第二十話『僕』
どうも!
2日連続投稿なのに、何故か3話連続投稿になりました。
今回は少年のお話です。
是非最後まで読んでいってください!
僕は改造ホムンクルスだ。
僕には最初から、両親と呼べる存在は居ないし、名前も無い。
そんな僕は、施設のひとたちにとって道具だ。
命令通り行動出来なければ殴られるし、命令通り行動出来ても、調子に乗るなと殴られる。
命令に叛けば、殺される。
これからも一生、僕はそういう存在だ。
だから、目の前のおじさんは、僕にとって、とても不思議な大人だった。
この僕を子供と言い、普通の子供のように遊ばせる。
今だってそうだ。
もう三時間は、おじさんは僕と、ボールを投げ合っている。
1球目のボールを消してしまったのに、当たり前のように僕を殴らず、いつの間にか、2球目のボールを持っていた。
本当に、この人は何者なんだろう?
初めて会った時からチョーカーを付けてないし、仕事をせずに公園へ連続で来れる"人"なんて、聞いた事がない。
答えになる存在を僕は1つ知っている。だけど、信じたくない。
だから僕は、ボールを投げながら、おじさんに質問をした。
「おじさんって何歳なの?」
「急にどうした?ボール投げ止めるか?」
ボールを受け取ったおじさんが、首をかしげながら聞いてくる。
「いや、なんとなく…。おじさんって事は、それなりに歳を取ってるの?」
「まぁ、それなりに歳を取ってるよ」
そう言いながら、おじさんもボールを僕に向かって投げ返す。
僕もそれをキャッチしておじさんに投げ返す。
「何歳?」
僕がそう聞くと、そうだなぁ……と言って、おじさんは下を向いて、動きが止まってしまった。
こうなったおじさんは、しばらく僕の言葉に反応してくれない。何故だかは知らない。
しばらくして、おじさんの表情が落ち込んだように変わった。
「おじさん?どうしたの?体調悪いの?」
もしかして、僕と遊んだから…?
「ん?あ……歳だったな…」
「そうだけど…、言いたくないなら言わなくていいよ?」
あんなに落ち込んでたし……。
「気にするな。ただ数えるのに時間が掛かっただけだよ」
「数えるのに時間が掛かったの?…」
「まぁ、そうだ。だいたい30万歳くらいだった」
……………。
やっぱり、そうなんだ……。
おじさんも…………。
「どうした……?少年?」
おじさんが心配そうに聞いてくる。
「ううん、なんでもない。そっか…、だからおじさんはチョーカーを付けてないんだね……」
「まぁ、そんなとこだ。ほれ、ボール投げろ。ずっと持ってて悪かったな」
そう言って、おじさんは肯定する。
僕は転がされてきたボールを受け取り、地面に置き直す。
そっか……。
そうなのか………。
「やっぱりどうした?変だぞ少年?」
この後のことを、僕は余り覚えていなし、いつの間にか、次の日になっていた。
ただし、確かなことが1つだけあった。
――僕は、命令に叛いてしまった。
今日もおじさんは、公園にいるだろうか…。
いっぱい、遊びたいな…………。
そんな事を考えながら、僕は施設を出て、公園へ向かって走り出した。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
お陰さまで、ユニークアクセス数が500人を突破しました!本当にありがとうございます。
次回は、月曜日か火曜日に投稿すると思います。
お楽しみに!