第二十三話『懐かしき友の背中』
どうも!
遅くなりました、土曜日の投稿です。
今回は桃太郎について、少しだけ分かるかも?
是非最後まで読んでいってください!!
※出来るだけ急いで投稿したので、誤字や脱字を後から修正するために改稿していますが、ストーリーに変更はありません。
m(_ _)m
「四分一刀!!」
俺と戦った時より明らかに多い魔力が籠っている4本の刀が波動竜の首めがけて振るわれ、波動竜はその攻撃を避けずに受けた。
が、
4本になっていた刀も、1本なって波動竜の首で止まっている。
「無駄だ。その程度の刀で、我に傷をつけることは出来ん」
「煩い!!」
桃太郎は刀を鞘に納めると、更に魔力量が跳ね上げ、構えた。
「悪鬼一閃!!」
そう宣言すると同時に、桃太郎は波動竜向かって、一直線に突っ込んだ。
これまでの技を遥かに越える速度と魔力の刀が、波動竜に向けて振るわれる。
まだ魔力量が上がるのか………。
といっても波動竜の力を考えれば、力の差は歴然だ。神と人間、いや、ギリギリ赤ん坊と大人ぐらいの差だな…。
どっちにしろ、桃太郎の方が弱い。
波動竜は一切避けず、その首に居合を受けた。
だがやはりその技は通用せず、砕けた刃が、波動竜の周りに散った。
「……気は済んだか?」
波動竜はそう言って、何もしない。
怒りも、笑いも、嗤いも、哀れみもしない。
ただ桃太郎を見下し、目の前にたったままだ。
「……何で!何で斬れないんだ!!」
既に刃が砕け、そのほとんどが柄のみになった刀を握りしめ、波動竜に怒りをぶつける。
「当然であろう。その程度の技、そして武器で、始祖竜である我に傷をつけることは出来ん」
「!!」
「ストォォォプ!!そこまで!!」
桃太郎が鬼の形相で波動竜へ飛びかかるのを、俺が間に入り、止める。
〈ねぇマスター!助けてってどういう事!?あれ誰?何で波動竜と一緒にいるの!?〉
目が覚めたばかりのマオは状況についていけず、続けざまに俺に質問をしてくる。
そうだった……マオは波動竜が俺の盟友だって知らないんだったな………。
〈まぁいろいろあって波動竜は俺の盟友だ。後で説明するから、今は桃太郎を止めるのを手伝え!〉
〈わ、分かったけど…、ちゃんと私にも教えてよね!!〉
少し不機嫌だが、これくらいなら味覚を共有してお菓子を食べれば機嫌は直るし、今はそっとしておこう。
とりあえず、今は桃太郎だ…。
ナビィさん……紅茶飲んでないで、止めるの手伝ってよ………。
「待て桃太郎!波動竜は俺の盟友だ!お前の知ってる竜みたいな、悪い事はしていない!!」
「お、おぉ、我が盟友…!
貴様の信頼は嬉しいが、我も悪い事をしたことはたくさんあるぞ!!」
よほど嬉しかったのか、波動竜は笑顔で言い放った。
お前……、桃太郎を止める気あるの………?
「って、言ってるが?」
それを聞いた桃太郎の機嫌が、更に悪くなった。
最悪だ……。
「話がややこしくなるからお前は黙ってろ!!
それと桃太郎!波動竜が言ってる悪い事ってのは夜中に食堂へ忍びこんで、盗み食いしてるとかだから!!!お前の思ってるような悪い事じゃないから!!!」
本当に子供みたいな事しかしてないから!
人間にも理由なしには攻撃しないし、竜の中では結構良い奴なんだよ!!
「何故それを知っておるのだ!?」
「気づくに決まってるだろ!俺とナビィさんがあの食料創ってるんだよ!!
兎に角お前は黙ってろ!始祖竜の威厳台無しだぞ!!」
「むぅ…、うむ、分かった。我は竜だからな、黙っている!」
「あぁ、そうしててくれ……」
はぁ……もう疲れた……。
それに…、今の会話を聞いてたナビィさんの顔が般若なんだけど!?
