第二十九話『黒と白の笑い』
どうも!
普通に遅れました。すいません。
今回は、女神のメイン回。
彼も久しぶりに登場する?
是非最後まで読んでいってください!!
「あぁ、残念だ。そっちが城に出現してしまったか……」
女神はいつもの様に本を眺め、紅茶とお菓子を口に運びながら、そう呟いた。
もう1人の方の人間なら、被害は出ただろうに……、本当に残念だ。
世界が新たに誕生して17日目………、これでは間に合わない。もっとペースをあげるしかない………。
そうだ。まだ彼に全く手をつけてなかった。
そろそろ弄ろうかな、ふふふ。
などと女神が考えていると、自分の"白き世界"に何者かが侵入したのが分かった。
「おや、久しぶりだね。君がこんな所に何の用だい?」
女神は突如不機嫌な顔で現れた侵入者に、ニヤリと笑みを浮かべながら、そう質問した。
「うるせぇ、二度と会うつもりはなかったんだよ。クソ女神」
「ふふ、相変わらずボクへの言葉が酷いな、黒。ボクはボクの役割を全うしているだけだよ」
「チッ、"黒き闇の神"だ。間違えんな。それに、そんな事は知ってる。だから会いたくなかったんだ……」
黒き闇の神は心底うんざりした顔でそう言うと、白き約束の女神の前の椅子に座った。
ふーん、それでも対話を望むか……、ふふふ。
「それで、ボクと何の話がしたいんだい?世間話をしに来た訳じゃ無いんだろ?ボクはどっちでもいいけど」
女神はニヤリと笑って、心底楽しそうに言った。
「はっ、当然だろ。俺がお前と世間話をする訳がない。
単刀直入に聞く。
お前、あの魔王を使って、いったい何をするつもりだ?」
黒き闇の神はそんな笑顔を睨みながら、本題に入る。
異世界人に詳しい説明をせずに"約束"を行っている事も。
『世界スキル』を見逃している事も。
他の世界から主要な存在を摘み取っている事も。
全て、通常はあり得ない事だ。
黒き闇の神の質問に答えるには、これらの事実の理由を、全て説明しなければならない。
君には悪いが、まだ、教えられない………。
「さぁね、どうだろう」
「!?てめぇ!!」
「だって、君に教えたら邪魔をするだろ?」
「当たり前だ!お前が喜劇だと言って楽しんでいるものは、俺にとっては不快なんだよ。ねじ曲げてでも未来を変える」
「だったら尚更教えられないよ。ボクは白き約束の女神だからね。君とは元々、気が合わないんだよ。
それとも、ボクと約束をするかい?」
「する訳ねぇだろ。そんな割に合わねぇ事………。
チッ、もういい好きにしろ。俺も勝手にやる」
そう言って、黒き闇の神は椅子から立ち上がる。
「おや、お茶も飲まず、もう帰るのかい?」
「飲まねぇよ。誰が好き好んで葉っぱ汁なんて飲むか…。
あー…、そうだ。てめぇが何を企んでるかは知らねぇが、最後に言っておく事があった」
一度背を見せた神は、そう言うと、女神にニヤリと笑う。
「何、かな……」
突然見せたその自然な笑顔を見て、白き約束の女神は頬をひきつらせて、聞き返す。
「お前が利用しようとしてる"勇者の力"。あれを創ったのが誰かってのは、理解しとけよ」
「ふふ、肝に命じておくよ……」
「はっ!今回はその顔で満足してやる。
それじゃあな、クソ女神。勝手に企んでろ」
黒き闇の神はそう言って、黒に呑み込まれる様に消えていった。
・・・
・・
・
「はぁ……、だから嫌だったんだ………」
黒き闇の神が居なくなり、再び自分だけになった白い世界で、女神は嘆息する。
計画には絶対に『魔勇』が必要だ。
悲しいかが、それは変えられない……。
見事だよ、本当に………。こうなる事を見越して、監視されながらも、彼と彼女達はこの世界に餌を撒いた。
世界創世という、ボクが用意していない餌を、ね…………。
本当に……、本当に………本当に面白い。
ボクは、白き約束の女神だ。
そんなボクを騙し、利用する。
嘘を一切吐かず、決して全力を見せず、企みすらも隠した。
このままでは、ボクの自由が失くなってしまう。
ま、そんな事させないけどね。
「ふふふ、ページを進めよう。
ヒーローの出番だ」
女神がそう言うと、2冊目の白い本が出現した。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
あれ?前回の話の説明は?
と思っている人も多いと思います。私もです。
次回で説明されます。はい。
次回は、今日の19時以降に投稿します。
お楽しみに!!