遊園地~DEATHGame『END』
ユニーク1500人突破!4500pv突破!
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【注意】
今回の話は少しグロテスクなシーンがあります。
苦手な方はご遠慮ください。
「なぁ、ここは少しハードルが高いって言うか……」
「いやいや、遊園地と言ったら此処じゃないですか」
先程の勝負に負けた俺は、このお化け屋敷に連行されていた。
少し恥ずかしい事だが、俺はお化け屋敷も無理なんだ。男の見せ場のイベントなのに情けない話だ。
つまり、俺はそんな醜態を晒さない為に何とかミキを押し留めているのだが、聞く耳を持たない。
「私が勝ったじゃないですか。私の十八番で」
「あれが十八番なのか?」
頬を膨らませ怒った表情を作るミキ。
「確かに俺が負けたけど、此処以外なら文句言わずに行くけど……!」
そう。俺はミキに負けたのだ。完敗。
扉の前で俺と話していたのはミキのスキル【ファントム】で作り出した偽物。未来予知により、扉の上に引っ掻けておいたグレネードを見破っていたらしい。その為、爆破を回避したと言うわけだ。
「男に二言はなしです!」
「分かった。そんなに入りたいってんなら入ってやるよ!」
「その意気です!」
〇〇〇
『この館は呪われたピエロが孤独の中、朽ちていった場所。ピエロは時を越えてこの館に再び降り立つ…………』
「……」
「先輩、震えてます?」
「……震えないぞ。これは武者震いだ」
「震えてるんですね」
「…………うるせ」
『それでは、館の何処かにあるピエロの人形を探して、この封印のお札を貼り付けて封印してください』
プロローグとルール説明が終わり、奥の扉がゆっくりと開く。
「さて、行きましょうか」
「……ぉぅ」
「入る前からそんなんで最後まで持ちます?」
「いざとなったら、俺を置いて逃げろ」
「アハハハハッッ! なんかめっちゃ深刻!」
わからん。何故、君はそんなに元気に薄暗い館を萎縮することなく歩いて行けるんだ?
二階に上がる階段を上るミキにくっついて俺も二階に上がる。
階段を上る際に、ミキが突然振り向いたので「えええ!? 何!?」と、大袈裟に反応してしまう。
「先輩、私これでも怖いんですよ? い、い、一緒に行きましょうよ」
「そうだな。こっちの方が後ろから急に来たりしたとき一目散に逃げれるしな」
「置いてかないで下さいよ?!」
「どうだかな……」
「お願いしますよ!?」
二階に上がり廊下を歩く度にギシギシと音がなり、ヒヤヒヤさせる。
「まず一番奥の部屋から探しましょう」
「分かった」
部屋の前に来てドアノブに手をかける。
「……開けるぞ」
「……はい」
慎重にドアを開けると暗闇の中で、マネキンが首を吊っていた。
「びっくりしたけど、まあ、予想通りっつーか」
「そうですね」
「ソウダネエ…………!」
あ、あれ? 後ろから声が……。
首を錆び付いたかのようにゆっくりとぎこちなく後ろに向ける。
「うああああああああああああああああああああああああああ!?」
「わああああああああああああああああ!?」
後ろには顔を手で持っているおかしいなピエロがいた。首から血を吹き出している。それなのに手で持っている顔の方は笑顔。そのギャップが恐ろしい。
「おい!? 逃げるぞ!!」
ミキの手を引いて三階の階段をかけ上がる。
「はあ……はあ……!」
「こっわぁ……。いや、あれは……!」
「先輩、痛いです……」
どうやらミキの手を怖さのあまり強く握りすぎていたらしい。慌てて手を放し、謝罪を入れる。
「すまん! 大丈夫か?」
「はい……」
「行こうぜ。とっととお札貼り付けて出ようぜこんなとこ」
「そうですね。これは心臓に悪いです」
「ソウダネ! デヨウ! デヨウ!」
「「ついてくんなよぉ!!!」 」
あらんかぎりに叫ぶ。ミキは涙声だった。
〇〇〇
「あった! マネキンの足元にあるなんて気づかないって普通……!」
「此処に辿り着くまで凄く大変でしたね。ウエディングドレスを着たピエロに、オルゴールから飛び出してくるピエロとか、壁画のピエロとか……」
「ああ。でもこれで……」
「「遊戯終了!!」」
「先輩……? 何でこれ知ってるんですか?」
「う~ん、よくわかんないけどこんな風にしてたような気がすんだよな。昔」
「少しずつこのゲームを通して記憶が戻ってたりします?」
「さあ、どうなんだろうな」
ミキの言っていることは正しいのかもしれない。実際に記憶の欠片のような夢をよくみる。今まで何も得ることができなかったのに、このゲームでは驚くほど手がかりが手に入るのだ。
そんな事を思いながらミキの横顔を盗み見る。とても優しく、強い女の子なのだろう。自分と過ごした日々を忘れられる事はどんなに悲しい事だろう。俺だったら耐えられない、今まで仲の良かった人が突然、自分の事を初対面であるかのように接し始めるのだから。悲しさに押し潰されてしまいそうになる。
記憶は脆い。すぐに忘れてしまう。簡単に。大切な人の事さえ。確かに一度消えたモノを求めるのも大事だ。しかし、この一瞬、この一秒、この一分、この一日を噛み締めて生きる方が優先じゃないだろうか。大切に抱き抱えるのだ。もう二度と手放さないように――――――――――。
「先輩、先輩!」
「ん?」
ミキが焦ったような声を上げる。
「外が……ヤバいです」
「サウンド」
すぐにスキル【サウンド】を使用し、周囲を確認する。十なんて数じゃない。百。そのくらいの数のモンスターが遊園地の中をうろついている。すぐさま窓に駆け寄り、隙間からかろうじて見える外の景色。
絶句。
ピエロがうじゃうじゃいる。しかも皆して血だらけ。しかも頭上にはプレイヤーネームが。
まさか、まさか。まさか!
