第九話『魔王と波動竜の約束』
どうも!
時間をかなり過ぎてしまいましたが、いつもの事だと許してください……。
波動竜がようやく記憶について話しました!
今回はいつもより少し長めです。
是非最後まで読んでいってください!!
「どうだ?話す気になったか?」
俺は頬杖をつきながら、波動竜に聞いた。
もう朝なんだが……そろそろ朝の授乳の時間だし、また話が出来なくなる。
「ふん、我は悪くないからな」
波動竜は目線をそらしながら言った。
「あぁそうだな、お前は悪くない。だから早く話してくれ……」
「うむ…、まずは記憶についてだったな…。何が聞きたい?」
最初より少し元気がないが、ようやく話す気になってくれたようだ。
「最初から言ってるだろ…。『魔王』である俺が記憶を忘れ、それを認識出来なかった理由だよ……」
俺が記憶を忘れるなんて事、本来あり得ない事だ。
正直、記憶を少し思い出した今でも信じられない。
「認識出来なかった理由なぞ、既に貴様は知っておるだろ」
「知ってる?俺が?」
「然り。若き我から逃げる際、貴様らが使った魔法だ」
「俺達が使った魔法………、!!『存在消滅魔法』か!?だがそれだと、必要な魔力が膨大だぞ!」
確かにあの魔法なら、俺であれ、記憶を認識出来なくなるのも納得だが…。
だがあの魔法は"番外魔法"だ。
起動は勿論、維持するのにも膨大な魔力が必要になる。今現在も認識出来ていない記憶がある以上、この間も常に魔力を消費している事になるぞ……。
そんな魔力…、たとえ竜であっても、保有している訳がない。
「そこは問題ない。それ以前にまず、前提が間違っている。我は"番外魔法"なぞ使っておらん。使ったのは我の権能だ」
「権能?」
「うむ!あれは我の権能を神々が模倣し創った魔法だ。
竜にとっての権能とは、貴様らにとっての『種族スキル』と同じ様なものだ。いくら力を使おうと、疲れる事などあり得ん!
それに我は、始祖竜だからな!!ハッハッハッ!!」
そう言うと、波動竜は上機嫌に笑った。
こいつ…、自分で言っててテンション上がったな……。
まぁその方が話すのは楽だけど…。
「で、結局お前が俺の記憶に細工をしたのか?早く解いて欲しいんだが……」
「それは出来ん相談だ。貴様の記憶は特定の言葉を聞けば解放されていく。"四季"と聞いて、それを自分の家名だと思い出したようにな」
なるほど、だからあの時記憶を思い出したのか……。
「ならその特定の言葉を早く言ってくれ…、微妙に思い出すこの感じ嫌なんだよ……」
「だから出来んと言っておるだろ。我が約束を結んだのは記憶が完全な時の貴様だ。同一人物であろうと、その約束を今の貴様が変える事など出来ん」
「はぁ……分かった。そういう事なら仕方ない。このお話はこれで終わりだ」
今は使えないが、『レベルの無い魔王』には本来、『未来視の魔眼』というものがある。
今聞けなくとも、過去の俺が視たのなら、必ず聞ける時が来るのだろう。
「では四季!我は腹が減った!!すぐに用意がするのだ!!!」
「ん?お前この世界に居座る気なのか!?」
そして何で偉そうなんだよ……。
「当たり前だ!食事は貴様と食べた方が上手い!!それに我は竜であり、盟友だからな!ハッハッハッ!!!」
波動竜は上機嫌に笑いながら、立ち上がった。
答えになってねぇよ……。
「いや待て!他の奴らへの説明が先だ!お前の事言ってないから、食事なんて用意してないよ!」
「魔王様。朝食の用意が調いました。波動竜様の分もございます」
突然、俺の後ろから声がかかった。
「うぉっ!!"アメミ"、いきなり現れるなよ!びっくりしたわ!」
声をかけたのはメイド服を着た妖精だった。
「驚かせてしまいすいません。次は気づかれぬよう頑張ります」
「いや、頑張るとこ違うし……。てか、波動竜の分も食事あるの?」
「はい。先程お会いした際、頼まれましたので用意してあります」
あの30分の間に頼んだのか……。
何だよ!遅いとか言っておきながら、ちゃっかり朝食まで頼んでるじゃないか!
「そうか…、ありがとう。すぐ向かうから、先に行っていてくれ」
「分かりました。それでは、失礼します」
そう言って青髪に蒼い瞳の妖精は、笑顔で一礼し、俺の部屋から帰っていった。
今の子は『アメミ』。
俺が造り変えた5人の『家守の妖精』の1人だ。
赤ん坊達は勿論、助けた全員の名前が無かったので、俺が考えて名づけた。
それはさておき……。
「おい、波動竜。頼んであるならそう言え、食材を創るのは俺とナビィさんなんだからな…」
「ハッハッハッ!聞かれなかったからな!答えなくとも良かろう!」
ドヤッとした顔で言いきったので、むしろ清々しいな。
「良かねぇよ…。まぁ今回は早めに分かったからいいけど…、次はちゃんと言えよ……」
「うむ。そういう事なら、先程ナビィとやらからお前さんに念話がきたぞ!"後でお話があります"と言っておった!」
「あ、そうなの……、へぇ……」
え、やばくね……。
絶対に波動竜の事だよな、アメミとかはともかく、ナビィさんは怒ってるって事……?
「ほぉれ、先に行っておるぞ~」
「ま、待て!さっきのナビィさんからの念話!本当なのか!本当ならもっと詳しく!!」
俺の声が、誰に聞かれることもなく響く。
俺がそう言った時には、既に波動竜は部屋を出て、食堂へと向かってしまっていた。
嘘だろ……、おい………。
もう胃が痛くなってきたよ…、気持ち的に……。
そんな事を考えながら、俺も食堂へ向かって歩きだしたのだった。
はぁ………。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
魔王の記憶は、波動竜の権能によって忘れていることが分かりました!
竜の権能は基本的に全て、神々が模倣し、番外魔法が創られています。
つまり………?
次回は、来週の水曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!