第十三話『世界の誕生秘話』
どうも!
ギリギリ水曜日です。
今回は、世界の誕生秘話と波動竜達についてのお話です。
少し文章も多めになりました!
是非最後まで読んでいってください!!
ナビィとの話が終わり、魔王城から外に出てみると、城の目の前で石を積んで遊んでいる波動竜が見えた。
神が恐れる始祖竜が、何子供みたいな事してるんだよ……。
「随分な長話であったな。待ちくたびたぞ……」
そうみたいだな……。
「悪かったって…。結構大事な話だったんだよ。こうして散歩しに来たんだから、許してくれ」
「ふん!まぁ良かろう、許してやる。我の広大な心に感謝するのだな!」
「はいはい…、感謝しますよ……」
広いだけで浅いけどな……。
「それで?どこか行きたい場所があるのか?」
「無論、無い!!」
「は!?無い?」
「散歩だぞ。目的の場所があれば、それは移動だ。我がしたいのは、目的の場所無くただ歩く散歩だ!ある訳無かろう!!
逆に、貴様は行きたい場所はあるのか?」
ぐぅ……、何も反論出来ねぇ……。
「まぁ一応あるよ。『神樹』に寄って行きたい、少しやる事があるんだ」
「そうか、では先に『神樹』へ向かうぞ!それから散歩だ!!」
「分かった。なるべく速く行こう」
ちょうど術式の構築も終わった。
「術式起動。展開。付与魔法『雷神脚』!」
俺の宣言とともに大量の雷が出現し、足に絡みつく。
こうすれば、雷速で移動出来る。
「ん?『術式破棄』を使わんのか?そっちの方が楽であろう?」
「まぁな、そっちの方が早いんだが。
だけど俺の『術式破棄』はナビィさんのと違って、全ての魔法に対して良い効果って訳じゃないんだよ…」
今回みたいな付与魔法の場合、効果を得られる時間に制限がつく。
とは言っても、敵と闘う時に気になるほどの隙が出来るって事じゃない。
ただ、単純に手間が増えるだけだ。
「なるほどな。では我も貴様にあわせよう!」
波動竜はそう言うと、光のオーラの様なものを纏った。
そして俺は、それについて思い出した。
どうやら波動竜は、『雷速移動の波動』を自分に付与したみたいだ。
「じゃあ行くか。はぐれるなよ?」
「分かっておる。貴様こそ我より遅かったら許さんぞ」
俺達はそう言うと、文字通り雷速で『神樹』で向けて移動し始めた。
・・
・
「波動竜、ちょっといいか?」
俺は唐突にそう聞いた。
雷速で移動していようと、俺達にとってはかなり遅い速度だ。問題なく意思疎通が出来る。
「何だ?目的地を変えるのか?」
「目的地は変えない。着くまで10秒もある、何か話をしないか?」
10秒って結構暇なんだよな……。
話しながらの移動なら、その暇も潰せるし好都合だ。
「確かにな、良いぞ!何を話す?」
「そうだなぁ……」
聞きたい事は山ほどあるが、いざ聞くとなると思いつかないな……。
「あ、始祖竜について教えてくれよ。どうやって誕生したとか、そういうの」
「ふむ、今の貴様は覚えていないのだったな……。良かろうもう一度教えてやろう!」
前回の世界で俺は同じ事を聞いたのか…、なら悪い事したな……。
「助かる。ありがとな!」
「礼など要らん。我と貴様の仲だ、許しておるわ。
ではまず、始祖竜が、どうやって誕生したのか、だったな?」
竜は基本的に『竜界』と呼ばれる世界で自然誕生し、数多の世界を旅する。
しかし始祖竜はその枠から外れ、単独として数多の世界に存在する。明らかに"竜"とは別の種族だ。
「あぁ、神様も知らない事だしな。知ってたら得するかもだろ?」
「ハッハッハッ!貴様らしいな!
