第三十一話『激怒の赤い花』
どうも!
昨日に続き、2日連続投稿です。
19時に投稿出来ませんでした…。すいません。
今回は書いている側も、ちょっとキツかったです。
※流血表現もあります。
是非最後まで読んでいってください!
俺の眼に、少年だった肉塊が映っている。
あり得ない。あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない。
こんな事は、あり得ない。
この世界の犯罪発生率は0なんじゃなかったのか!!
何でこんな事が…………。
俺が立ち尽くしていると、小太りの男が近づいてくる。
「なんだ~?首輪が無いって事は新入りか?ゴーグルもせずによく来れたな」
「……あぁ、そうだ」
ゴーグルが何なのかは知らんが、そんな事は関係ない。
「そうか、よく来たな新入り。おい!お前達!新入りが来た。銃の使い方教えてやれ!!」
俺に話かけてきた小太りの男がそう言うと、暗闇から四人の人影があらわれた。
「へぇ~、珍しいっすね。新入りなんて、何年ぶりっすか。教えがいがあるっす」
四人うち1人のがそう言うと、他の3人も軽く相づちをしている。
「で、お前さんは何の銃を使う?今回は俺の奢りだ。好きな銃を使っていいぞ」
小太りの男は、大声で笑いながら銃のリストを見せてくる。
「…何でもいい」
「そうか!なら俺の使ってる銃を貸してやろう。使い方はあいつらに教えてもらえ」
そう言い終えると、小太りの男は別の銃を取り出し、撃ち始めた。それに続くように、3人の男達も撃ち始めた。まるで、娯楽を楽しむかのように…。
いや、実際娯楽なのだろう、こいつらにとってこれは単なる遊びだ。
「じゃ、こっちも再開しましょう!俺が教えるんで、安心してくださいっす!絶対楽しめると思うっすから」
俺が表情を変えない事を気にしたのだろう。銃の使い方を俺に教える為に残った男は、笑顔で言ってくる。
どうやら、俺を奥のスペースへ案内するようだ。
「やっぱり実弾はいいな!!血しぶきがいい感じに飛ぶ。レーザーじゃ肉を焼いちまって、うまく飛んでくれねぇからな!!ははは!!!」
誰が言ったかは知らないが、そんな声が聞こえてくる。
……あぁ……そうだった…。
この5日間が平和過ぎて、俺は勘違いしていたようだ。
なるほど、だから女神は1000回目にこの世界を選んだのか。
確かに、この歪んだ世界には『魔王』が必要だ。それも、普通の魔王ではなく、『レベルの無い魔王』が……。
そういう事なら、俺の好きにさせてもうぞ。
〈マオ〉
〈………〉
俺は念話を送る。返事は無いが続ける。
〈命令だ。全員殺す。邪魔をするな〉
〈ま、待ってよ!マスター!〉
〈待たない。黙ってろ〉
俺はそう言うと、念話を切断した。
「どうしたんすか?撃たないんすか?」
念話のために黙っていた俺に、男はそう聞いてくる。
愚問だ。
「あぁ、撃たない」
「そうっすか!まぁ、初めて来て撃てる奴なんて、そうそう居ないんで、気を落とさなくていいっすよ!」
そう言い終えた男の頭部は、花が咲く様に破裂した。
破裂した理由?
聞くまでもないだろう。
俺がこの男に、"対人間即死魔法"『ブラッドフラワー』を使ったからだ。
『詠唱破棄』と『術式破棄』を使えば、わざわざ声を出す必要も無い。
俺の体に、大量の血液がかかったが、全く問題ない。
「ひぃっ!」
左のスペースに居た男から、悲鳴の声が聞こえる。
1人1人殺すのも面倒だ。
俺は同じ魔法を多重展開し、発動させる。
それにより、悲鳴を上げた男と銃を撃っていた男達の頭部がすべて破裂した。
返り血をベットリと浴びて立つ俺の姿は、紛れもなく魔王のそれだろう。
ん?おかしい。何故まだ、気配があるんだ?
俺はこの建物にいる全員に向けて魔法を使った筈だが……。
まぁいいか……。
俺は同じように、魔法展開する。
が、その魔法は一瞬で無効化された。
〈繋がった!!マスター落ち着いて!!〉
それと同時に、マオが念話を送ってくる。
切断した念話空間を繋ぎ直したようだ。
〈落ち着いている。だから邪魔をするな〉
〈落ち着いてない!!〉
〈落ち着いている。これ以上言い合っても無駄だ〉
〈待って!〉
待つわけがない。必要ない。
俺は念話空間を切断……
〈魔王様っ!!!〉
する直前、マオのそんな声が頭に響く…。
〈!!!!!〉
あ……。それは、その言葉は…。
マオが言いたくないと嫌がっていた言葉だ。
俺の『魔法回路』になる前に、機械のように扱われた事を、思い出してしまうから………。
これじゃ…、同じじゃないか……俺も……。
〈頭は冷えた?〉
〈あぁ、ごめん。おかげで、すこし冷えた。それと、ありがとな。マオが魔法を無効化してくれて助かった。おかげ無駄に殺さなくてすんだ〉
危なかった…、また同じ事をさせてしまうところだった。
本当にごめん。
〈そ、良かった。じゃあ約束通り、一緒に謝ろうね〉
笑顔のイメージとともに、穏やかな声も聞こえてくる。
〈ん?どういう意味だ?〉
穏やかな声に騙されるところだったが、謝るのは家に帰ってからだよな?
〈後ろ、振り返ってごらん〉
マオの念話を聞き、ようやく気づいた。気づいてしまった………。
魔法を無効化させたのはマオではなかった。マオが直接、俺の邪魔をする事は出来なかったのだ。俺が命令したから………。
なら、誰が無効化したのか………。
答えは…………。
俺の後ろに、自分のさっきの行いが可愛く見える程、とてつもなく怒っている存在が居るじゃないか………。
「や、やぁ!ナビィさん!!これには理由があってだね!だからーー」
「言い訳は聞きません。とりあえず、私に殺されてください」
「嫌!!ちょ、ちょっと待って!!!まだ心の準備がぁぁぁぁ!!!!」
俺は最後にそう言って、般若の様な笑顔を浮かべたナビィさんに殺されてました。
痛いです………。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
この世界に住む者達との考え方のズレが、表に出てきました。魔王がこれを知ってどう動くのか…。
次回は、水曜日か木曜日の19時頃に投稿したいです。
お楽しみに!




