第十七話『不可能を可能にする者』
どうも!
毎度遅れてすみません…、土曜日の投稿です。
今回も戦闘回です。
『竜撃』は通用するのか?しないのか?
是非最後まで読んでいってください!!
さっきの『竜咆』で、雷竜が怯んだ。
これで仕留める!
俺は地面を踏み込み、技を繰り出す。
俺がナビィさんに初めて教わった技であり、特殊体術の基礎となる技。
―――――魔式戦闘術『竜撃』!!
この技は殴った対象の内側を、魔力を使って爆発させる。
神樹よりも硬いと言われる竜の鱗。それを破壊せずに攻撃するのを目的に作られた技だ。
これだけ近づいて攻撃するチャンス、もう簡単には訪れない。雷竜が慢心している今なら、この技は当たる。
だが、いくら慢心していようと相手は竜だ。
そう簡単には攻撃を喰らってはくれない。
「なっ!!??」
俺の技が当たる寸前になって、雷竜が目視する限界の速度で体を捻り、俺の技を避けようとしたのだ。
逃がすかぁっ!!
俺は前に突っ込む様に踏み込み直し、技をぶつけた。
そこへ、俺の出せる全ての魔力を放ち、爆発させた。
これで……少しは………。
たとえ今の攻撃で倒せなくとも、ある程度のダメージにはなった筈………。
そんな俺の考えは甘かったと、思い知らされる。
「GURRRaaa!!!!」
雷竜が、雷鳴とともに怒りの咆哮を上げた。
『竜撃』を喰らっても仕留めきれていない理由も分かっている。無理やり踏み込み直したせいで、技の威力が落ちたからだ……。
まずい……、すぐにここを離れなきゃ………。
俺は体制を整え、この場を離れようとした。
しかし………、
それは一瞬だった。
突如、とてつもない爆音と閃光が俺を包み、体が動かなくなった。
「かぁ……ぁ………あ…………」
口から煙が出る。声も上手く出せない。
雷竜の雷に打たれたか……、動けない………くそ…………。
こんな隙を見逃す程、竜の怒りは甘くない。
雷竜は、動けなくした俺に咆哮を放った。
刹那の時の中で、俺は思考巡らせる。
これを喰らえば、殺されるなんて話じゃない。
確実に死ぬ。
でも、まだ体が動かない……魔力も足りない………。
駄目だ。そんな事は許されない。
俺が死ねば、せっかく生き延びてくれた家族が、殺される……そんな事は、絶対に駄目だ。
動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け
あ、死ぬ。
ここで、俺の世界攻略が終わ―――
「声が出せんのなら念話を使わんか!!死んでからでは遅いのだぞ!!!分かっておるのか!四季!!」
そんな言葉を聞き、自分が死んでいない事を認識する。
あれ……、生きてる……?
波動竜が、俺を助けたのか……。
「うる…せぇな………意識を…保ってただけ……、まだ良いだろうが………あと、何でお姫様抱っこ………」
少し恥ずかしいんだが……。
「ん?気遣って欲しかったのだう?こっちの方が貴様が楽だと思ってな、気に入ったか?」
聞いてたのかよ……、俺の心の声……。
まぁ、今はいいか………。
「ありがとよ……、助かった……」
「ふん!どういたしましてだ!!盟友。
それで、あと何分稼げばもう一度いける?」
波動竜が、俺をお姫様抱っこし、続けざまに落とされる雷を避けながら言った。
「あぁ…あと3~4分は必要だ。声は出る様になったが、まだ体が上手く動かせない」
ここまで動かせないのも久しぶりだ。
ナビィさんの作った、呪詛入りの料理を食べた時以来だな………。
「よかろう!その程度であれば、なんとかしよう!貴様は休んでおれ!!」
そう言いながら波動竜は、落ちてくる雷を、肉体能力のみで避けている。
「もうお前だけで倒せるんじゃないか?」
俺のように魔力を使っているなら分かるが、波動竜の場合、純粋な肉体能力だけで雷を避けてるからな?
雷竜も普通に倒せるんじゃね?
「無茶を言うな!我は"時殺しの咆哮"を無効化するので手一杯なのだ。
あと我が出来る事と言えば、貴様を担いで、雷を避ける程度だ!!
だいたい何故『竜撃』を使ったのだ!もっと強い技があったであろう?」
「お前こそ無茶言ってるじゃねぇか。『特殊体術』は基本カウンターなんだよ。相手の攻撃も利用して放つ技がほとんどなんだよ!
寧ろ連続で技を使いながら、あの威力を出せたのが凄いんだよ!!」
もちろん自分から仕掛ける技もあるが、そういう技は連続で使えない。
それに…、魔力も足りないし、今は使えない。
「ならばどうする?今更逃げる事なぞ出来んぞ?」
「まぁ、それなんだけどさ……。
今ならなんとかなるかもしれない。可能性はほぼゼロだけど…」
マオが眠っている今なら、なんとかなる。
「そうか!では任せる!!」
「即答かよ!?まぁ良い、任された」
信じてくれてるって事だもんな……。
やってやるさ。
・・
・
「さて、もう良いか!」
宣言通り3~4分の間、俺を雷から守った波動竜が言った。
「あぁ、十分動く様になった。そのまま俺を投げてくれ!!」
「うむ!見えぬ速度で投げてやろう!!」
そう言った波動竜は、俺を『雷竜』に目掛けて全力で投げた。
さぁ……今この時は、魔王を辞めよう。
「『魔王の魔法回路』反転!!」
今この時は…………
『勇者』だ。
輝く聖剣の光が雷竜を包み込み、その肉体を真っ二つに切り裂いた。
ここまで読んでくれて方、ありがとうございます。
魔王です?って感じになってきました!
四季が使った武器が意味する事とは?
次回第十八話は、明日の19時に投稿します。
お楽しみに!!
※今回から、魔式戦闘術の表記を変えてます。




