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1000回目の魔王様~どう考えても俺より強いんですが、~  作者: 落ち武者
第一章 ~はじめまして魔王です~
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第十八話『30歳』

どうも!

前回の後書きで、金曜日って言ってたのに土曜日でした。すいません…。


今回も2日間連続投稿です。

是非最後まで読んでいってください!

 良かった……、取れた…。


 俺は心から安堵する。その理由は簡単だ。


 『魔王眼(特殊スキル)』を使って、ギリギリ捉えられる程の速度だった……。

もし準備してなかったら、今の俺(レベルの無い魔王)の体を、半分は吹き飛ばせる威力だ。


 正直今も、ボールを受け止めた掌がヒリヒリする。


「嘘……、おじさん片手で取ったの!?」


 俺がボールを取ってからしばらくして、少年の嬉しそうな声が聞こえた。


「おじさんだからな。これぐらい出来る」


 出来るけど…もう取りたくない…。痛いし……。


「そっか。ねぇ、僕、もっと投げたい!」


 嫌だぁぁぁぁ!!こんな事なら、『痛覚無効(特殊スキル)』を獲得しとけば良かった………。

 でも…少年の気持ちは尊重したい………。


「そうか。どんどん投げろ!」


 出来れば…もう少し弱く投げて………。


「うん。分かった!全力で投げるね!」


「そうか…、いいぞ!」


 うん。思う存分投げろ……もういいよ!

その代わり…、俺も全力で投げ返してやる!


・・・・

・・・

・・


 3時間ほど経っただろうか……。

あれから、ボールを取るだけで『痛覚無効(特殊スキル)』を獲得しました。なので、清々しい気分です。


 さすがの俺も、ボールを投げ合うだけで『特殊スキル』を獲得したのは初めてだ。ははは、少年パネェ…。


「おじさんって、何歳なの?」


 そう言いながら、光速のボールを投げる。


「急にどうした?ボール投げ止めるか?」


 俺は爆発音とともにボールをキャッチし、そう問いかける。


 出来れば…、もう止めたい……。


 本当に何者なんだ…この少年。

 名前も未だに分かんないし……、俺の1割の本気で投げたボールを、普通に取ってるんだけど………。


 そろそろ疲れてきたし、格好つけるのも限界だ……。


「いや、なんとなく…。おじさんって事は、それなりに年を取ってるの?」


「まぁ、それなりに歳を取ってるよ」


 そう言いながら、俺も本気で投げ返す。


「何歳?」


 少年はそのボールを普通にキャッチし、普通に投げ返しながら聞いてくる。


「そうだなぁ……」


 俺も、光速以上のボールをキャッチし、少し考える。

 いや、聞いた方が早いな…。


〈マオ~?俺って何歳だ?〉



〈ん?どっち?肉体年齢なら31歳で止まってるよ?〉


 忙しいのか、少し遅れて念話が返ってくる。


〈いや、そうじゃなくてだな。転生することも含めて、これまで俺は何年ぐらい生きてるのか聞いたんだよ〉


 1万は越えてると思うけど……。

こう考えてみると、しっかり数えるのは今回が初めてだな………。



〈えーとぉ……。それだとだいたい30万歳くらいだと思う。マスターは結構早いから〉


 は?もう30万年も経ったのか!?


 嘘だろ……。

 

 30歳過ぎたおっさんだった俺は、いつの間にか30万歳を越えるおっさんになっていた。


ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。


次回は、今日の19時か、日曜日に投稿します。

お楽しみに!


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