第十六話『快晴の空の雷』
どうも!
遅れましたが、水曜日の投稿です。
今回は戦闘回!
波動竜と魔王は、現れた竜と戦えるのか?
是非最後まで読んでいってください!!
雲ひとつ無い快晴の下、辺りに雷鳴が響く。
その原因は簡単で、俺の目の前に雷を纏った竜が居るからだ。
「ははは……この感じ、すげぇデジャブ………」
今回の世界攻略は、最初に竜が出ないと気がすまねぇのかよ!?幸先悪すぎる…。
次の瞬間、俺達に向かって雷が放たれた。
いろいろ分からない事が多いが、地面を強く蹴って後ろへ移動し、とりあえずその雷を避ける。
いきなり攻撃かよ…、波動竜の時はもう少し余裕があったぞ………。
「ほぉう、雷竜か。我ほどではないが、なかなか会えぬ上位の竜だ。運が良いぞ四季!」
困惑してる俺に、波動竜はそう言った。
それを聞き、俺も思い出した。
『雷竜』。竜の中で始祖竜の次に古い竜で、『運命竜』の力を強く持った竜だ。
どこが良いんだよ!?
遭遇する竜のなかで始祖竜の次に会いたくない竜だろうが!!
「良くねぇよ!!だいたい俺の『魔力感知』に全然反応してねぇぞ!!」
連続で放たれる雷を避けながら、俺は波動竜に言い返す。
これでも俺は『魔力感知』で大陸全土を把握してるんだ。
それなのに、これだけ膨大な魔力を放っている目の前の竜を、『魔王眼』で視るまでその存在を感知出来なかった…。
「当然だ。『魔力感知』は魔力を流れを感知出来る技術、それは竜には通用せん」
「はぁ…?なんだそれ……」
「なぁに簡単な事。我の様に人の姿をしていれば話は別だが、存在そのものが自然と同義である竜を感知したいのであれば、次からは『魔王眼』で全てを視る努力をする事だ」
竜ってどこまで規格外なんだよ………。
「だが何でこんなに早く竜が現れるんだ?」
竜が現れるのは人類文明が出来てからだ。
文明どころか、人類としてカウントされる人間が50人しか居ないし、その全員が1歳未満の赤ん坊だぞ!!
100歩譲って、竜がこの世界に現れるのは別に良いさ、でもさすがに早すぎる。
「それは先程説明したであろう。この世界は神が少な過ぎるのだ!その所為で世界に現れようとする竜を対処出来ていない。
我がこの世界に移動する際も、一柱も神に会わなかったのは異常だからな。こうなるのが普通だ」
波動竜は雷を受けながら、そう答えた。
なるほど…、少ない神で世界を創ったのが裏目にでたか……、無駄な争いは無くせると思ったんだが、これは、仕方ないか………。
いや、それでも早くね?
「にしたって早すぎるだろ!まだ4日目だぞ!!」
てか、何で雷受けてんの?
一応『雷竜』の雷って、『雷無効』を貫通するから避けないと危ないぞ……。
「まぁそれは…、我の所為であろうな……」
波動竜の表情が曇り、そんな事を言った。
ん、それはどういう事だ?
「っ!!??」
何か意味深な事を聞き、問いただそうとしたところを『魔王眼』ですら捉えきれない速度の雷竜の尻尾に、俺は吹き飛ばされた。
「四季!?無事か!!」
「あぁ……、なんとかね……」
200メートルは吹き飛ばされたか……。
俺の首から下右半身が、簡単に抉られた……。
本当に竜って生き物は規格外だな………。
俺の肉体には常に、勇者以外の物理攻撃が無効になる効果もある『魔王の意地』が発動している。
そんな俺の肉体を、こんな簡単に抉るのかよ………。
てか、波動竜とかナビィさんもそうだけど!
俺の肉体は女になってるんだぞ!?少しは怪我させないように気遣えや!!
俺は魔王なのに扱いが雑なんだよ!!!
「よし……治った……」
そんな事を考えている間に、俺の右半身が復活した。
少し離れたからか、『雷竜』は攻撃してこない。
いや、魔力貯めて"時殺しの咆哮"を放とうとしている。
さて、どうするか………。
ナビィさんは来てくれないだろうし、マオはまだ起きる気配がない……。
「傷は治ったな!では戦うぞ!!
"時殺しの咆哮"は安心しろ。我が無効化しよう!!奴は貴様が仕留めろ!!!」
一瞬で移動してきた波動竜が『雷竜』を見据えながら言った。
"時殺しの咆哮"を無効化!?
でもそれなら、ギリギリ可能性が見えてきたか……。
「分かった、俺が仕留める。波動竜もタイミング間違えるなよ!」
失敗したら殺されるどころか、死ぬからな!
「無論だ。貴様こそ仕留め損ねるなんて事は許さんからな!!」
「んじゃ!!いくぞっ!!」
「あぁ!いってこいっ!!」
俺は波動竜の言葉と同時に、『雷竜』に向かって一直線に走っていった。
俺との距離があと50メートル程になった時、それを待っていたと言わんばかりに、『雷竜』は"時殺しの咆哮"を放つ。
「今だ四季!!」
それと同時に、波動竜のそんな声が聞こえた。
どうやら、無効化が完了したようだ。
少し早いが問題ない。使う技は決まっている。
地面に強く踏み込み、心の中で叫ぶ。
―――――魔式戦闘術『竜咆』!!!
竜とは別の膨大な魔力が集まり、俺の拳から放たれる。
波動竜が"時殺しの咆哮"を無効化する以上、その攻撃はただ強力なだけの魔力砲と変わらない。
それなら俺のこの技で、この咆哮を相殺出来る。
俺の思った通り『竜咆』は、『雷竜』の放った"咆哮"を相殺した。
「Gua!!??」
そう言って驚いている隙に、俺は『雷竜』の懐まで移動した。
これで仕留める!!
ナビィさんに初めて教わった、『魔式戦闘術』。
―――――魔式戦闘術『竜撃』!!!
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
波動竜の秘密が少しみえましたね!
そして、魔王が使う魔式戦闘術『竜撃』は通用するのか?
次回第十七話は、土曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!