第三十六話『世界攻略を始めよう』
どうも!
なんとか水曜日に投稿出来ました!
今回も少し長めですが、是非最後まで読んでいってください!
「それで…、何に狙われてるの…俺…?」
もうだいたい想像つくけど……。
一応ナビィさんに聞いておこう……。
「先ほど話したこの世界の政府組織、『人柱』です。処理が終われば、レーザーで建物ごと掃除して、次の処理の日までに建て直す。これを繰り返し行っています」
やっぱり『人柱』か……。
しかも建物ごと…、流石…超科学世界だ…。
「やる事がえげつねぇ……建物ごとかよ……」
「はい。既にロックオンされているので、竜の鱗を貫通するあのレーザーがいつ撃たれてもおかしくありません。素早い判断でお願いします、御主人様」
ん?既にロックオン?
それはおかしいだろ………。
「いや…おかしいだろ…、まだこの建物に生きてる奴がいるぞ?」
俺が怒って殺そうとしてしまった、ここで働いてる奴らがまだこの建物にいる。
まさか…、そいつらも消すのか?
俺の言葉にナビィは無言のまま、返答しない。
つまり、それが答えだ。
ここでそいつらを助けても…、その先も助けられる訳じゃない…。少年の様に殺されるのがオチだろう………。
でも………。
〈イェ~イ!私!完全復活!!あれ~?マスター元気無いね?ナビィ潰され過ぎた?〉
真剣に考えている俺に、そんなマオの声が念話で送られてきた。
〈…お前なぁ、もうちょっと考えて会話入ってこいよ……、ナビィさんの顔ヤバいぞ………〉
せっかく俺を潰してスッキリした顔になってたのに……、マオのせいでまた般若みたいな笑顔になっちゃったよ………。
せっかく美人さんなのに、勿体ない……。
〈えぇ~、めんどくさい。ナビィなら平気でしょ。マスターが痛いだけだし〉
「ふふふ、舐められては困ります。私が本気を出せば、そのポンコツにも痛みを与えることは可能ですよ?スクラップにしますか?御主人様」
〈な!?ポンコツじゃないし!!〉
「はい、そこまでー。マオは挑発に乗るなー。ナビィさんも、本気出さないでね…」
ナビィさんの言い方だと、俺が巻き添えくらってるから……。
「兎に角、時間はあまり残されていません。早急な判断を求めます」
「分かってる。だからその前に、マオの"計算結果"を聞いておきたい」
「計算結果?ポンコツに頼んだんですか?」
ナビィさんは首をかしげながら、少し迫って聞いてくる。
な、なにおぉぉ!!と、怒っているマオの念話が送られてきたが…、俺はスルーしておこう……。
「あぁ…。その結果次第で、今どうするかの答えが変わる」
「それで…、何を計算したんですか?御主人様がこれから潰される回数ですか?」
「違うわ!!何だその恐ろしい計算!?そんな事じゃなくて…、もっとちゃんとした計算だよ。マオ、ナビィさんにも一緒に教えてくれ」
〈んー。分かったよ……、教えてあげる〉
マオはただ休んでただけじゃない。
俺が頼んでおいたのだ。とある計算を……。
すこしの間の後、マオは計算結果を話始めた。
〈人口の2%。年間1.6兆人が、この処理で死んでるよ。マスターが最高権力の握る時までこれが続くって考えても、最低でも〉
「………」
「……そうか」
それを聞いたナビィさんは無言だったが、俺は絞り出してそう言った。
ナビィさんは、俺の支配体制が出来るまで300年掛かると言っていた。
ここまで国民に浸透したシステムを消すには、300年まで掛からないにしても、膨大な年月必要だろう………。
なら、"覚悟が決まった"。
「ナビィ。お前だけ撤退しろ。俺はここの奴らを守る」
「……御主人様、本気ですか?成功確率は絶無ですよ?」
「あぁ、分かってる。それこそ偶然が重ならなきゃ、不可能だろうな」
ナビィさんの忠告に、俺は少し笑いながらそう返す。
「……はぁ、了解しました。御主人様、ご武運を」
「ナビィもな。上手くやれよ」
俺がそう言うと、ナビィさんは一礼をし、"無詠唱無術式"の『転移魔法』で、行動を開始した。
〈え、何?マスター、何かと戦うの??〉
話を全く理解してないマオは、かなり戸惑いながら聞いてくる。
〈正解。この建物にいる奴らを守る。まずはこの建物に向けて撃たれるレーザーをどうにかするぞ。残していたアレも使うから、準備頼んだぞ〉
〈え、レーザー!?正気なの?せっかく残しておいたのに…〉
〈いいんだよ。もう、正攻法では攻略しないから〉
覚悟が決まったんだ。
『魔王』らしく理不尽に、この世界を支配する覚悟が。
さぁ、改めて始めよう。
『魔王』による。世界攻略を。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
ようやく『魔王』の覚悟が決まりました。
第一章も残り数話、世界攻略が始まります。
次回は今週土曜日の19時頃に投稿します!
お楽しみに!