第十五話『魔王も歩けばなんとやら……』
どうも!
すごく遅れてすいません…。
今回は、ナビィさんの種族判明!?
この世界についても、いろいろ分かります。
是非最後まで読んでいってください!!
快晴の下で散歩を始めて30分が経った。
俺と波動竜は、ただ自由気ままにゆったりと散歩をしている。
「四季、喉が渇いた。水はあるか?」
唐突に波動竜が言った。
喉が渇いたって…、お前なぁ……。
「水分って意味でなら『魔法空間』に一応あるが…、お前は飲まなくても平気だろ?始祖竜だし」
「それを言ったら貴様らにも必要無かろう!この世界では特にな。
我は水が喉を通る感覚が好きなだけだ!」
「まぁな。俺は『魔王』だし、ナビィさんは『世界賢者』だし、アメミ達は『家守の妖精』だからな……」
寧ろ、今この魔素の濃い世界に居る人類の中に、赤ん坊以外で食事や水を必要とする者が居ない。
波動竜の言う通り、俺達は食事を楽しんでいる。
これはあくまで俺の感覚だが、人間だった時よりも、かなり新鮮で何故か楽しい。
だから、波動竜の言っている事が結構理解出来る……。
「なら構わんだろう!我はハンバーグも好きだが、水を飲むのも好きなのだ!!」
「…分かったよ。今創るからそれでも飲んでろ!」
俺は水の入ったペットボトルを創り、波動竜へ
「お!流石盟友だ!!ハッハッハッハッ!!」
それを受け取った波動竜はよほど嬉しかったのか、上機嫌に笑い始めた。
「黙って飲め!それと、目が覚めたなら早く話せ!!続きが気になるんだよ!!」
「うむ!かなかな良かった!!次はもう少し硬めで頼む!!我はそっちの方が好きだ!!」
……なら自分で創れや!!
俺の魔力も一定時間内って意味なら有限なんだからな!!
それと………、
「…俺の話聞いてた?
『神樹』へ行く途中に聞いた話の続きを聞きたいんだけど?」
「聞いておるわ。あえて無視しておるのだ!!」
「気づくかっ!!
竜の、それも始祖竜の心なんてな!魔力が入り乱れ過ぎて分からねぇんだよ!!」
神よりも保有する魔力が多いんだぞ!
俺にそんな事出来るかっ!!
「ふん!そんな事知らぬわ!我だけが話すのは不公平であろう。貴様も我の疑問を答えよ!!」
「………今日は話す気が無いって事か?」
「あぁ、我の話は別の日だ。今日は話さん!!」
ここまで言い切られるともう聞けないな……。
仕方ない…、今後話さないとは言ってないし、今日は諦めよう…。
「はぁ……分かった。良いよ、何が聞きたいんだ?」
「この世界の神だ。いくら何でも少な過ぎるであろう?」
っ!!!
その予想外の質問を聞き、一瞬顔が強張る。
「気づいてたのか…?」
「当然だ。『神樹』の大きさを見れば分かるように、これだけ大きな世界、人類文明は未発達、この2つ条件が揃えば普通、数柱の神は人の姿をとって現れる。
加えて、竜という敵が世界に存在するにも関わらず、殺しに来る神が一柱も居らんのも異常だ。
だから思ったのだ。現れないのではなく、現れる事の出来る神が居らんのだとな。
どうだ?我の予想は当たっておるか?」
俺が驚いた顔を見て、波動竜はドヤ顔で説明した。
……そのドヤ顔は殴りたいが、一応当たってる………。
「当たってるよ……。お前この世界来てからまだ1日ぐらいしか経ってないのに、良くそこまで分かったな…」
「ほう?ではこの世界には何柱の神が居る?」
「自我があって今俺と会話出来るのは二柱。単純に世界を維持してる神って事なら三柱だ」
世界は神にとっての核と同義だ。
俺が世界を終わらせた時、同時にその世界の神々が大量に消えた。
砕けた神核をかき集め、なんとか一柱の神の神核を形成出来た。
後は元々俺と縁のある神と、形成した神を術式に組み込んで、世界を創る。
だから、今この世界に存在する神は、三柱のみだ。
「三柱……、その内会話出来るのが二柱か……。予想以上に数が少ないな…。それで世界が維持出来るのか?」
「その通り、通常この大きさの世界を維持するには最低二十柱の神が必要だ」
流石、世界を最初に創った始祖竜だな……。
世界運営の事まで知ってるのか………。
「通常という事は、何か裏技を使ったのか?」
「正解。そのお陰で、たった三柱の神で世界を維持出来てる。えーと………、ほら!あそこ!!あれと同じなのが、あと100個この大陸にあるんだ!!」
俺はすぐそこに見える場所を指差した。
「ん?あれは……沼か?……いや、違う!?
