表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/138

112話 捕獲大作戦

 ホムンクルスを捕まえる作戦はエリゼが考えた。

 なら、探し出す策は俺が考えよう。


 そんなわけで夜遅くまで策を練り……

 とあることを思いついた。


 そして翌日。


 俺は朝早くに学院に来ていた。

 まだ寝ている人がいてもおかしくない時間なので、生徒はおろか先生の姿も見当たらない。

 一応、校舎に入ることはできるので、中に移動した。

 そのままガナスの……俺のクラスへ。


「それでお兄ちゃん、どうやってホムンクルスを探すんですか?」

「罠でも仕掛けるのかしら?」


 エリゼとシャルロッテがそんなことを尋ねてきた。


 エリゼは、なにか手伝えることがあるかもしれない……と。

 シャルロッテは、なんだか楽しそうだから……と。


 それぞれそんな理由で着いてきたのだ。

 シャルロッテは、もう少しエリゼを見習った方がいいと思う。

 楽しそうだから、ってなんだよ。

 おもいきり自己本位じゃねーか。


「罠なんて作ってるヒマないさ。というか、普通のトラップで捕まえても自壊されるだけだろうし、そもそも他の人がかかるかもしれない」

「ならどうするわけ?」

「簡単だ、魔法で探せばいい」


 俺は意識を集中して魔法を唱える。


「サーチ<探索>」


 魔力波をぶつけて周囲の様子を探る魔法を使用した。


 普通は有効射程距離は数十メートルだけど……

 俺なら学院を覆えるほどの距離まで探ることができる。


「そんな魔法を使ってどうするわけ?」


 シャルロッテがきょとんとした。

 その疑問もよくわかる。


 これは周囲を探るだけの魔法だ。

 人探しを目的とした場合、個人を特定するようなことはできない。

 せいぜい人の反応を捉えてその位置を知るくらいだ。


「簡単なことさ。ホムンクルスには家がない。いきなりなにもないところから現れるわけじゃないから、どこかを根城にして学院に潜んでいるんだろうな。あるいは、学院のどこかにホムンクルスを作る場所があるのか」

「あ、なるほど」


 エリゼは俺の考えていることを理解したらしく、納得顔で頷いた。

 しかしシャルロッテは未だわからないらしく、きょとんとしたままだ。


「つまり……どういうことよ? このかわいいシャルロッテちゃんにわかりやすく説明しなさいよ」


 かわいい、っていう意味あったか……?


「つまりだな、ホムンクルスはこの学院のどこかに潜んでいる。普段は人がたくさんいて、その潜伏場所を見つけることは難しい。しかし、人がいない朝なら反応は限られる」


 全校生徒がいる中で索敵をしても、さすがに普通の人とホムンクルスを見分けることはできない。

 ただ、人のいない朝なら話は別だ。


 例えば、本来なら人がいないはずの場所に反応があれば?

 あるいは、朝のこの時間に、同じ場所に複数の反応があれば?

 普通に考えてそれはとても怪しいという結論になる。


 そんな説明をすると、ようやく納得した様子でシャルロッテが頷いた。


「なるほどね、時間帯を変えて調べれば怪しいところも見つかるかもしれない、っていうわけね」

「簡単なことだろ?」


 納得してもらったところで魔法の解析結果を待つ。

 ほどなくして解析が終了して情報がもたらされる。


 その結果は……


「西に200メートル……くらいか? そこに人の反応があるな。エリゼ、ここから西に200メートルというとなにがある?」

「えっと……ちょっと学院の敷地外になりますね。地図で確認したら、今は使われていない倉庫があるみたいです」

「使われていないはずの倉庫に人の反応……しかも、今は朝。これは……」

「怪しいわねっ! あたしの勘がここにホムンクルスがいると言っているわ!」


 ……台詞を横取りされた。


「お兄ちゃん、行きましょう!」

「ああ」


 気を取り直して、俺達は教室を出て、そのまま校舎の外に出た。


 グラウンドを横断して学院の西へ。

 昔使われていたと思われる物資搬送用の大きな扉が設置されていた。

 手入れはされているらしく、錆びついているということはない。


 ただ、しっかりと鍵がかけられて施錠されていた。


「お兄ちゃん、どうしますか?」

「そうだな、ここは……」

「火炎槍<ファイアランス>!」


 いきなりシャルロッテが魔法をぶっぱなした。

 慌てて避ける。


 炎の槍はそのまま扉の鍵を破壊した。


「ふふんっ、あたしにかかればこんなものよ!」

「こんなものよ……じゃないだろ!」

「あいたっ」


 デコピンでおしおき。


「あにするのよ!?」

「俺の台詞だ! 危うく巻き込まれそうになったんだぞ」

「レンなら大丈夫でしょ。あんな魔法でどうにかなるほど弱くないじゃない」


 シャルロッテなりに俺を評価してくれているのだろうが……

 だからといって、あんな突発的な破壊活動をしないでほしい。

 心臓に悪い。


「というか、大きな音を立ててどうする。向こうに気づかれるかもしれないだろ」

「あっ……」

「なにも考えてなかったんですね」


 エリゼがため息をついて、俺も続けてため息をこぼした。


「さ、さあ行くわよ! ホムンクルスを捕まえましょうっ」


 シャルロッテはごまかすように、そんなことを言う。

 勢いでごまかせていると思っているかもしれないが、しっかりと覚えたからな。

 後でまたおしおきだ。

 今後、シャルロッテの特訓メニューだけ倍増してやろう。


 とにかくも、扉を開けて校舎の敷地外へ出た。

 少し歩くと倉庫らしき建物が見えた。

 一階建てで、簡易な作りでそれほど大きくない。


 入り口は一つ。

 窓はない。


「お兄ちゃん、あれ……!」


 倉庫の扉が開いた。

 そこから出てきたのは……

 エリゼと瓜二つの女の子だった。

一週間ほど更新を休みます。

詳しくは活動報告にて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆ お知らせ ◆

ビーストテイマーのスピンオフを書いてみました。
【勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強の少女達ともふもふライフを送る】
こちらも読んでもらえたらうれしいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