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117話 クラリッサの試験・レンは除く

 事件に関わらなければいけない理由、気持ち。

 それは理解できた。


 しかし、力が伴わなければ足手まといにしかならない。

 だから、まずは力を示してみせろ。


 ……クラリッサさんがそんなことを言い出して、急遽、試験が行われることになった。


 みんなで庭に移動する。

 相変わらず広い庭だ。

 寮くらいの敷地があるんじゃないだろうか?


「では、レン君とシャルロッテ以外、こちらへ」

「あれ?」

「母さま、あたしたちは?」

「二人の実力はすでに知っていますので。以前の時点で問題ありませんが……あれからさらに力を重ねたのでしょう? ならば文句をつけることは何一つありません」


 なるほど。

 すでに俺たちは認められているということか。


「私としても、未来の息子を試すような真似はなるべくしたくありませんからね」


 ……俺とシャルロッテのこと、いつ話せばいいんだろうな?

 本当のことを話したら、とんでもない目にあいそうな気がした。


 でも、黙っていたらいたらで傷口が大きくなるような気がするし……

 あと、エリゼとかに睨まれるのも勘弁してほしい。


 それはともかく。


「では、あちらに魔法人形を用意したので、それぞれの力を見せてください。これだ、と思う魔法を使い、自分の力を示してください」


 クラリッサさんはそんなことを口にして……

 試験が開始されるのだった。




――――――――――




 結論から言おう。

 全員合格。

 クラリッサさんの驚き顔という、貴重なものを見ることができた。


 アリーシャは魔法剣を披露した。

 第5位の魔法を剣に付加して、その威力を見せつけた。

 第5位の魔法とはいえ、その威力が全て切れ味に変換されているのだ。

 普通に考えて壊れないはずの魔法人形を真っ二つにして、クラリッサさんを驚かせていた。


 エリゼは、エリクサーによる高い身体能力を見せつけて……

 さらに得意分野の治癒魔法を披露した。

 ただ単に傷を癒やすだけではなくて……

 アリーシャが真っ二つにした魔法人形も癒やすという離れ業をやってのけた。

 生き物だけじゃなくて、物質も治すなんて魔法、俺も聞いたことがない。


 フィアは一番の努力家だけど、アリーシャやエリゼのようにこれといった武器がない。

 大丈夫なのだろうか? と懸念していたが……

 それは杞憂に終わった。

 魔力供給魔法。

 自分の魔力を他人に貸し与えるという、新しい魔法をいつの間にか開発していた。

 一見すると地味だけど……

 この魔法、フィアが使うことに非常に大きな意味がある。

 フィアの魔力はかなり高く、みんなの中では一番だ。

 そんなフィアがみんなの補助タンクとなって、魔力を供給できる。

 魔力切れを気にすることなく戦えるので、かなり優秀な魔法だ。


 そしてメルは……

 第二位……今の時代では換算不能な魔法を撃ち、庭に大穴を開けていた。

 さすがというか、俺と同じ転生者なだけはある。

 その力、火力、魔力、圧倒的だ。


 ただ……


 俺もだけど、力に優れているだけでこれといった決め手……いざという時の必殺技がないんだよな。

 シャルロッテなんかの遅延魔法はコピーしているものの、オリジナルじゃない。

 故に、本家に比べると若干劣るところがある。

 シャルロッテ以上にたくさんの遅延魔法を使い、上回っているところはあるが……

 精密さなど細かいところを見ると、ちょっと足りていないんだよな。

 この先のことを考えると、俺専用の必殺技を考えた方がいいかもしれない。


 話が逸れた。


 そんな感じで、クラリッサさんの試験は無事に終了。

 みんな合格となった。




――――――――――




「ふぅ……驚きました。まさか、みなさんがあそこまでの力を身に着けていたなんて……」


 再び部屋に戻り、紅茶を口に含みながらクラリッサさんが言う。

 紅茶を飲むことで気持ちを落ち着けているみたいだ。


「城の魔法騎士に匹敵……いえ、それ以上かもしれませんね。これだけの力があるのならば、認めざるをえないでしょう」

「それじゃあ……」

「ええ。あなたたちが事件に関わること、認めましょう。まあ、国の捜査に参加させることはできませんが……情報は共有し、いざという時はその力を借りたいと思います」

「はいっ」


 これで話が大きく進んだ。

 国が動いてくれるというのは頼もしい。

 やっぱり、個人の力では限界があるからな。


 例え俺が第一位の魔法を難なく扱えたとして……

 魔神と同等の力を持っていたとして……


 しかし、国にいる全ての人を助けることはできない。

 守ることはできない。


 どれだけの力を持っていたとしても、個人でできることは限られている。

 たくさんの人がいなければ、たくさんの人に手を差し伸べることはできない。

 それと同じだ。


「しかし、レン君はどこで魔神や始祖魔法使いの情報を? そのような話、城で聞いたことは一度もないのですが……」

「えっ、いや、それは……」

「ああ、レン君の話を疑っているわけではありません。魔神はともかく、始祖魔法使いの方は信用できます。ただ、その情報源、知識はどこからきているものかと」


 転生しているからです。

 なんて口にしたら、胡散臭く思われてしまうかもしれない。


「まあ……色々と」

「そうですか」


 かなり適当な言葉なのだけど、ごまかすことができた。

 あるいは、適当と知りつつもスルーしてくれたのか。


「とにかく……まずは時間をください。上にかけあい、調査班を編成してもらいます。結果が出るまでにそれなりの時間がかかると思いますから」

「母さま。それはどれくらいかかるの?」

「そうですね……最初の調査結果が出るまでに、早くても一ヶ月、というところでしょうか」

「一ヶ月か……」


 短いと考えるか長いと考えるか……なかなかに微妙なところだ。


「それまでの間、どうするか……」

「はいっ、お兄ちゃん!」


 エリゼが自信たっぷりの顔で挙手した。


「合宿をしましょう!」

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