大きな籠だ。いったい何が入ってるんだろうね」
お婆さんは流れてきた籠を持ち、その中を見た。
「まぁ!可愛い赤ん坊だこと、棄てられたのかね……。
おや、何か握っているね?」
そう言って赤ん坊を抱き寄せると、その手に何らかの木の実を握っている事が分かった。
「こりゃ何の種だろうね……。
私にゃあ分からんからね、家に帰ってお爺さんに聞いてみるとするべ…」
お婆さんはそう呟いた後、選択せずに赤ん坊を連れて家に帰りました。
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「ちょっと待て!
流れてくるのは大きな桃じゃないの!?
あと、お婆さんは服を洗濯しなかったのか!?」
洗濯してる時に大きな桃が流れて来るお話だったような……。
「何を言ってるんだ…?
流れてきたのは俺だ。
大きな桃なんか流れてない。別の話と間違えてるのではないか?」
って事はやっぱり、この桃太郎は平行存在か……。
俺が知っている桃太郎と部分的には同じでも、起こした事象や、その流れが違う。
「そ、そうか………悪い、話を続けてくれ……」
そう言って、話の続きを促した。
「分かった。じゃあお婆さんが、赤ん坊を家に持ち帰った所から話す」
俺の言葉を聞いた桃太郎は、再び話し始めた。
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お婆さんは家に帰ると、熊鍋を用意しているお爺さんに言いました。
「お爺さん、川で赤ん坊が流れてきたんだよ。この子、育てないかい?」
「川から赤ん坊が……!
そりゃ可哀想に………。そうじゃのう、これも何かの縁じゃ、また、二人で育てよう」
お爺さんは赤ん坊の頬に触れながら、二人で育てる事に賛成した。
この時俺は、太郎として生を受け、二人の子供になったんだ。
ここまではお婆さんが俺に教えてくれた話だ。本当かどうかは分からない。でも、俺にとっては嘘偽りの無い本当の事だ。
そして、桃太郎としてのお話が始まるのは、これから五年後の事だった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
一応、『平行存在』について補足しておきます。
まず普通の人間は、平行存在にはなりません。
有名な物語の主人公だったり、詠われる英雄が、平行存在として別の世界に現れます。
第二章は、桃太郎の過去回が終わってから一話か二話で終わり、第三章が始まります。
次回は明日の19時に投稿します。
お楽しみに!!