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プロローグ 俺が強い理由

アルファポリスというサイトでも投稿しています

「お前さ、このパーティーから抜けてくんない?」


 ここは、ドライト王国の中心に位置する、王都インデイン。そして、その王都の中にある冒険者ギルドの中だ。

 俺の名前はアーシャ・ンドルク、冒険者だ。

 たった今、街で最強と言われている冒険者パーティーから抜けろと言われてしまった。


「全然いいよ!」


「・・・・は?」


 俺は正直このパーティーを抜けたくて仕方がなかった。

 なんでかって?

 だってこいつら弱すぎるんだもん。この前、オークの群れの討伐に行った時、こいつらオーク一体相手に2人で戦ってたんだぜ?それに、ちょっとダメージ受けたくらいでギャーギャー騒ぎやがって。


「理由は聞かないのか?」


「俺が弱いからだろ?まぁどんな理由でも抜けていいならそれに越したことはないから、じゃ今までありがとなぁ~」


 俺はそう言って荷物を持ってギルドを出る。

 とそこで、今まで一緒にパーティーを組んでいたうちの一人、女冒険者のフィレア・ドレイクがギルドから出てきて俺の腕を掴んだ。

 名前を見ればわかると思うが、こいつは国王サージェス・ドレイクの娘で、Aランク冒険者だ。ちなみに俺のランクはB、まぁギルドに入って3ヶ月しか経ってないのだからこれが普通だ。


「アーシャさん!本当に抜けてしまうのですか?」


 フィレアは目元に涙を浮かべながら言った。

 俺が1番嫌いなタイプだ。


「フィレアさんのそんな顔を見たら抜けれないじゃないですか・・・」


「じゃあ!」


「なんて言うとでも思ったかバァーカ!なんで俺が理由も聞かずに抜けるって言ったかわかるか?お前らが雑魚すぎるからだよ!オークごときに2人がかり、ましてやちょっとしたダメージで騒ぎやがって、俺もうんざりだったんだよ!」


「そ、そんな・・・」


「抜けて欲しくなかったら、今すぐリーダーを連れてきて、抜けないでください、お願いしますって言ってみろよ!それくらいの誠意を見せれたら戻ってやる」


 この時の俺の顔はどうなっていただろうか。

 でもまぁ、当然だよな?向こうが抜けろって言ってきたのに、冗談だとしてもやっぱり抜けないでくれなんて言われてそう簡単に、はい戻りますなんてなる訳ねぇーだろ。


「・・・・分かりました」


 そうそう、黙って引っ込んでろ。


「私もついて行きます!」


「・・・・はあ?」


「私、アーシャさんのことがずっと好きだったんです!」


 こいつ、バカなのか?あんなこと言ったのに、着いてきたいとか、好きだったら何言われてもいいのかよ。


「俺が言ってたこと聞いてなかったのか?」


「いいえ、聞いてました」


「じゃあなんで!」


「私も、アーシャさんと一緒だったんです!今まで入ってきたパーティー全部、私が国王の娘だからって、私に前線を立たせないで全て守るばかり、つまらなくて仕方がなかったんです!」


 一緒ではないけど、こいつもつまらなかったのか。なんかさっき怒鳴ったのが申し訳なくなってきた。


「そ、そうだったのか。でも俺の事が好きって言うのは嘘だろ?」


「いえ、本当です」


 でも、俺こいつになんかしたことあったか?


「アーシャさん、この前のオークとの戦いの時私にずっと防御魔法かけてくれてましたよね?」


「ああ、でもそれがなんで好きって理由に?」


「私、初めてだったんです防御魔法とかをかけられたのが」


「初めて?」


「はい、今まで私のことを守ると言う冒険者が山ほどいました。ですが、それは私のそばにいたいだけにしか感じられなかったんです。ですがアーシャさんは私を守るとは言っても直接私の前に立つのではなく、魔法を使って守ってくれました。それが何だか本当に守ってくれてるというように感じて、それからアーシャさんを気にしてしまうようになりました」


 うん、よくわかんない!何それ、防御魔法をかけてくれたから好きになったって、どんな理由だよ!とはいえ、国王の娘に好きになってもらったのは嬉しいな。顔も普通に可愛いし。


「わ、分かった。抜けるな抜けないかはあんたの自由だから、好きにすればいいと思う」


「はい!今すぐ抜けてきます!」


 彼女はそう言うと直ぐにギルドの中に入っていった。


 ここら辺で俺について少し説明をしよう。


───俺の歳は18歳、さっきも言ったと思うが3ヶ月前に冒険者ギルドに入ったばかりの新人だ。でも不思議に思った人もいると思うが、何故冒険者になったばかりの俺が、俺より年上の人よりも強いのか、それはちょうど3年前の話だ。

