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80話 恋人特訓!

「お、お兄ちゃんに恋人……彼女……むうっ、むうううううぅ!」


 部屋に戻り、シャルロッテのことをみんなに相談することにした。


 色恋沙汰の知識はさっぱりだ。

 その点、みんなは年頃の女の子だから、そういう話には詳しいだろう。

 そう思い、協力を仰ぐことにしたのだけど……


「まさか、レンとシャルロッテがそんな関係になるなんて……ダークホースね。ちょっとのんびりしすぎたかしら?」

「はわっ、はわわわ……しゃ、シャルロッテさまとレンくんが、お、おおお、お付き合いを……!?」


 アリーシャはよくわからないほど真剣な顔になり、フィアは本気で俺たちが交際を始めたと勘違いしていた。

 きちんと話をしたはずなんだけどな……


「ちょっと、勘違いシないでくれる? レンと本気で付き合うわけないじゃない。あくまでもフリよ、フリ」


 同行していたシャルロッテが心外そうに言う。

 そういう風に言われると、それはそれで微妙な気分になるのだが……


「まあ、どうしてもっていうなら、レンなら本当の恋人にしてあげてもいいんだけどね。男なのに魔法が使えるだけじゃなくて、すごく強いし……フィアの件でもお世話になったし、見どころがあるわ」

「謹んでお断りさせていただきます」

「なんでよ!? っていうか、やたらと丁寧口調なのが気に入らないんですけど!」


 シャルロッテがむくれた。


 いやね?

 普通なら、うれしいことだと思うよ?

 シャルロッテは性格にやや難があるものの、根はまっすぐだ。

 それにかわいい。


 文句のつけようがないけど……

 頼まれたから恋人になるって、それは違うだろう。


「ふしゃー……!」


 なにやら、エリゼが興奮するあまり猫化していた。

 落ち着いて。

 今も話したように、あくまでもフリだからな?


 前々から思っていたのだけど……

 エリゼはブラコンなのかもしれない。

 慕ってくれるのはうれしいのだけど、度がすぎると困るところがある。


「あー……改めて説明するぞ?」


 シャルロッテが見合いを持ち込まれて困っていること。

 それをなくすために、俺が恋人のフリをすること。

 その二点を説明した。


 ちなみに、報酬として禁忌図書館に立ち入れるようにしてもらうことは黙っておいた。

 なんでそんな報酬を望んだのか?

 説明すると、かなり話がややこしくなるからだ。


「なるほど、そういうことでしたか」


 ようやく納得してくれたらしく、エリゼが落ち着いた。


「よかった、お兄ちゃんに恋人ができたとかいう話じゃなくて……安心しました」


 そこは安心なんだ。

 祝福してくれるんじゃないんだ。


「それで……そんなことをあたしたちに話して、どうするつもり?」


 アリーシャが小首を傾げた。


「来週までに、俺とシャルロッテがちゃんとした恋人に見えるようにしたいんだ。そのためにどうしたらいいか、相談したくて」

「なるほどね……うん、事情は理解したわ。そういうことなら協力してもいいわ」


 そういうこと?

 別の事情が絡んでいたら、協力してくれなかったのだろうか?

 なんとなく気になるものの、今は話を進めることを優先して、疑問は飲み込んだ。


「どうすればいいと思う?」

「そうね、まずは……」




――――――――――




 特訓その1。

 手を繋いでみる。


 というわけで……

 アリーシャの提案で、手を繋いでみることにした。


「……」

「……」


 なんとなく恥ずかしい。

 女の子の手って、小さくて柔らかいんだな……


 前世では戦いばかりで、恋愛をしたことがない。

 だから、実を言うと、女の子の手を握るなんて初めての経験だ。

 エリゼの手を引いたことはあるが、あれはカウントされないだろう。

 アリーシャと握手をしたこともあるが、あれは握手であって、手を握るというものとは違う。

 男心は複雑なのだ。


「ちょっと照れるわね」


 意外というか、シャルロッテは頬を染めていた。


 『超絶かわいいあたしと手を繋ぐことができるなんてラッキーね!』とかなんとか言うと思っていたのだけど……

 そんなことはなくて、普通に照れていた。

 女の子らしい。

 素直にかわいいと思った。


「むぅ……レンの鼻の下が伸びているわ」


 なぜかアリーシャに睨みつけられた。




――――――――――




 特訓その2。

 一緒に登校してみる。


「恋人と言えば、一緒の時間を過ごすことにあります。なので、一緒に登校してみるというのはどうですか?」


 そんな妹の提案で、俺とシャルロッテは待ち合わせをして、一緒に登校することにした。


「おまたせ」

「じゃあ、行こうか」

「ええ」


 シャルロッテと並んで学院までの道を歩く。


 なぜだろう?

 シャルロッテが隣にいるだけで、いつもと違うような気がした。

 華やかというか、心地いいというか……


「なんか、変な気分ね」

「シャルロッテもそう思うか?」

「っていうことは、レンも?」

「いつもと違う気分だ」

「これはこれで悪くないけどね」


 俺とシャルロッテは仲良く登校した。


「むううう……釈然としません、もやもやします……」


 こっそり様子を見ていたエリゼがメラメラと燃えていたらしいが、それはまた別の話だ。

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