王の帰還Ⅱ
あけましておめでとうございます❗今年もよろしくお願い申し上げます。
ってことで今年初投稿です。毎回更新が遅れて申し訳ない限りです。今年も頑張って行くのでよろしくお願いします!
「はっ……! はっ……!」
サユリは目を見開きながら荒い呼吸を繰り返す。
折れた剣は恐怖のあまり、カタカタと震えていた。
ベイリンはそんなサユリに歩み寄り、大剣を振り下ろした。
✽✽✽
「ベイリン……!?」
一同息を呑む中、ベイリンは剣を地面から引き抜いた。
「扉が開かない……!」
ベイリンから逃げるべくボス部屋から逃げようとしたプレイヤーの声がボス部屋に響く。扉には10分のカウント画面が表示されていた。
「10分! 10分しのげば退散できる!」
「く、来るぞ!!」
数十メートルあった距離をベイリンは一瞬で喰らい尽くした。
振り下ろす大剣をサユリは躱そうと身を捻った。
「【熱戦】!!」
完全な死角からイチハがレーザーを放つ。
レーザーがベイリンの頭部に直撃する寸前、ベイリンは首を傾け死角から放たれたレーザーを容易く避けて見せた。
「そんな……っ!」
レーザーを避けたベイリンは反転し剣を投擲した。イチハのいる方向に大剣が突き刺さる。
「イチハちゃん!!!」
土煙の舞い上がる中、サユリが友人の安否を心配しているとプレイヤーから警告が告げられる。
「サユリさん!! 後ろ!」
咄嗟にスキルを行使しようとするも間に合わず、腹部に拳が叩き込まれた。
「うああ…………!」
サユリの顔が苦痛に歪む。ベイリンは拳を振りきり、サユリを遥か後方に吹き飛ばした。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』
吠え、自らに斬りかかる敵を文字通り叩き潰していく。手を横に向けると、先程壁に突き刺さった大剣がベイリンのもとに高速で吸い寄せられる。それを掴み、思い切り、薙いだ。
「ぐああああっ…………!!」
体が二等分された状態で宙を舞うプレイヤー達。
「こんな奴にどう戦えばいいんだよっ!?」
全てのプレイヤーには焦燥の色が伺える。
そんなとき、ベイリンの頭上に数十にも及ぶ隕石が落下した。
――――――――――――――流星群。
轟音と爆炎を撒き散らし、ボス部屋を揺るがす。
「イチハちゃん! 大丈夫!?」
「スキル『神速』が間に合わなければ危なかったじゃろうがな」
「やったか!?」
プレイヤーが炎と煙の舞い上がる現場を見守る。パリパリッと何がが爆ぜる音がしたかと思うと、サユリとイチハの背後にベイリンが立っていた。
「「『神速』」」同時にスキルを発動し距離を取るのではなく、寧ろ距離を詰め二人でベイリンに連撃を見舞う。『神速』により目で追うことすら叶わない剣戟の嵐。
それをベイリンはすべてはたき落とした。
驚愕の表情を浮かべる二人。嘲笑うかの如く剣をはたき落としたベイリンの手には大剣と、もう一本剣が握られていた。ベイリンは剣を振り上げ、二人めがけて振り下ろす。サユリとイチハの前で盛大に火花が散る。
「下がって! 二人共!」
カズがベイリンの剣を受け止めた。それと同時にイチハが距離をとりながらレーザーを放つ。大剣でレーザーを防ぐも一瞬、カズにかけていた力が弱まる。
「『乱舞』」
カズの乱舞は特殊でカズの加護【刃】のおかげで斬撃の衝撃波を飛ばしながら敵を斬る事が出来る。
特殊な乱舞に押され、後退するベイリン。
一度バックステップしたかと思うと、また何がが爆ぜる音がし、一人のプレイヤーの頭上に現れた。
「え……?」
頭上に気づけないまま体を縦に割られ、透明になって消えていった。
『アアアアアアアアアアアアッッ!!!』
疾走し、プレイヤーをすれ違いざまに斬り刻む。
一度剣を受け止めた者もいるが、ニ撃目を防げず散っていく。
「手数が足りない!!! うぐあああ!!」
ベイリンの最大の武器は『速さ』と『技』。先程から誰の目にも止まらない程のスピードで動いたり。『神速』が付与された斬撃をすべてはたき落とす『技』であったりとプレイヤーを『詰み』にするに相応しい存在であろう。
気づけば、もうサユリ達を含め10人しか生存者はいない。
残り時間はあと2分程。人数が少なくなるほど一人あたりの狙われる確率が上がる。この2分がとんでもなく厳しいものになるであろう。
「本当に回復ポーションなんか飲んでる暇がない……!」
サユリのHPは黄色ゲージに突入していた。カズも、イチハもだ。ぎりぎり凌いでいるものの、ダメージは蓄積していくばかり。
それに加え、ベイリンのHPは半分にすらいっていない。たった8分そこらでこのざま。ほぼ『詰み』なのに撤退すら出来ない。
ベイリンの甲冑から覗く赤い眼には余裕がはらんでいた。
「はああああああああああああ!!」
『オオオオオオオオオオオオ!!!』
三人でやっと受けきれる手数。