「外にいるピエロは元はプレイヤー……!?」
「先輩! 来る!!」
ミキが警鐘を鳴らす。その約1秒後、二体のピエロが飛び込んできた。
すぐさま紫電を引抜き、対応する。ピエロは小型のナイフしか持っていないようでリーチのあるこちらが有利だ。ナイフを跳ね飛ばし、隙のできた腹に剣を突き刺す。すると大量の血が噴出し、白い髪の一部を赤く染める。
「こんなグロテスクだったか……?」
「そんなはずはないです」
ミキも残り1体を倒したらしく、服を赤くしていた。目は深紅に染まり、【未来予知】を発動しているようだ。
「あ……が……!!」
静寂を取り戻したお化け屋敷の二階に、一人のプレイヤーの叫び声がこだます。
外でピエロにもみくちゃにされている。
「助けて……!! 誰か、誰か!」
「っ!!」
「駄目です」
「…………」
分かっている。彼はもう助からない。既にHPゲージは黄色に突入している。此処で助けに行ったら、今度あの大群に的になるのは俺らだ。
心を鬼にして、見捨てろ。そうミキは言っている。
―――――――――――でも。
「俺はっ……!」
俺は外に飛び出した。
「コピー」
右手、右腕、そして右肩、首、最後に頭。電気が走り抜けていく。
「ペースト」
左手にズッシリとした感覚が生まれ、柄が写しとられていく。次に紫の刀身を写しとり、柄をしっかりと握りしめ、ピエロの大群に飛び込む。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
【アクセル】を発動し、疾走する。
筋力にモノを言わせピエロ達を斬り刻んでいく。ある程度斬ったところで空中に飛び、剣をクロスさせ唱える。
「薙ぎ払え、【紫電】」
地上で紫の雷が荒れ狂う。
血を撒き散らしながら、地面に沈黙するピエロ達を見届け、男の元に駆け寄る。
「大丈夫か!?」
ポーチから回復ポーションを取りだし口に流し込もうとしたところで、襟を引っ張られその場を離れさせられる。ミキが俺を引っ張っていた。すると、突然苦しそうに悶えながら、プレイヤーは体を震わせる。
「あ……がああああああああああああああああああああああああああああああ!」
やがて沈黙し、ゆったりと起き上がる。その顔はピエロの仮面に隠れ、もう見ることは出来ない。
「くそっ!! 救えなかった」
「先輩、私の言うことを聞いてくださいよ……!」
ミキが【ファントム】で偽物を作り出し、何とか巻くことが出来た。俺の軽率な行動がミキまでもゲームオーバーにする可能性があったのだ。
「すまん……。――――!」
返り血で真っ赤に染まってしまった俺の髪をミキは優しく撫でた。
「本当に……このお人好しさんめ」
「次からは……見捨てる」
「約束です」
「ああ」
「取り敢えず、今からはあの観覧車に乗って上からサユリ達を探します。どうせ派手に戦っているでしょうから」
無言で首肯く俺にミキは「それと」と、付け加えた。
「サユリはジェットコースターに乗った後、このピエロの親玉を見たらしいんです。それを伝えるためにイチハちゃんのとこに行きました。なのでついでにそいつも探します。私の予想ではそいつはこの3~12階層のボスで、そのピエロを叩けば終わるはずです」
「分かった」
「ピエロの攻撃を黄色ゲージ以上受けないで下さい。多分、ピエロ化します」
息を呑む。そうか、確かにさっきのプレイヤーはゲームオーバーになったわけではなかった。つまり、攻撃を受けすぎるとピエロ化してしまうわけか。
「さ、今です。行きますよ」
「おう」
【未来予知】によって安全を確認した上で観覧車に乗り込む。
「ここまでくれば一応安心ですね」
「ミキ。あれサユリ達じゃないか? 」
「あそこだよ。ジェットコースターのところ」
「…………誤算ですね」
「『近くにいたら合流しようと思ったのに』か? それとも『使用限界までにあんなに遠くまで俺と安全に行けるだろうか』ってか?」
「心が見透かされているのかと思いましたよ。しかもこの加護【未来予知】の弱点も見破られてしまうとは」