俺、理不尽に攻撃されないよね…?
「そこを退け四季、俺はそいつを殺す」
あれこれ考えている俺に桃太郎はそう言った。
『魔王眼』を使わなくても、怒っているのが分かるほど、その声には怒りが籠っている。
「それは出来ない。何でそんなに竜を怨んでるか知らないが、波動竜は良い奴だ。
少なくとも、お前が思ってる様な竜じゃない」
「関係ない、竜は敵だ。
魔王は別にいい、お前の様に善良な魔王も居ることを、俺は知っているからな」
いや……、別に俺は善良ではないんだが……。
普通に人間の敵ってか人類の敵だし…、お前の知ってるそいつ……、本当に魔王か………?
まぁ、それは今考えなくてもいいか……。
「なら波動竜は平気じゃないか?
お前が知らないだけで、良い竜だって居るだろつし…」
「駄目だ。竜だけは駄目だ。
俺がこれまで移動した世界。その全てを終わらせたのは竜だ!!
俺の行く世界の先々で、その竜は世界を終わらせ、多く人類を殺す!!
おれは敵だ。たとえ善良な竜であっても、俺は竜を許さない!!!」
「…………」
桃太郎の瞳は、怒りで満ちている。
言葉が出ない。
桃太郎の言っている事は、事実だ………。
〈マスター…?魔法の準備出来たよ?もう使う?〉
〈いや…、使わなくていい……。術式をキャンセルして、魔力は温存しといてくれ……〉
〈いいの?〉
〈あぁ…、逆効果だ。今のこいつに、『睡眠魔法』は効かないよ…〉
〈そっか、分かった!〉
ここまで怒っている相手に、久しぶりに会ったな……、どうするか………。
「答えろよ四季!そいつはどうなんだ!
人類を守る竜なのか!人々を殺さない竜なのか!!」
桃太郎の魔力が持っている刀に集まり、刃を形作る。
突き出した魔力の刀の切っ先が、俺の肩に刺さり、血がポタポタと流れる。
どうでもいい発見だが、この程度だと『モザイク』は起動しないらしい。傷口と血が、鮮明に見える。
「それは………」
分からない………。
俺には波動竜との記憶が完全にある訳じゃない。どういう風に生きてきたのか、俺には分からない。
ただ、少なくとも、人間を殺している。
俺と一緒に………。
ポタポタと滴る血液が床につき、定期的にピチャと、音が聞こえる。
「答えられないみたいだな。なら、お前こ後ろに居る竜は、俺の敵だ。
邪魔するなら、お前を斬ってでも退いてもらうぞ」
「………」
どうすれば、説得出来る……。
俺が斬られ続ければ可能性はある。
ここを退かないで、攻撃もしないで、桃太郎の攻撃を受け続ければ………。
ここに、あいつが居なくて良かった………。
「ふん!下らんっ!!貴様、世界の代表にでもなったつもりか!!!」
と、俺が覚悟を決めている最中に波動竜が口を開いて、桃太郎に声を上げた。
「お、おい!波動竜!?」
何やってるんだ!?
お前、手加減出来ないだろ!?
「もう良い。四季、後は我が話す。
どうやら、お門違いの怒りを買っているようだからな。そこで見ておれ」
波動竜はそう言って、俺に突き刺さった魔力の刃を砕き、俺を後ろへ引き寄せた。
「何だ?お前が答えるのか?」
「あぁ、答えてやろう。少し頭にきている。貴様も我の質問に答えよ。
返答次第では、 貴様を殺す」
俺の前に立った波動竜が、激怒した顔で桃太郎に言い放つ。
殺すって言ってるし、凄く不安だ…、でも何故だろうな、とても懐かしい感じがする……。
俺は心の中で、静かにそう思った。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
今回のお話、波動竜と四季との間にどんな事があったのか分かっている私からすると、結構好きな所です。
さて次回、桃太郎は殺してしまうのか?
第二章も残り少しかな……?
次回は明日の19時に投稿したいと思います。
お楽しみに!!
※出来るだけ急いで投稿したので、誤字や脱字を後から修正するために改稿していますが、ストーリーに変更はありません。