第三十七話『夜空に響く声』
どうも!
久しぶりに19時に投稿出来ました!
今回は多分3日連続投稿なので、明日も読んでくれると嬉しいです。
是非最後まで読んでいってください!
1人の改造ホムンクルスが無言で赤ん坊を抱きながら、首を傾げていた。
「ん?あー、赤ん坊は乳母車ごと入れて良いぞ。一応地面みたいなのあるから」
そう言うと、メイド服を着た女の改造ホムンクルスは一礼をして、赤ん坊を乳母車ごと"ゲート"に潜って行った。
今俺が何をしている、この建物に居た5人の改造ホムンクルス達と協力して、生きている赤ん坊達を『魔法空間』に避難させている。
「は~い。ゆっくり入ってね~。レーザーからは絶対守ってやるから。焦らずゆっくりな~」
メイド服を着た5人の改造ホムンクルス達は、無言で俺に従ってくれている……。
〈こいつら見てると昔のナビィさん思い出すなぁ…、せっかく美人なのに無表情で、感情を表に出せない人形の様な所とか、似てるよなぁ………。マオもそう思うだろ?〉
今は良いけど…、喋れる様になるのはだいぶ先になりそうだなぁ……。
〈いや、私も同じ様な感じだったし……〉
〈そうだったな〉
俺の前のマスターが、マオの"魔法人格"を無理やり殺した所為で、俺がマスターになった時、"魔法人格"が壊れていた……。
まぁ、転生したそいつを探し出して挽き肉にしたけど、許せねぇよなぁ……。
〈まぁ私がこんなにもプリティーになったのは、マスターのお陰だからね!!〉
すると、さっきのテンションが嘘の様なハイテンションでマオが言った。
せっかくのシリアスな空気も、マオの笑顔のイメージが送られてくると同時に、何処かへ行ってしまった…。
〈そうだったな。はぁ……〉
そうだよなぁ……俺が甘やかし過ぎた所為で、こんなにも高性能になっちゃったんだよなぁ……。
〈ちょ!何でそこで溜め息!?〉
〈はは、気のせいだよ〉
〈もー!絶対嘘じゃん!!〉
でもこっちの方が、俺は楽しいんだよなぁ。
ナビィさんに聞かれたら殺されそうだけど…。
〈ほらほら、集中しろ。ナビィさんも言ってたろ…、いつレーザー撃たれてもおかしくないんだから〉
〈分かってるけど……マスター、本当にアレ使うの?もう準備出来たけど……〉
〈何度も聞くな。言ったろ、もういいんだよ〉
〈ふーん。あ、そういえばさっきナビィから連絡きたよ!〉
〈…何の連絡だ?〉
ここ世界来てからの経験上、このタイミングの連絡は悪い予感しかしない……。
〈レーザー照射まであと1分だって。連絡から少し経ってるから…、後10秒くらいかな~〉
〈アホか!?もっと早く言えよ!!ギリギリじゃねぇか!!!〉
せめて後5秒だけ早ければ余裕だったのに……。
「術式再起動。再展開!『万能:八式結界』」
俺の言葉に反応し、光を発する円形の結界が出現する。
実はこの再展開した結界、波動竜が放った"時殺しの咆哮"で砕かれた結界であり、既に守るという効果は失われている。このままレーザーに当たっても、そのまま俺達に直撃する。
だがこの結界魔法は、破壊された後に本領を発揮する。
天井が光を放つ、いや、これはレーザーの光だ。
良かった…、ギリギリ間に合った!!
「術式反転!!『天撃:八式魔力砲』!!」
瞬間、とてつもない光が発生し、レーザーを撃ち返した。
『天撃:八式魔力砲』。『万能:八式結界』が砕かれた時のみ発動できる特殊魔法。
砕かれるまで結界に蓄積されたエネルギーを全て"魔力砲"にして放つ。つまり、さっき撃った魔力砲は、"時殺しの咆哮"のエネルギーを使った、この魔法で出せる最高火力の魔力砲だ。
レーザーどころか、照射場所もただでは済まないだろう。
「どうだ今の魔法。魔王の実力思い知ったか!!『人柱』なんて大したことないんだよ!!ばぁぁぁぁか!!!」
いや~マジで気分良いわ!スッキリした~!!
良いなこれ、今度からストレス貯まったらこうやって発散しよう!!!
〈マスター…、子供みたいで格好悪いよ…〉
「う、うるさいな…、ちょっと興奮し過ぎただけだ……」
〈私は念話で喋ってるんだよ?まだ全然、興奮収まってないじゃん!!〉
〈……ごめん〉
〈それはそうとマスター。赤ん坊と改造ホムンクルス達、皆『魔法空間』に避難できたよ~〉
いや、謝ったんだから反応しろよ!!
俺の会話ボールが一方通行だよ?
別にいいけど……。
〈なら、移動するぞ。もうここに居ても意味ないし…〉
〈オッケ~。じゃあ『飛行魔法』かけるね~〉
マオがそう言うと、俺の体が重力を無視して、空中に浮き始めた。
〈まずは『人柱』の所に行く。操作よろしくな〉
〈了解~。行っくよ~〉
「おい!速度は普通でいいからなぁぁぁぁ!!!」
〈にゃははははは!!!〉
お願いは却下され、俺はものすごい速度で目的地に向かって飛んで行った。
マオが念話で楽しそうな声を響かせながら、静かな夜空に魔王の悲鳴が響いた。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
あと三話で、第一章が終わります。
ここまでかなり話数が増えましたが、ようやく安心出来ます。
次回は、明日の19時に投稿します。
お楽しみに!




