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39話 魔法対決!

 ひょんなことから対戦を行うことになり……

 俺達下位ランククラス『ガナス』は、訓練場に移動した。


 訓練場は、古代の闘技場とよく似ている。

 中央に直径50メートルくらいのリング。

 その周囲は段差の低い場外となっていて、一部に、審判席らしきところが見えた。


 そして、ぐるりと囲む観客席。

 段々になっていて、どの席からでもリングが見えるようになっている。

 ちなみに、学院の生徒全員と、さらにその他50名ほどを収容できるといわれている。


「ふふんっ、逃げずにここまで来たことは褒めてあげるわ! でも、ここで終わり。あんたは、みっともない姿をみんなの前で晒すことになるのよっ」


 リングで向かい合うシャルロッテは、胸を張りながら……ちょっと残念な胸だ……自信たっぷりに言った。


 いったい、どこからその自信が出てくるのだろう?

 疑問に思い、考えて……俺は、警戒することにした。


 エレニウム魔法学院は、魔法使いのエリートが集まるところだ。

 この時代の魔法が衰退しているとはいえ……

 それでも、侮ることはできない。


 今まで俺が見てきた世界は、井の中だったかもしれないのだ。

 外の世界は広い。

 シャルロッテが常識を覆すような力を持っていてもおかしくはない。


「それでは、今日の実技は対戦形式で魔法を学ぶことにしましょう。いきなりの対戦は想定していませんでしたが……まあ、みなさんなら問題ないでしょう」


 審判席に移動したローラ先生が、みんなに聞こえるように大きな声で言う。

 ちなみに、他のみんなは観客席に移動していた。

 待機している間は、対戦者達の試合を見て学ぶ、という感じだ。


「ここの訓練場は結界が張られていて、魔法が直撃しても怪我をすることはありません。ですが、代わりに魔力を失うことになります。勝負の方法は単純、相手の魔力を枯渇させた方が勝ちになります。いかにして、相手の魔力をゼロにするか? それが勝敗のポイントになります」


 ローラ先生が丁寧に説明をしてくれる。

 それを聞いて、ちょっとわくわくした。


 魔力だけにダメージが集中する結界なんて……そんなもの俺は知らない。

 この訓練場に張られている結界は、俺の知らない魔法だ。

 魔法が衰退しているとはいえ、新しい魔法が開発されなかったわけじゃないらしい。


 この結界は、どのような魔術理論で組み立てられているのか?

 それに、他に俺の知らない魔法はあるのだろうか?

 考えるとわくわくしてきた。


「ちょっと、あんた!」

「ん?」


 思わず別のことを考えていると、むっとした様子で、シャルロッテがこちらを睨んできた。


「なにぼーっとしてるのよ! あんたは、これからあたしにギッタギタのボッコボコにされるのよ! その覚悟はできてるの!?」

「えっと……そうそう、そうだったな。これから対戦するんだっけ。悪い、ちょっとぼーっとしてた」

「な、なによそれ! あたしなんか眼中にないっていうわけ!? いい度胸してるじゃない……!」


 そういうつもりじゃなかったんだけど……うーむ、誤解させてしまったみたいだ。


「そんなに怒らないでくれよ。あまり怒ると、背が伸びないぞ?」

「コロス!!!」


 背は禁句だったみたいだ。

 たぶん、胸の話も禁句だろう。


「はい、まだ合図を出していないのに戦おうとしないの」


 ローラ先生が、怒れるシャルロッテを落ち着かせてくれた。


「まったく……やる気があるのはいいことだけど、ちょっと血の気が多いですね。今年のガナスは問題児が多いっていう話、本当みたいですね」


 その問題児に、俺も含まれているのだろうか?

 ……含まれているんだろうなあ。

 何しろ、唯一魔法を使える『男』だからな。


「それじゃあ、二人とも、準備はいい?」

「いつでも」

「問題ないわ」


 先生の言葉で、俺とシャルロッテはいつでも魔法を唱えられるように集中した。


「では、今より二人の試合を開始します……始め!」

「あたしの必殺の一撃を喰らいなさいっ!」


 先手はシャルロッテがとった。

 驚くほどの集中力で、魔法を高速で詠唱する。


「閃光爆炎陣<スプライトクラッシュ>!」


 シャルロッテが使用したのは、光属性の第8位の魔法だ。

 前方扇状範囲に光のシャワーが降り注ぎ、相手にダメージを与えるというものだ。


 この時代では、第8位の魔法が第3~4位くらいのものと認識されている。

 それを考えると、シャルロッテは相当な実力者ということになる。

 ガナスにいるのが不思議なくらいだ。

 現に、試合を観戦していたクラスメイト達が、シャルロッテの魔法を見てざわざわと声をあげた。


 この時代において、シャルロッテは紛れもない天才なのだろう。

 しかし、驚くべきは第8位の魔法を使ったことではない。

 その詠唱速度だ。


 負けるつもりはないので、俺も、開幕と同時に魔法を叩き込もうとしたのだけど……

 それよりも先に、シャルロッテが詠唱を終えた。


 詠唱勝負で負けてしまうなんて……

 おもしろくなってきた。

 俺は、思わずニヤリと笑ってしまう。


 ……って、呑気に考え事をしている場合じゃなかった。

 シャルロッテの魔法を防ぐか回避をしないと!


「光壁<ライトウォール>!」


 光の壁を生成して、シャルロッテの魔法を受け止めた。

 光のシャワーは、光の壁に全て飲み込まれて、俺に届くことはない。


 よし、防いだ。

 ここから反撃を……


「甘いっ!」

「なっ」


 シャルロッテは、すでに次の魔法の詠唱を終えていた。


「氷烈牙<フリーズストライク>!」


 シャルロッテの魔法の詠唱速度は予想以上だった。

 無防備な俺に向けて、氷の牙が喰らいかかる。

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