第十七話『消える魔球』
どうも!
カツ丼食べてたら20時になってました。
すいません…。
昨日に続き、2日連続投稿です。
是非最後まで読んでいってください!
ボールが消えた。跡形もなく…。
〈おいマオ…今の視たか?あれはどういう事だ?〉
少年の手からボールが離れる瞬間、何かの術式がボールに発動しているのが見えた。
あり得ない。
この世界はそもそも、魔素が薄い。『魔力無限生成』を持っている魔王やナビィさんならあり得るが、それは、この世界のホムンクルスであっても、魔術や魔法を使うのは不可能なはずだ。
〈うん、視たよ。でもあれは魔術じゃない。魔法でもないけど〉
魔術でも、魔法でもない?
〈それなら何なんだ?〉
〈うーん…、魔力を使ってないし、科学技術の何か。としか言えない〉
〈あれが科学技術…か…。なら使用する力は何だ?〉
ボールの速度を超光速にするとか…、もう魔法だ。魔力を使用してないなら、それに代わる力があるはずだが……。
〈多分、生命力…かな…〉
〈は!?生命力?下手したら寿命が縮むぞ!〉
〈その事なら心配しなくても平気だよ。あの子は改造されてるせいか、普通のホムンクルスよりも生命力が多いから。ボールを速くするくらいなら、寿命には関係しないと思う〉
〈そうか…良かった……〉
焦ったぁ……。
少年の寿命、縮めちゃう所だった…。
あれ?何でマオはこの世界のホムンクルスについての知識があるんだ?
そんな俺の様子を見て、少年が口を開いた。
「おじさん…、大丈夫?僕、初めて本気でボール投げたから、消えるなんて…知らなくて……ごめんなさい……」
申し訳なさそうに少年が謝ってくる。
まぁ、マオの事は後で良いか……。どうせ、明日には、ナビィさんが戻ってくるし。
今は少年だ。
「あぁ、大丈夫だぞ。別に謝んなくても怒ってないよ。だいたい、本気で投げろって言ったのは、おじさんだしな」
「……殴らないの?」
「殴らないよ!?」
俺がそう答えると、少年は少し驚いた表情をして、笑った。
「やっぱり、おじさんは変だね…こんな事すれば、普通殴るのに……」
「ぐぅ…、否定出来ないな…」
あぁ……こいつの周り奴ら、本当に腐ってるな……。
だから、俺が遊んでるんだけどな…。
〈マオ。もう一回ボール作れ。今度は不壊属性の『付与魔法』も付与してくれ。それで大丈夫なはずだ〉
〈いいよ~。でも程々にね〉
〈分かってるよ〉
寿命に影響が無いと言っても、少年の肉体と精神は、まだ子供と変わらないからな。
「よし少年。もう一回だ。もう一回離れて、ボールを投げてみよう」
「でも…ボールがないよ?」
疑いながらも、しっかり距離を取ってくれた少年が聞いてくる。
「それならもうある」
俺は右手にあったボールを、少年に見せる。
「これも手品?」
「そう、手品だ。分かったらさっさと投げてみろ。今度は消えないから」
そう言いながら、俺はボールを少年の方へ転がした。
「じゃあ、もう一回いくよ。それ!」
ボールを拾った少年が、全力で投げる。
その回転の無いボールが、一直線に俺に向かってくる。
ここは、おじさんの強さを見せるために、片手で取ろう。
俺は『魔王眼』を全力で使用し、超光速のそれを、片手で受け止める。
その後、とてつもない爆発音と暴風が起きたが、今度は問題なく、少年の投げたボールを取ることが出来た……。
よかった………。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
次回は、1月10日頃に投稿します。多分…。
お楽しみに!




