第十四話『いつかまた、世界を生きるように』
どうも!
ギリギリ19時に間に合わなかったけど、土曜日の投稿です。
今回は、ちょっとだけ技が出ます!
『神樹』がどういう樹なのかも分かります。
是非最後まで読んでいってください!!
改造ホムンクルスは輪廻の輪に属さない。
親から産まれたホムンクルスは兎も角、人間や人によって造られたホムンクルスや改造ホムンクルスの魂は、神の創造物ではないからだ。
だがそんな生物も、輪廻の輪に入る事は可能だ。
神と直接契約すれば、その魂は輪廻の輪に迎えられる。
だがら、俺はここに来たんだ。
「上手くいってくれよ………」
そう呟き、俺は目の前の『神樹』を見る。
その樹木からは、魔素の薄かった世界を一瞬で魔素の濃い世界に変える程、膨大な魔素を放ち続けている。
「根元が外から丸見えなのはまずいな……。ま、それは後で良いか……」
今ここには、俺以外の存在は居ない。
一応、人間が無理に近づけば死んでしまう程度には、ここは危険な場所だ。
後で森を創っておけばいいか。
赤ん坊が大きくなったら魔王城をここへ移すし、問題ないだろう。
「さてと………、ここで良いかな……」
俺は呼吸を整え、大きく地面を踏み込んだ。
『神樹』へと技を繰り出す。
繰り出す技は『魔式戦闘術』。ナビィさんに教わった、二番目の技だ。
「ん"っ!!!」
突き出た拳から放たれたのは強力な魔力。
技が直撃し、爆発音が辺りに響く。
その技の名は『竜咆』。
名前の通り、威嚇の際に竜が使用する『咆哮』と同等の威力を持つ魔力の攻撃を、拳とともに一方向に放つ技だ。
「あー…くそぉ……、5メートルか…、まぁ、十分か……?」
『竜咆』を放った場所に、直径1メートル深さ5メートル程の穴が空いた。
くそぉ……ナビィさんなら6メートル以上の深さの穴を空けていた……負けた……。
まぁ、とてつもない硬度の『神樹』に、穴を空けれる技を使える様になっただけで、今回は満足するか……。
「それより、せっかく空いた穴が塞がる前に、入れとかないとな…」
世界を創る核になる程のエネルギーを持っている樹だ。
俺の空けた穴なんて、すぐに塞がる。
俺はそう言って、さっきポケットに入れておいた『疑似生魂結晶』を手に持ち、塞がり続ける『神樹』の穴に放り込んだ。
放り込んだ『疑似生魂結晶』が穴を塞ぐ『神樹』に呑み込まれた。
これで良い…、確率は生物が何も居ない世界に、生物が誕生する確率とほぼ同じだが、0じゃない。
いつか少年は輪廻の輪に入り、また世界に生きるだろう……。
大丈夫、少年の人生はマイナスで終わってるんだ。次の人生は、幸せ過ぎる人生が待っている。
その人生に、俺が居るかは分からないがな………。
「さて、この後は女神様の仕事!俺は波動竜の所へ戻るか!!」
俺はそう言って『神樹』に背を向け、走り出した。
次は散歩だ。
久しぶりに何も考えず、何も視ずに楽しもう!!
・・
・
「はぁ~、終わったのか?」
俺が走って戻ると、大の字に寝そべった波動竜が、欠伸をしながら聞いてきた。
「あぁ、バッチリだ。女神ちゃんに面倒事を押しつけてきたよ」
今頃、顔を真っ赤にして怒ってるだろうな。
「そうか…、では行くか……」
波動竜は俺を一瞥すると立ち上がり、そう言った。
俺が何をしに『神樹』へ行ったのかを聞かないし視ない。
これは波動竜なりの気遣いだ。
俺の記憶は、まだこういう記憶しか戻ってないが、きっと本当に良い盟友だったのだろうな…。
「おう、今度はゆっくり話ながら行くぞ!」
「ふん!当たり前だ…、我は今眠い…走るなぞあり得ん…」
「まぁ、この天気だもんな……昼寝にはもってこいだ」
寝そべれば眠くなる快晴の下で、俺と波動竜はそんな会話をし、目指す場所もなく、ゆっくりと歩くのだった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
『神樹』は天と地を繋げます。
あの世とこの世を併せ持つ『神樹』が世界に有る限り、死が確定する事はあり得ません。
よって、"蘇生魔法"も使える様になりました!
次回第十五話『魔王が歩けばなんとやら……』は、明日の19時に投稿します。
お楽しみに!!