不可能達成課題(ムリゲー)
遅くなって大変申し訳ありません。
ブクマ、コメント頂けると励みになります!
けたたましく鳴り響く『ゲームマスター緊急連絡』に俺は何が起きているのか把握しきれなかった。
「即座にログアウトしてください!! 繰り返します! 即座にログアウトを!!」
切羽詰まったような声でログアウトを訴えかけてくる。
「おい! 取り敢えずログアウトを――」
オプション画面からログアウトを選択しようとした所で、視界が急に様変わりした。
〇 〇 〇
広場に集められたプレイヤー達。それを見下げるような位置に浮いているステージ。
その上に立ち、男は丁寧な口調で語り出す。
「私の名前は支配者と言います。この世界、つまり【スキルマジック】の支配者ですね。」
周りには大勢のプレイヤー。
「この【スキルマジック】の参加条件として全国ランク1000位までとさせていただきました」
一人のプレイヤーが支配者に挙手し彼自身の疑問を口にする。
「お前は、何者だ?」
「よい質問誠にありがとうございます。私はこのVRシステム、ひいてはこの【スキルマジック】を強制支配したものです」
柔らかな笑みを浮かべ、支配者は続けた。
「私は、皆さんとゲームをしたいな。と考えております。私とあなた方のゲームであなた方の勝利条件は今日から8/31まで、つまり。子供の夏休み期間までにこのゲーム【スキルマジック】をクリアしていただきます。逆に敗北条件は皆さん全員がゲームオーバーになること。普通はコンテニュー画面が表示され、この広場に再転送されますが、今回はゲームオーバーになったらそこでお終い。残っている人に己の命を預け、ただ結果を待つ。という風にしたいと思います。ですが逆に言えば、一人さえクリアすれば良いだけなんですけどね」
その瞬間、動揺の声が上がり広場が騒がしくなる。何故なら。この大人気のゲームの1000位のランカーならば、すぐに悟れるからだ。そんな短期間にゲームをクリアすることはできない。と。
なんせ発売してからクリアした人数はたったの一人。しかもそれが事実であるかさえ怪しい。
これは不可能達成課題だ。
+ + + + + + + + +
「はい。落ち着いて下さい。で、もし達成できなかった場合――」
集められた全プレイヤーが息をのんで支配者の言葉を待つ。
「あなた方全員と現段階で【スキルマジック】にログインしている502765人の命は無いと思っておいてください。あなた方は501765人の人質がいるわけです。まあ、こっちでゲームオーバーが増えれば増える程、人質の数も増えていきますがね。忠告ですが、今までと同じ【スキルマジック】だと思わないほうがいい。あなた方の装備はそのままにしますがあまり油断をしないことをお勧めします」
「あ、それと、現実の肉体のほうはこのゲームの勝敗が決まるまで安全は保障します。DiveRoomの中は、緑色の液体で覆われていますよね? あの液体中には緊急時に備え、生きるのに必要な栄養素を水から作り出すという技術を採用していますので100日は確実に生存できます。これは、睡眠、食事をとらずゲームに打ち込んでしまい、過労死するケースが増えたことによる対策なのですが……おっと、取り敢えず安全面については本当に大丈夫です。無理矢理DiveRoomをこじ開けるような愚か者がいなければですがね……」
「時間が惜しいでしょう。では、最後に。今回のこのゲームあなた方が勝利した暁には、この【スキルマジック】の個人の所持金を現実でも使用できるようにしましょう。どうです? やる気が出てきましたかね? ……あ。忘れていました。このゲームの勝敗を分ける救世主を言っておきましょう。その救世主とは『シロカ』というお方です。皆さん、ご武運を」
どこかで「はあああああああ!?」という声が聞こえたがそれを無視し支配者は話を終え、姿を消した。
残されたプレイヤーは理不尽な不可能達成課題に挑まなくてはならないと知った。
広場は様々な声で溢れかえる――。
ゲーム終了まであと51日。
攻略領域 0。