まさか!"世界の穴"か!?だがそんな事をすれば、『黒き主』がこの世界に来ることになるぞ!!」
そう、俺が指差したのは"世界の穴"。
『黒き世界』に通じる、出口の無いワープゲート。
「そうだよな…、それが普通の反応だよな……」
ナビィさんに言った時は、全く驚いてくれなかった……。
というか、そんな事で私の時間を使ったのですか?なんて言われてしまった……。あの目…、怖かったなぁ………。
「当たり前だ!『黒き主』への対策なぞ、我ら竜ですら手こずるぞ……」
波動竜の反応はナビィさんと真逆で、この事について、かなり驚いている。
これで、俺が驚いた分は仕返し出来たな!
俺は満足だ。
「心配しなくても、そこは解決してるから安心してくれ」
「だろうな。でなければ今この大陸を散歩しようとは思うまい。
おおよそ察しはついた……、しかしそれが事実なら、この世界は世界の枝から離れた事になるぞ…」
波動竜の言っている通りだ。
俺の創った世界は、既に分岐し続ける世界の枝から離れた。
「まぁ、それであってるよ。『黒き世界』に存在する『黒き主』は、俺と縁があってな。俺が術式に組み込むと同時に『黒き闇の神』っていう別存在に変化した。
少なくともこの世界に、『黒き主』が現れる事はない」
言わばこの世界は、『二番目の始祖の世界』。
「なるほどな…、理解した…。それであれば、ひとまずは安心だな」
「おう、理解してくれて何よりだ。
それより珍しいな。お前はそういうの気にしないんだと思ってたよ。何でいきなりこんな事聞いたんだ?」
もっと聞きたい事あっただろ?
例えば、俺が女の肉体に改造されてるとか!!
どう考えてもおかしいだろ!
前回の世界で男だった盟友が、女になってるんだぞ!!!
「いや、四季よ、貴様の認識が正しい。我は普段、そんな事は気づいても気づかぬ振りをするからな!ハッハッハッ!!」
「いや、全然面白くねぇよ!気づいたなら言ってくれ!!」
いくら『レベルの無い魔王』の『魔王眼』が強力でも、『竜眼』には敵わないんだよ……。
「そうか!ハッハッハッ!!だが安心したのは本当だ。これで世界の事を気にせず戦えるからな!!」
波動竜はそう言うと、歩いていた足を止め、立ち止まった。
急にどうしたんだ?
そんな戦闘になる気配は無いぞ?
「は?戦う?どこかに敵でもいるのか?全然見えないけど……」
「四季!『魔王眼』をしっかり使え!散歩は終わりだ。魔力を高め、戦闘に備えよ!!」
次の瞬間、波動竜の魔力が膨れ上がり、空間が揺れた。
急な散歩の終わりを告げられ、俺は少し困惑したが、波動竜に言われたので、『魔王眼』を100%起動し、目の前を視た。
そこには…………、
空中に浮かぶ巨大な蛇。ではない。
頭部にある二本の角が、開いた口から見える鋭い牙が、決してその程度の存在ではないことを肯定する。
そう、全身に雷を纏い、空間を揺らす魔力を持った存在。
「はぁぁ!!??何で竜!!!????」
俺の怒りと驚きの混じった叫びが、その場に響く。
嘘、だろ……。
やっとしばらく安全になったと思ったのに…………。
魔王も歩けばなんとやら………。
そうして俺はまたしても、竜と対峙するのだった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
今回、どうしてもここまで書くために頑張ったところ、こんな時間になってしまいました…。
すいませんm(_ _)m
さて、新たな竜が魔王の前に現れました。
マオは起きて無いのに戦闘は大丈夫なのか?
次回は、このお話では今のところ珍しい戦闘回です。
※それと今回のお話、前半に魔王が隠したものがあります。
本編に重要な伏線ではないので、完全に小ネタです。
次回、第十六話は水曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!