 俺は王都のハズレにある森の中のログハウス的なところで暮らしていた。

 俺の両親はこの王都で名の知れた冒険者だった。

 俺は小さい頃から冒険者になるのが夢で、3歳頃から父親からは剣技を母親からは魔法を教わってきた。両親は既に冒険者を引退してはいたが、実力は国王のお墨付きだった。そのおかげもあってか、俺が10歳になる頃にはAランク冒険者に匹敵する程の強さになっていたという。

 そして3年前の俺が15歳になった時、いつもの様に両親との剣技と魔法の訓練?が終わり、家の庭で休んでいた時だった。

 いつもなら静かで気持ちの良い風が吹いているのだが、その日は何だか森が騒がしかった、うっすらとだが、風に混じって血ような香りもした。

 俺はその異変を両親に伝えると、両親からは思いもよらない返事が返ってきた。


「ドラゴンが復活したのかもしれん」


「なんですって!?」


 ドラゴンはこの世界で1番強いと言われている魔物だ。

 俺も両親が現役時代ドラゴン討伐をしたとは聞いていたが、ここまで早く復活するのは異例のことらしい。


「それじゃあ、今すぐ王都に伝えに行かなきゃ!」


「いや、今からじゃ遅すぎる。アーシャ俺達で倒すぞ!倒せなくても足止めができればいい!」


 父親の目はとても焦っていた。こんな父親は見た事がなかった。

 俺はドラゴンがそれだけ恐ろしい存在なのだとこの時初めて思った。

 父は大きな大剣、俺は双剣、母はレイピアを装備して、森の奥に向かった。

 先に進むにつれて獣の焼ける匂いと、血の匂いが強くなっていく。全力のスピードで木々の間を通り抜けるが、時折ドラゴンが暴れているのか地鳴りが起こっていた。


「あともう少しだぞ!」


 父のその声で俺は、背中にしょっている2つの片手剣を引き抜いた。

 5秒ほど走ると、それは姿を現した。


 赤色の鱗に身を包み、巨大な翼と大きな脚、口には鋭い歯がびっしりとついていた。


「っ・・・・これが、ドラゴン」


 俺はそのドラゴンと威圧に圧倒されていた。

 ふっと視線を下に戻すと既に両親が様々な技でドラゴンに切りかかっていた。


「アーシャ!動け!!」


 俺はその声を聞いて、思いっきり踏み込んだ。


「はああぁぁぁー!」


 ♦♦♦♦♦♦♦


 約30分以上の戦いだった、勝ったのは俺達。

 父の渾身の一撃でドラゴンは倒れた。


「アーシャ、よくやったな」


「さすが、私たちの自慢の息子だわ」


 両親は俺の事を褒めてくれた。

 だが、俺の力ではドラゴンには遠く及ばなかった。何とかダメージを与えることは出来ていたが、ドラゴンにとってはかすり傷程度だったと思う。

 俺はこの時、両親の強さを見せられた。

 その時からだ、両親との訓練の時間を増やし、暇があれば森の奥に行ってレベルの高い魔物の討伐に行くようになったのは───


 そしてあれから3年経った今、冒険者としてはBランクだが、強さでいえば最高ランクのXSランクに匹敵するほどになった。


 自分の過去を振り返りながら待っていると、俺が入っていたパーティーのリーダーが泣きながら頬を抑えてギルドから出ていった。

 その後すぐにフィレアがケラケラと笑いながら出てきた。


「おいおい、なんか変なことしたんじゃないだろうな」


 俺がそう言うとフィレアが笑った顔のままこちらに振り返った。


「してませんよ、ただあんまりにも抜けるなと言うので1発殴ってやったんですよ。そしたらまだ父上にも殴られたことないのに!って泣いて出て行ってしまいました」


「お前、国王の娘なのにひでぇことするな」


「そうですか?」


 うわ、こいつ自覚ねぇのかよ。あいつも結構金持ちの貴族だったと思うぞ?


「まぁ、いいわ。んで、本当に俺についてくるのか?」


「はい、もちろんついて行きます!その前に父上に挨拶をしに行かないといけませんね」


「え、なんで?」


「だって、私たち婚約するのでしょう?」


「いや、俺お前のことなんも知らないし、いきなり婚約とか言われても困るんだけど」


「そうでしょうか?まぁ父上が認めてくれたら直ぐに婚約することになると思いますよ?」


「なんだよそれ、まぁいいけどよ。それじゃあ城に行くのか?」


「はい!」


俺はフィレアの後ろをついて行った。

 

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