第二十七話『桃太郎の負い目』
どうも…。
眠いです…。
今回は、桃太郎の強さを再認識出来るかも?
是非最後まで読んでいってください!!
「お~、試してみるもんだな~」
29枚もの魔方陣が出現し、その下にある田んぼに凄い速度で稲の苗が植えられている。
「ま、魔王様、これ何ですか!?どんどん稲が植えられてますよ!? 」
「ふははは!『田植え魔法』だ!!」
「え、田植え魔法…?」
「そう、『多重運動遠隔再現魔法』。略して、"TA・U・E"魔法だ!!」
本来は用途は、魂の入ってない人形や、殺した人間を操って適当に戦場で暴れてもらうために創った魔法だが、思ったより汎用性が高いな。
今度から結構使うのもありだな……。
「あの…それって、最初からやってれば良かったのでは……?」
「ははは、さっき言ったろ。これは再現魔法なんだよ。最初に1枚仕上げないと出来ないんだ」
まぁ、本当は『操作魔法』を使えば最初から魔法で全部出来たが……、今回の目的に合わないからな。
どっちにしろ、1枚は田植えをしただろうし。
「そう、なんですか……」
「あぁ、だから文句言うな。もう終わりだし、俺は後から桃太郎と行くから、蒼依は鷺と先に城へ帰ってろ」
というか、もう鷺は歩いて城に行っちゃったぞ……、早く追いついてイチャイチャしてろ。
じゃないと、その八つ当たりが俺にきそうだ……。
「桃太郎さんって、あの桑を振らずに畑を耕してる人ですよね…。分かりました、僕と鷺は先に帰ってます。魔王様も気をつけてくださいね」
「ふっ、心配いらねぇよ。ちょっとやる事があるだけだだけだ。ナビィさんにもそう言っといてくれ」
「はい!」
蒼依はそう返事をすると、鷺に追いつく様に走って城へ帰っていった。
・・
・
少し経ち、俺が後ろを振り向くと、そこには土が一切着いていない桑を肩に担いだ桃太郎が立っていた。
「よう桃太郎、そっちも終わったみたいだな。…て、どうした?そんな複雑そうな顔して」
「いや、俺が3日近く掛かったのを考えて、少し落ち込んだだけだ」
「何言ってるんだよ。1枚で約一反もあるカチカチの土地を、3日で30枚も耕したんだぞ。十分凄いだろうが……」
寧ろ何で落ち込むんだよ…、人間技じゃねぇだろ。
まぁ"人"だけども………。
「…………違う、俺は別に、凄くなんかない」
桃太郎はそう言って、どこか悲しそうな、悔しそうな顔をしながら、目を逸らした。
それを見て、俺もようやく理解した。
あぁ…なるほど、そういう事か……。
お前はまだ、自分の『特殊スキル』に負い目を感じてるって感じか………。
「あのなぁ…、俺が凄いって言ったら凄いんだよ」
仕方ない、少し教えてやるか、俺はそういう事の先輩、だしな…。
「……でも」
「口答えするなバカ。
お前は凄い。それで話は終わりだ。でももへったくれも無い。
だいたい桃太郎、お前は包丁を使った事があるか?」
「一応あるが……、それが何だ………?」
俺の簡単な質問に、桃太郎は戸惑いながらもそう答えた。
「ふ、なら分かってるじゃねぇか。それは人間を殺せるぞ」
「!?だが、それとこれでは話が違う!」
「同じさ。包丁だって、すぐに完成する訳じゃない。お前のその手に届くまでに、多少なり犠牲は出てるだろ。
『特殊スキル』を獲得する条件なんて、それと同じさ。今回はそれが、殺戮だっただけ」
「………それが一番問題だろ」
「何を言ってるんだ。何も問題は無い。
お前が棄てた人間だ。そうやって考える方が、殺した奴らへの侮辱になる」
俺は落ち着いて、そう告げる。
確かに、お前が殺した村の人間には、女や子供も含まれていた。おそらく関係無い人間だって、お前は構わず殺していた。
まぁ、『放浪者』であるお前には関係無い事だ。
「なっ!?……………それでも、俺は…、忘れたく無いんだ」
「は?忘れなきゃいいだろ…。俺は負い目を感じるのを止めろって言ったんだ。
自分が人間を殺した事実を忘れる様な奴なら、俺はもっと怒ってるし、仲間にだってしていない。会った時点で殺してただろうな」
「殺して、た……」
「ふっ、分かったら自信を持って胸を張れ。お前は良い奴だ。魔王の俺が保証してやる」
俺は少し笑いながら、桃太郎の肩に手を置く。
少なくとも、お前がこの世界を旅立つ前に、お前が誰かと笑って戦える様にはしてやりたい。
ゆっくりで良いから、頑張れよ。
「はは、それは、恐ろしい保証だな。ははは」
桃太郎はいつの間にか流れた涙を腕でぬぐい、そう、笑うのだった。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
あれ?
おかしいな、まだ新キャラが出ない?
多分次話には出ると思う!
次回は木曜日か金曜日の19時以降に投稿します。
お楽しみに!!




