第四十一話『それは俺のハンバーグ』
ヒーローに憧れた。
きっかけは単純。
まだ私が幼い頃、ヒーローに救われたからだ。
黒き闇の神による"試練"と言われる厄災。
その中心に居た私に、かすり傷すら負わせず、たった1人で厄災を打ち破った。
文字通り、大陸を守り抜いた白いヒーロー。
名も知らないそんな彼に、私は憧れた。
そして私は…………
・・
・
「なるほどね……、ボクの知らない子が2人も居るから調べてみたけど………。黒の好みそうな子達みたいだ。今回はしょうがないか………」
白い世界で一柱、白い椅子に腰を掛ける女神は、
読み終えた本を閉じ、そう呟く。
白である僕が行動すれば、黒である彼も行動できる。当然の事だが、やはり対策してきたか……。
「まぁ、ボクが呼びたかった子は呼べたみたいだし、このまま予定通り始めようかな」
女神は新たな本を出現させ、笑みを浮かべる。
この程度の誤差であれば何も問題はない。むしろもっと面白くなりそうで、僕としては喜ばしい事だ。
出現させた本が白く発光する。
僕の瞳以外の全てが白いこの世界においてなお、発光と言えるほどの白。
「さぁ行ってらっしゃい。ボクの世界を楽しんで」
女神そう呟くと、本は白い地面に飲み込まれるように消失した。
「あぁ四季、楽しみで仕方ないよ。どうか死なないでね?」
新たな異世界人、君の天敵を送ろう。
「フフフ、ふふふ、どんな物語を読ませてくれるのかな?ボクに最高の面白い物語を読ませてくれ」
悲劇か喜劇か、本当に楽しみだ。
赤い瞳を輝かせ、女神は空のティーカップをすするのだった。
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ピエロと新たな異世界人の戦いが終わり、
俺達は、城の食堂で飯を食っている。
「あぁ!お前俺のハンバーグ食ったな!?何勝手に食ってんだよ!お前の分は目の前の皿に乗ってるだろうが!」
俺はそう言って、波動竜の目の前にある10個は積み重なっているハンバーグの山に指をさす。
「五月蝿い!我的には四季のハンバーグの方がうまそうだったのだ!はやくもう1つ寄越さんか!」
「寄越すわけねぇだろ!俺のだっての!ってもう無い!?あれ?ナビィさん?」
さっきまであったもう1つのハンバーグは、姿を消し、ナビィさんの皿に乗っている。
え、なんで………。
「波動竜様の言う通り美味しそうだったのでいただきました。何か問題でも?」
そう言い放つナビィさんの皿には、もちろん既にハンバーグが乗っている。俺のハンバーグも…。
「いや、俺の………」
「何か問題でも?」
「はい、問題無いです…。」
何で睨まれるの?怖いよぉ…。
しょうがない…、ハンバーグは諦めて他のものを食べるか………。
俺がとりあえずハンバーグの横にポツン盛られたパスタを食べようとしたその時、
「いや、何で俺達、飯を食ってんの?」
まだ名前も知らない、いかにも冒険者ですといった格好をした異世界人のそんな言葉が、食堂に響いた。
どうも!お久しぶりです!
ここまで読んでくれた方、もし存在したら凄いと思います。本当にありがとうございます。この話を最初に見た方も、よかったら一話からどうぞ!
このお話は私の需要の自給自足なので、完全に投稿しなくなることは無いです。このサイトがあるかぎり投稿は続けて、必ず完結させます。( ・-・)
さて、今回は唐突な飯の時間です。
白い世界についてもようやく少し情報が出てきました。
彼の天敵とはいったい?
実はもう次の話も書いてるので、次はそんなに期間が空くことがないと思います。m(__)m