第二十三話『いつもの事』
どうも!
昨日に続き、2日連続投稿です。
是非最後まで読んでいってください!
「はぁ……、もういいですよ。御主人様が邪魔なのは最初からですから、許してあげます」
そんなナビィさんの声が、リビングに響く。
「…………」
ようやく許しが出たので、俺は姿勢を崩して立ち上がった。
うぅ……。
まさか5時間も土下座させられるとは…、思わなかった………。
その間ずっと悪口言われるし…、俺…本当に魔王だよ?君の御主人様だよ?
はぁ、泣いていいかな………。
〈マスターって、その…すごいね…〉
呆れた声音で、マオからの念話が送られてくる。
〈マオ、お前…ナビィさんと喋りたくないからって、わざと黙ってただろ……〉
お前が会話に入ってくれれば、土下座の時間も、もう少し短くなったはずだ。
うん。間違いなく、1時間は短くなったはずだ。
〈そ、そうだよ!喋りたくなかったんだもん!私悪くないよ!〉
〈開き直るなよ………〉
俺がそう言うと、無言で念話を切られてしまった……。
えぇ………。
「御主人様?」
「な、なんだ?」
ヤバイな……、全然聞いてなかった。
バレたら細切れにされる…………。
俺の反応を見て、ナビィさんがため息を吐き、口を開いた。
「悪口はこれぐらいにしておきましょう」
「……」
悪口だったか。はは、さっすがー…。
「他に聞きたい事はありますか?」
「いや、急に言われてもな…」
うーん…、何かあったっけなぁ………。
「あ…そういえば、年齢を言ったら、少年に怖がられたんだけど、理由分かるか?」
「少年?」
「あぁ、公園で知り合ったんだ。年齢聞かれたから答えたんだけどさ、怖がってたんだ」
「年齢ですか……、肉体年齢を言ったのですか?」
「いや、転生含めた年齢、やっぱり何か問題だったか?」
流石に30万歳以上は、この世界でも現実味がなかったか………。
「そうですか……。憶測ですが、おそらく御主人様はその少年に勘違いされています」
「勘違い?」
「えぇ。現在この国の最高権力を握っているのは、寿命の枷を越えた『超越者』とされてますから。それと、間違えたのでしょう」
「なるほどな」
この国の体制を支えているのが『超越者』なら納得だ。あいつら内政は上手いけど、命に対する価値観がずれてるからな……。
それにしても…、良かったぁ………。
おじさん嫌われてなかった……。
「明日あたりに、その誤解も解いた方がいいでしょう。今後の行動にも関係しますから」
「そうだな。怖がられるの嫌だし。明日言っておくよ」
「それでは、私はこれで。まだやることが残っているので」
そう言って、ナビィさんも椅子から立ち上がった。
「そっか。気をつけろよ」
「はい。御主人様も、最後の休日をお楽しみください」
「え?」
ナビィさんは、俺の反応を無視して出ていってしまった。
「ちょ、ちょっと待って!」
当然、この言葉も無視して、何処かへ行ってしまった…。
え、嘘だよね?冗談でしょ?
俺、全部の転生も含めて、これまで異世界で10日しか休んでないのに………。
「はぁ…、もういいよ……。いつもの事だし……」
そんな俺の言葉が、誰も居なくなってしまったリビングに響いた。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
やっとここまで書けました。
一章も、残り5~6話だと思います。
次回は来週の土曜日に投稿します。
お楽しみに!




