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21話 エリゼの心

 正直なことを白状します。


 私……エリゼ・ストラインは、最初は、お兄ちゃんのことを見下していました。

 お姉ちゃんと同じように、意地悪な態度をとったこともありました。


 お父さんがたまに使う言葉、若い頃の過ち、というヤツです。

 意味は、あまりよくわかりません。

 なんとなく使ってみました。


 ……話が逸れました。


 私は女で、お兄ちゃんは男。

 私は魔法を使うことができて、お兄ちゃんは魔法を使うことができない。


 今の世の中は、ありとあらゆるところで魔法の技術が使われています。

 例えば、料理をする時。

 魔法を使い、簡単に火を点けることができます。

 例えば、洗濯をする時。

 魔法を使い、簡単に水を出すことができます。


 私達の生活に、魔法は深く関わっています。

 それ故に、魔法を使えない男の人はあまり役に立たない……というのが、一般的な認識であり、常識でした。


 私も、最初はそう思っていました。

 もちろん、そう思っていた頃の私は幼く、世の中の仕組みなんて理解していませんでしたけど……

 ただ、それでも、お兄ちゃんやお父さんは魔法を使うことができないダメな人なんだ……という認識を持っていました。


 過去の私に出会ったら、頭を叩いてやりたいです。

 ぐーでげんこつを落としてやりたいです。


 ……そんなわけで。

 昔の私は、とてもわがままな女の子でした。

 アレがしたい、コレがしたい……と、何度も何度もお兄ちゃんを振り回していました。

 でも、お兄ちゃんは笑顔で私のわがままを受け止めてくれました。


 呆れてもいいのに。

 見限ってもいいのに。

 そんなことはしないで、『お兄ちゃん』であり続けてくれました。


 ……そんなある日のことでした。


 私は風邪を引いてしまいました。

 体が弱いのに無茶をして、倒れてしまいました。

 お兄ちゃんの前で倒れるのは初めてのことでした。


 そうしたら……


 お兄ちゃんは、ひどく慌てました。

 駆けつけてきたお父さんとお母さんの前で、私が死んじゃう、って泣いて……

 それから、看病をするといって、私が治るまでずっと傍にいてくれました。


 その時……


 私は、お兄ちゃんに手を握ってもらっていました。

 風邪になると、妙に心細くなりました。

 でも、お父さんとお母さんは仕事があるから、ずっと一緒にいてくれるということは難しいです。


 でもでも、お兄ちゃんはずっと一緒にいてくれて……

 ずっと、私の手を握ってくれました。

 その時、私は思いました。


 あぁ……この人は、私の『お兄ちゃん』なんだなあ……って。


 その日を境に、私は変わりました。

 男だから魔法を使えない?

 そんなことは関係ないのです。

 魔法を使えなかったとしても、お兄ちゃんはお兄ちゃんで、とても優しいのです。


 今までわがまま放題して、嫌われてしまったのではないかとビクビクしていましたが……

 お兄ちゃんは、優しい笑顔で私を受け止めてくれました。

 それから、今まで迷惑かけてきた分、たくさんたくさん優しくしようと思いました。


 ……まあ、結果的に、私が甘えるだけになっていましたが……別にいいですよね! うん!


 ……話が逸れました。


 以来、私にとってお兄ちゃんは、大事な大事な『お兄ちゃん』になりました。

 魔法が使えなくても、世界で一番大好きなお兄ちゃんになったのです。


 ……そんなお兄ちゃんが魔法を使えると知った時は、驚きました。

 お兄ちゃんは男なのに、魔法を使うことができたのです。


 驚きです。

 驚愕です。


 でも、同時に誇らしい気持ちになりました。

 さすが、と思いました。

 だって……私のお兄ちゃんは、『世界一』なのですから。

 男だとしても、魔法を使うことぐらいわけないのです。


 そんなお兄ちゃんは……以前と変わらず、ずっと優しくて……

 そして、私のことを助けてくれました。


 病気で倒れた時。

 お兄ちゃんは、なんてことない顔をしていましたけど……


 実は、後でお父さんとお母さんに話を聞きました。

 私のために、お兄ちゃんが薬草を取ってきてくれた……と。


 それだけじゃありません。

 体が弱い私のために、お兄ちゃんはどこからともなく薬湯を持ってきてくれました。

 それを飲んでびっくりしました。

 すっかり健康になったんです。


 私のために、ここまでしてくれるなんて……

 たくさんの恩をもらいました。

 たくさんの温かいものをもらいました。


 できることなら、どうにかして恩返しをしたいです。

 でもでも、私にできることなんて限られています。

 なにが女は優れている、でしょうか。

 魔法が使えたとしても、肝心な時に役に立ちません。

 お兄ちゃんに恩返しがしたいのに、でも、何も思い浮かばなくて……


 はあ。


 思わず、ため息をこぼしてしまいます。

 これは、今後の課題です。

 いつかどこかで、お兄ちゃんに恩返しをする。

 そして、ありがとう、って言う。

 それが、今の私の目標です。


 そうやって、お兄ちゃんに感謝の気持ちを伝えたいのですが……


 最近、不思議なことに気が付きました。

 お兄ちゃんと一緒にいると、胸がぽかぽかするんです。

 楽しい、うれしい、という気持ちとはまた違うような気がします。


 胸がドキドキして……

 ほっぺが勝手に赤くなって……


 なんでしょうか? これは。


 よくわかりませんが……

 お兄ちゃんのことを考えると、胸がぎゅうっと締め付けられるような気持ちになります。

 今まで助けてくれたことを思うと、とても切なくなります。


 誰か教えてくれませんか?

 この気持ちは……

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

よろしくおねがいします!

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