キキンッと、金属が交錯する甲高い音が鳴り響く。
「ハァ…………はぁ……!」
三人ともかなり疲弊している様子で頬を汗が伝っていく。
「うおおおおおおお!」
プレイヤーの一人がベイリンに触れる。しかしその腕は一瞬にしてはねられたが。
「何してるの!? 下がりなさい!」
イチハが素の口調で激を飛ばす。
「いいんです。これで! これで、俺の加護が発動するんです重力!!!」
その瞬間、ずんっ。とベイリンに重力負荷がかかり膝をおる。
『オオオオオオアオオオオオオオ!?』
「今のうちに攻撃を!! 十秒程度しか持ちません!」
「メテオライト!!!!」
「スキル、『風月一刀』」
「レーザー…………フルバースト!!」
高ランク、高出力のスキルと加護を受けてただで済むわけが無い。
案の定、爆煙の中から現れたベイリンのHPは半分を過ぎていた。それと同時に10分を知らせるベルと共に、ボス部屋が開く。
「開いた!!!」
生き残ったプレイヤーが適宜離脱して行く。
半分以上削ったものの、撤退を選択。
突如としてベイリンの鎧の色が紅に染まる。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』
「っ!?」
物凄い声量の方向に反射的に後ろをサユリが振り返る。
サユリが振り返った先にはベイリンはおらず、サユリの背後――――――ボス部屋の扉側に突如出現した。
「サユリちゃん!!!!」
ベイリンが横に剣を薙ぐ。瞬間的に剣で防ぐも剣が粉々に砕け、衝撃波で壁に吹き飛ばされる。
「きゃああああ!!」
瓦礫に埋まり、サユリが沈黙する。ベイリンは振り返りざまにプレイヤーを三人程一撃で葬った。
「!? パワーが増してる!?」
『オオオオオオオオオオオオ!!!』
イチハがレーザーを放つ。それをベイリンは体を捻り、回転しながらジャンプで躱す。その姿はスケート選手を彷彿とさせる。
そして回転しながら、直剣を投擲。イチハの腕を吹き飛ばすだけにとどまらず、後ろの男のプレイヤーに深々と突き刺ささった。
「無茶苦茶じゃない…………っ!」
腕を抑えながらイチハが渋面をつくる。
「どうにか脱出を……!」
扉に近づいたプレイヤーの頭を跳ね飛ばし、直剣を引き寄せる。剣を掴み取りもう一人のプレイヤーに斬りかかる。一撃目をなんとか防いだが、剣が折れ、動揺するプレイヤーを蹴り上げ姿を消した。すると今度は空中に現れ大剣をプレイヤーの胴体に突き立てた。
『アアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
✽✽✽
「うぅ……」
サユリが瓦礫から頭を上げると目の前のベイリンがサユリを見下げていた。
死を確信した。怖い。死になってしまったら、どうなってしまうのだろう。怖い。怖い。
「はっ……! はっ……!」
サユリは目を見開きながら荒い呼吸を繰り返す。
折れた剣は恐怖のあまり、カタカタと震えていた。
ベイリンはそんなサユリに歩み寄り、大剣を振り下ろした。
「――――――――――――――――――――!!!?」
サユリが横に転がる。押されたのだ。斬られた訳じゃない。
ベイリンの背後にレーザーが直撃する。
『アアアアア?!』
向きを変え、イチハに突進する。
「どうしてっ…………!!?」
カズが笑いながらサユリの手を握った。
「どうしてって、シロカがいないときに沙織ちゃんを守るのは……役目だからね。それと…………」
「あいつの悲しむ顔はもう、見たくない。あの時も…………、あの時も」
「だから、沙織ちゃんは生きて」
そう言い、カズは透明になり消えていった。
「――――っ。うぁええ……! あああああ!!」
再び、ベイリンがサユリの前に立つ。サユリにはもう絶望しかなかった。動けなくなったサユリの首にベイリンが剣を添える。
「――――――――――――――す……け……て…………ちゃ……ん」
掠れた、弱々しい声。涙ながらに言葉を繋ぐ。
「――――――助けて、お兄ちゃん…………!」
ベイリンが振りかぶる。サユリは目を閉じた。
――――しかし、いつまでたっても斬られない。うっすらと目を開けると、そこには一人のプレイヤーがベイリンの剣を短剣一本で受け止めていた。
「お兄ちゃん…………?」
ローブを纏ったプレイヤーを見るも、どうやら兄の『シロカ』ではなさそうだ。
髪の色は白ではなく、炎のような『赤』。剣はシロカの扱う『紫電』ではなく漆黒の短剣。ボロボロのローブを纏ったプレイヤー。そんなプレイヤーはこの世界には一人しか居ない。
――――――ランク1位。無敗の双剣王。名を【テスタ】。
5400pv突破!ありがとうございます、ユニーク1700人突然!ありがとうございます❗
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