だが前提が間違いだ。我ら始祖竜は誕生しておらん!!」
上機嫌に笑いながら、波動竜はそう言った。
「は?……でもそれ、おかしくないか?」
誕生してないって事は、死なないって事だ。
俺は波動竜が死んでるのをこの目ではっきりと見たぞ?
「何もおかしい事は無い。始祖竜を創った者はおらん。我らは世界が出来る以前に存在していた。元々そこへある存在だったのだ。
貴様らとは生命として別存在。よって、貴様らの理屈は通用せん」
元々ある?
あー…、あんまり考えちゃ駄目だな……。
ん?世界が出来る以前?
「それじゃあお前達、神様より先に生きてたってこと!?」
「ん?その通りだが?最初に世界を創ったのは我ら始祖竜だ。当然であろう?」
「え、は?え、え………じゃあ……」
世界を最初に創ったのが始祖竜……?
それなら…、神様を創ったのも始祖竜って事になる!?
「神様もお前らが創ったのか!?」
「そうだが?そもそも『竜界』を創ったのは我ら4体の始祖竜だ。
『創世竜』が世界の元と、生命を生み出し。
『破壊竜』が創造物の終わりを生み出し。
『運命竜』が過去、未来、現在、の時の流れを生み出し。
そして我、『波動竜』が世界の様々な概念や、それによる力を生み出した」
「はぁぁ!?」
嘘だろ!?
お前って、そんなに凄い竜だったの!?
まぁ……『世界創世記』なんていう番外魔法を創れる訳だし……、あり得ない話じゃない……。
神様は『始祖の世界』で誕生する。
だから語呂がにてる始祖竜も、神様が創った竜だと思ってた………。
「なら、その後に『始祖の世界』を創ったって事か?」
神様を創ったと言うならば、間違いなくそういう意味になる。
今この世に存在する『竜界』以外の全ての世界が、その世界を維持する神様の核の様なものだ。
だから俺も、世界を創る時に消えそうになっていた神様の欠片をかき集めてその力を利用した訳だし……。
「然り。だがあれは黒歴史だ。我ら始祖竜全員が若かった。誰が一番強いか喧嘩したら、いつの間にか出来ていたものだからな…」
そう言っている波動竜は、恥ずかしそうに手で顔を隠している。
「え、………喧嘩?」
え………、喧嘩で世界が出来ちゃうの?
「さて、着いたぞ!早くやる事を済ませてこい!!我は散歩がしたいのだ!!」
「いや、それより今の話、もっと詳しく!!」
ここで話を止めるのかよ!!
「断る!続きはまた今度だ。だいたい今聞かずとも、いずれ思い出すであろう。
それに話し疲れた…、少し休ませろ!」
波動竜は、そう言って地面に座り込んだ。
駄目だなこりゃ……、話す気ゼロだ……。
「分かったよ…なら次の散歩の最中にでも話してもらうからな!!
あと!!早く『無痛の波動』付与してくんない?結構変な感じなんだけど……」
ずっと痛みが続く所為で慣れちゃったけど、これ結構異常な状態だからね?
常に頭蓋骨抉られる痛みが、お前に分かるか?
「ふん、後でやる。いいから早くせんか!散歩の時間が減るであろう!!」
「いや今やれよ!めちゃくちゃ痛いよ!!」
「もう一発殴られたいか?」
「………分かったよ…。ならこの後ちゃんと付与してくれよ?話の続きも、散歩の最中に聞くからな?」
その脅しはずるいだろ…、新たに痛い思いをするなんて御免だ……。
俺はドMじゃないんだよ!!
「ふん、後でやると言ったのだ。竜は嘘を吐かん。心配せずとも散歩を始める前には付与してやる」
「分かったよ…。じゃあ、行ってくる!」
俺はそう言って、神樹の根元に向かって走った。
透明な、ひし形の結晶を持って………。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
今回のお話で、始祖竜が最初に世界を創った事が分かりました!
そして魔王は何をしに『神樹』の根元にむかったのか?
次回は土曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!