第七話『忘れていた記憶』
どうも!
何とか水曜日に投稿出来ました。
突然現れた彼は、いったい何をしに来たのか?
是非最後まで読んでいってください!!
「ん?どうしたんだ盟友?気分でも悪いのか?」
『波動竜』はひとしきり笑った後、俺の顔を見てそう言った。
「ははは…、人違いです……」
今の俺の姿は、髪の色と目の色は同じで白髪に赤瞳だが、こう言っておけば誤魔化せる程度には別人だ。
「ハッハッハッ!人違いなどするものか!竜の瞳を前に、魂を偽るなど不可能。間違いなく貴様は我の盟友だ」
「……、あまり大きな声を出すな…赤ん坊達が泣くだろ……」
誤魔化せなかった……。
それ以前に、何度も記憶を探ってみたが、俺が波動竜と盟友になった記憶どころか、会った記憶すら無かったぞ……。
「それについては問題ない。我の声には『子守歌の波動』を付与してある。我がいくら大声で笑い、叫ぼうと、赤ん坊達は子守歌程度にしか感じない。
記憶についてもだ。無いのではなく忘れている、が正しい」
「忘れる…?俺が?」
授乳が終わり、ナビィさんに19人目の赤ん坊を預けながら、俺は言った。
俺は『魔王』だぞ……、種族的に、記憶を忘れるなんて事、あり得ないだろ………。
というか、さっきから何で心の声を聞いてるだ?
今回は心の声を聞かれない様に、魔力の流れを一定にしている。『魔力感知』を使っているなら、心の声は聞こえない筈だが……。
「当たり前だろう。『読心の波動』を使っているのだからな!」
そう言って波動竜はドヤ顔をした。
うん、殴ってやりたいこの笑顔。
盟友なら殴っても良いよね?
俺は覚えてないけど!
「当たり前な訳ねぇだろ……、今すぐやめろ……」
全力で叫びたかったが、赤ん坊の前で大声も出せず、俺は小声で言った。
「そうか……、まぁ良い。貴様が本当に我を忘れている事は分かった。解除しよう」
「はぁ…、そうしてくれ……。俺は今、赤ん坊達への授乳で忙しい、話があるなら後だ…」
拒否権なさそうだし、今聞くよりは楽だろ……。
「うむ、分かった!ならば我は、先に貴様の部屋に行き、待つとしよう」
「あぁ、分かったよ…。この部屋の扉を俺の部屋に繋げたから、そこでゆっくり待っててくれ…」
俺がそう言うと、波動竜はうむ!と言いながら頷き、この部屋の扉に向かって歩き始めた。
説得するのは大変だと思っていたが、意外に素直だな……。
扉の前まで歩くと、波動竜は俺の居る方に振り返って、こう言った。
「話をするのは後だが、貴様には少し、我を思い出してもらおう。"四季"、貴様は我の盟友だ」
「っ!!!!」
"四季"。その言葉を聞き、俺は思い出した。
それは、俺の家名だ……。
そしてそれを思い出すと、その記憶につられる様にもう一つの記憶も思い出した。
それは、俺が一体の竜を前に、盟友の契りを交わしている記憶だ。
本当に会っていた!?
だが俺は、忘れている事すら認識出来なかったぞ………。
「その顔、少しは思い出したか。ならば良い、先に行っているぞ」
そう言い終えると、波動竜は扉を開けて、俺の部屋へ行ってしまった。
少し記憶が戻っても気になるだけだろうが!!
全部思い出させろや!!
〈マオ…、本当に後14人なのか…?〉
〈…………〉
俺がマオにそう聞くと、静かに呼吸をする声が聞こえた。
こ、こいつ!寝てやがる!?
まさか…、『子守歌の波動』で寝たのか!!
ま、まぁ…、マオも忙しいもんな……。
精神的にはまだまだ子供っぽいし、仕方ない、か………?
波動竜の話も気になるし、残り14人、頑張りますか……。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
今回、魔王の家名が分かりました!
そして何故、忘れた記憶を認識出来なかったのか?
答えのヒントはもう出てきているので、次回で答え合わせです!
次回は今週の金曜日か土曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!




