第三十八話『はじめまして魔王です[表]』
どうも!
少し遅れてすいません。m(_ _)m
昨日に続き、連日投稿です。
今回は、魔王が魔王らしいです。
是非最後まで読んでいってください!
「はぁ…はぁ…、やっと…着いた……」
マオのジェットコースターの様な操作が終わり、俺は空中でそう言った。
〈マスター!マスター!すっっごい楽しかったね!!今度から毎日やろうよ!〉
と、かなり楽しそうなマオの声が念話で送られてくる。
〈やらねぇよ!もうお前に絶対操作任せねぇからな!!〉
〈えー、楽しいのに…。マスターのけち…〉
〈けちで結構。それより、『人柱』の施設は何処にあるんだ?〉
辺りを見回すが、それらしい建物が見えない。
"柱"ってつくからには、神様みてぇに馬鹿デカイ建物を想像してたんだが……。
まさか…、意外に地味な施設なのか?
〈え?『魔王眼』使ってしっかり視てよ!目の前にあるでしょ!!馬鹿デカイのが!!〉
マオにそう言われ、『魔王眼』の起動率を100%にしてもう一度よく視てみると…。
「マジか………」
前言撤回…、何だこれ……。
俺の目の前に、高さ10000メートルを越える巨大な塔の輪郭が視えた。
大陸の中心にこんな建物があったのか……、さすがに油断し過ぎだな………。ま、こんな情報に、もう意味は無いけどな…。
〈見えた?これが『人柱』が集まる施設。『身柱』だよ。マスターは今から、これをぶっ壊すんだよ!わくわくだね!!〉
………。
〈マオは女の子なんだから、ぶっ壊すのがわくわくするとか言っちゃ駄目だろ…〉
〈いいじゃん一撃だし。術式準備完了~、いつでも展開出来るよ~〉
〈はぁ…、分かった。ナビィさんはどうだ?終わったか?〉
〈んー、多分終わってると思う!返事ないし!!〉
〈よし。じゃあ始めるぞ!しばらく俺は念話で会話しないからな!念話の返事が無くてもへそ曲げるなよ〉
〈分かってるし!〉
〈なら良い。魔力管理頼んだ!〉
〈うん!このマオにお任せあれ~〉
今のでかなり不安になったが、成功する事を祈ろう…。
俺は大きく深呼吸をし、集中する。
今から俺が使う魔法は、この世界に転移する前に約束の女神が俺に与えた"番外魔法"。
使わないと思ってたんだけどな……。
「術式起動。展開。『世界終焉黙示録』」
俺の宣言とともに、空が禍々しい赤に染まる。
『世界終焉黙示録』。名前通り、世界に終焉をもたらす"番外魔法"。
〈上手くいったね!マスターの魔力も問題なさそうだよ~〉
「アホか、気を引き締めろ。まだ第1段階だろ」
マオはいつもそう言って失敗してるんだからな……。
この魔法は7段階あり、それぞれの段階に名前もある。
第1段階:空が赤に染まり、血の雨が降る『血落の空』
第2段階:空が青に染まり、海が干上がる『海食の空』
第3段階:空が黒緑に染まり、全ての水が飲めなくなる『水苦の空』
第4段階:空が白黒の斑模様に染まり、太陽と月が無くなる『陽月食の空』
第5段階:空が土色に染まり、大地が死ぬ『地壊の空』
第6段階:空が黒に染まり、生物が死に絶える『死の空』
第7段階:世界が白に染まり、世界が終わる『終焉の白』
「……すげぇな……」
世界を終わらせる究極の"破壊魔法"。
あの子供みたいな女神が与えると思えない魔法だ…。
と考えているうちに、海が干上がり、空が青に染まった。
魔法が第2段階に移ったようだ。
〈だから言ったじゃん!成功したよ!もう褒めてよ~〉
「…まぁ、そうだな。良くやったマオ。引き続き魔力管理頼んだぞ」
〈うん!頑張る!!〉
嬉しそうなマオの声が念話で聞こえた。
褒めて失敗しないといいけど…、ここで失敗…。あー、やめよう。考えると本当に失敗しそうだし……。
「さて、いつものやるか」
俺は気を取り直して、目の前の『身柱』を見る。
さっきまで『魔王眼』を完璧に使わなきゃ見えなかった『身柱』が、俺の展開した魔法に反応したのか、その姿を現している。カモフラージュの為のエネルギーも使って、俺と戦う気なのだろう。
俺は大きく息を吸い、声をあげる。
1000回目の決まり文句を…。
「こんばんは人類。はじめまして、魔王です」
同時に空が黒緑に染まった。
魔力で強化した声が、大陸に響く。
その声が聞こえたのか、目の前の『身柱』から、大量のレーザーが放たれる。
俺は構わず続ける。
レーザーはマオとナビィさんがなんとかしてくれる。
考える必要はない。
「天使のラッパは吹かれた。貴様ら人類が生存する未来は、既に失われた」
俺がそう言うと、空が白黒の斑模様に染まった。
この魔法は、展開した時点で過去を消滅させる。
つまり、仮にこの世界にタイムマシンがあったとしても、無い過去に行くことは出来ない。
「お前達は間違えた。発展する事を放棄したこの世界は、今宵終わる。これは必然だ」
俺がそう言ったところで、空が土色に染まった。
大陸は割れ、そこに居る者達は苦しみだし、生き残った者達が家から出て俺を見る。
この世界の『超越者』は人類を管理する事が目的だ。その証拠に、これだけの科学力を持ちながら、星を出ている者が居ない。
発展を放棄した、神にとって面白味の無い世界は、終わるのが必然だ。遅かれ早かれ、こうなっていただろう……。
「悪いな人類。俺は今生きている80兆人よりも、これから死んでしまう300兆人を越える奴らを守ることにした。怨むなら好きにしろ。意味の無いことだ。そして、さようなら」
そう言い終えた時、空が黒に染まった。
同時に、生き残って苦しんでいた者達が、全て死に絶えた。
当然この中には、未来のあった子供達も含まれている。
俺はそれを見下す。
「…………去らばだ」
もう誰も、この世界の者達は生きていないが、気にせず続ける。
俺は無数の屍に語りかける。
「次の人生は、『魔王』に会わぬ事を祈れ!そして…」
次に出そうになった言葉を、俺は呑み込んだ。
それは絶対に俺が言ってはいけない言葉だ……。
そこで、世界は白に染まった。
この時をもって、この世界は終焉を迎えた。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
世界が終わりました。ここからどうなるのか?
第一章も残り二話!
次回、第三十九話『はじめまして魔王です[裏]』を、完成次第投稿します。
お楽しみに!




