第三話『魔王の世界創世記3』
どうも!
19時に投稿する分と、次の第四話分を一気に投稿するために遅れました…。すいませんm(_ _)m
その分文書量が二話分なので、是非最後まで読んでいってください!
「これから、お前達5人には死んでもらう。異論のあるものはいるか?」
俺の問いに5人は答えず、ただ微笑んだ。
俺の『魔王眼』は、100%起動すれば文字通り、全ての情報を見る事が出来る。当然その中には、対象の感情すらも含まれる。
だからこそ、その感情見て、俺はあの世界が歪んでいた事実を再認識できた。
俺に対して畏怖の念を抱くのならまだいい、それは俺が抱かせているのだから……。
でも…、何で……感謝してるんだよ………。
殺される事を感謝する程、歪んで成長してしまったこの子達を見ると、今にも怒りが再燃しそうだ…。
〈マスター、魔力漏れてるよ~。それと!魔法の準備出来たよ!いつでもオッケ~!〉
一瞬、怒りそうになった俺に、マオの声が聞こえ、俺を冷静にする。
危なかった……、少し落ち着こう……。
〈分かった、すぐに展開する。対象は5人だ。間違えるなよ〉
〈分かってるし~!〉
マオはそう言って、笑顔のイメージを送ってきた。
失敗しそうで少し怖いが、その時は俺がなんとかしてやろう。
俺は一呼吸し、宣言する。
「術式起動。展開。『死ノ甦生』」
魔法が発動し、目の前に立っていた5人は力なく倒れ、首に着いていたチョーカーが外れる。
上手く魔法が発動し、彼女達は死んだ。
そして、今から黄泉がえる。
『死ノ甦生』。この魔法は本来、他者の魂を奪い、別の者を甦生させる魔法だ。
それを今回、奪った魂を造り変えた肉体に戻すことで、死んでから蘇るまでを一度に出来る様にした。
"蘇生魔法"を使える俺には必要ないと思ってたけど…、どんな魔法も使いようだな……。
そんな事を考えていると、奪った魂が肉体に戻り、生き返り始めた。
「やぁ、メイド諸君。目は覚めたか?」
俺がそう言うと、メイド服を着た元改造ホムンクルスの子達は、顔をあげて、怯えながら俺を見た。
「そんな怯えなくとも、もう殺さないから安心しろ」
「……どう…して……?」
俺の言葉を聞き安心したのか、一人が弱々しく口を開いた。
「チョーカーの事か?嫌いなんだよ、だから外したんだ。それ意外に理由は無いぞ?」
「違う……私達、…生きてる……」
「ん?生き返ったんだから当たり前だろ。それと、さっきはありがとな。お前が動いてくれたお陰で、かなり楽に動けた」
「…ありがとう……?」
彼女がそう言った時、ちょうど空が赤に染まった。
「あぁ、ありがとう。俺のいた世界の感謝の言葉だ。お前達の世界だと、違う意味なのか?」
時々だが、俺の使う言葉の意味が、異世界だと違う時がある。
例えば転生7回目の世界、女の魔族の子に"プレゼント"って言って誕生日に手造りの魔剣をあげたのに、その世界だと"女性用の下着"を意味するらしく、ぶん殴られた………。
すぐに包みを破って魔剣を見せる事で誤解は解けたが、あと少しで、部下に下着を送る変態だと思われる所だった。
「いえ、意味は同じです。道具である私達に感謝するのが不思議で………」
「道具ではない」
「え…?」
「お前達は道具ではない。しかし、改造ホムンクルスでもない。今のお前達の種族は、『家守の妖精』だ」
『家守の妖精』。その名の通り"家を守る"妖精。家という空間であれば、"竜"と1対1で殺し合える程、強い種族だ。勿論家でなら、俺より強い。
「妖精…、私達がですか?」
「そうだ。勝手に種族を変えて悪いが、これでお前達は俺に従う必要は無くなった。俺のもとを去りたい奴は去って構わない。どうするかは自分で選べ」
「…………」
メイド服を着た家守の妖精達は、黙ってしまった。
ま、答えは俺のもとを去るに決まってるがな…。
この子達は俺を怖がってる。一人で生きていける種族に変わった今、わざわざ怖い俺に従う必要もない。
赤ん坊は、俺とナビィさんで何とかなるだろ!多分。
〈マオもそう思うだろ?〉
〈確かに顔の表情とか声色の演技は凄かったけど……ふふふ、私は従うと思うよ〉
肯定されると思っていたが…、何か含みのある言い方で、言い返された。
〈ん?どういう事だ?〉
〈まぁまぁ焦らず見てなって。彼女達も動いたよ!〉
マオに言われ確認すると、妖精達はしゃがんでいた。
意味が分からず、その様子を見ていると、地面に落ちていたチョーカーを再び着けた。
あ!回収し忘れた!?だが何故?
「な、何やってるんだお前達!せっかく外してやったのに……」
「やはり、私達を心配してくれるんですね」
「何を言って…」
妖精達は少し微笑むと、俺の驚愕を他所に跪き、言葉を続けた。
「私は、この命尽きるその時まで、貴方様に従います。よろしくお願いします、魔王様」
一人の妖精がそう言うと、残りの四人の妖精達も、俺に従うと言い放ち、俺を見つめる。
あの、出来れば…、目にハイライトが欲しいです………。
〈だから言ったでしょ。マスターの演技は怖いけど、優しい部分が隠しきれてないんだもん!!〉
〈……まじか…〉
結構、恐ろしい魔王を出来てたと思うんだが……、それはどうしようもないだろ………。
「いやお前達!考え直せ!俺のもとで働くのはブラックだぞ!!!休みとかないぞ!!!」
「それは大変ですね。休みの必要がない種族で助かりました!」
「いや、そうじゃ……」
そこで空が日の光に照らされた。
強烈な眠気が俺を襲い、言葉が遮られる。
魔法が第7段階に移ったのか!?
でもなんで俺が眠らされるんだ……?
〈おい、マオ!ナビィさんに魔法を預けたのに何で俺が眠るんだよ……〉
〈え?そりゃ眠るのはマスターでしょ。魔法を展開したのはマスターなんだから、その後誰に魔法を預けても眠るのはマスターだよ?〉
〈お前な…、そういう……大事な事は…、もっと早く言いなさい……〉
今になってようやく理解した。
ナビィさんは見たんだ。今のこの状況を…。
だから俺が彼女達を『家守の妖精』にするまで、各段階に移るのが遅くなったのか……。
〈とりあえず…マオ。みんなを守れ……〉
〈うん、分かったー!私にお任せ!!マスターもおやすみ~〉
〈……あぁ…〉
妖精達は、力なく倒れた俺に慌てて近づいて来たが、俺が生きていると分かると安堵し、
「おやすみなさい。魔王様」
と、一人の妖精が言った。
・・
・
俺の意識が眠りそうになる刹那、頭に何者かの声が聞こえた。
人口の8割以上の殺戮を確認。
ーーー"称号"『魔王』を獲得しました。
へぇ……そんなのあったのか………。
ていうか…、誰だ……?
くそ………眠い………。
生存確率0%での人類の救出を確認。
ーーー"称号"『勇者』を獲得しました。
……は?………。
そこで、俺の意識は深い眠りに入った。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
因みに『家守の妖精』は、種族的に……。はい…。
遂に異世界が完成しました!
最後の"称号"は一体なんなのか?
次回、第四話『あれ?俺、魔王だよね??』は、今週の金曜日か土曜日の19時に投稿します。
お楽しみに!!