「ミキの思考くらい簡単に読めるさ。ずっと使用すればいいのに、時々使わなかったのはそういう事だったんだろ?」
「じゃあ何で私のこの気持ちには気づいてくれないの……」
「え? 何か言ったか?」
「何も言ってません! で? どうします? サユリと合流するのは難しいです。実際、あと数分しかこの加護は持続できませんし……――――!」
「先輩! 上にピエロがいます!」
数秒後、天井を突き破ってピエロが入ってくる。そのピエロは黒いローブを纏い、仮面は血だらけで胴体も道化師の服装だった。
「こいつは……! 先輩、こいつが親玉のようです」
「こいつが……」
ピエロを挟むような立ち位置になっている。
何でわざわざ降りてきたのかは分からないがこれ程のチャンスはない。
「キィッッ!!」
歪な奇声を発しながら高速で接近してくる。
は……速い!!
顔面を掴まれ、ゴンドラのガラスに叩きつけられる。ガラスに巨大な亀裂が走り、破片が飛び散る。
「がっ……、、!!」
「キャアアアイイイ!!」
拳を降る下ろす姿をかろうじて目で追い、剣の刀身を両手で支えて防ぐ。床にも巨大な亀裂が生まれる。
こいつ……無茶苦茶強い。
「キィィィィィ!!」
床が耐えきれず、三人とも空中に放り出される。
ピエロは空中であることに一切の動揺も見せず、体を回転させて回し蹴り。
直撃は避けたが、反動でメリーゴーランドに突っ込む。馬を巻き込みながらも、何とか静止する。
「【アクセル】 」
風が舞い上がる。
「【想像複製】!!」
思い出せ! あのピエロの速度を! ピエロのパワーを!!
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――――――――――複製完了。
地面を蹴る。周りの景色を置き去りにしてピエロに膝蹴りを見舞う。しかし、両手で防がれる。
「キエッ!?」
「先輩……!」
「【アクセル】、【乱舞】、【雷光】」
一度もした事のない、三つのスキルの同時行使。ここで潰す‼
アクセルで加速、疾走。 乱舞で連撃。雷光で、さらに、さらに加速。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
佐々木小次郎の燕返しさえも凌駕するかの如く繰り出された超高速、電光石火の35連撃。
「キィィィィィアアアアア!!」
最初は捌いていたが、段々スピードに押され始めた。
――――――遅せぇ。
35撃目には方腕を吹き飛ばした。
「ギィィィ!!」
苦痛の叫びを上げる。
「ミキ!!」
「はい!」
入れ替わりでピエロの懐に飛び込んだミキの短剣が脳天に吸い込まれて――――――。
「え?」
ミキの目が緋色から、緑色に戻り、状態が傾く。
その隙を逃さずピエロがミキを鷲掴みにし、地面に叩きつける。
叩きつけた瞬間に今度は俺の腹部に強烈な蹴り。完全に油断していた俺は直撃を許してしまい、後方に転がる。
――――――――立て。ミキが危ない。立て。立てええええええええええええええええええええええええええええ!!
腹の激痛をこらえ、立ち上がる。
視線の先にはMPの過剰消費による【酔い】でぐったりとしていて動けないミキを掴み上げ、右手のナイフを構えるピエロの姿。
剣も放り投げ、加速だけに全てを注ぐ。
待てよっ……! 間に合ってくれええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!
俺の右手がミキに触れそうになった瞬間。
ピエロのナイフがミキに深々と突き刺さった。
ピッ、と、ピエロがナイフの血を払う。
地面に力なく倒れるミキ。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
おもいっきりピエロを殴り飛ばす。
後方のコーヒーカップをばらまきながら吹き飛ぶピエロなんかお構い無しでミキに抱きつく。
「おい! しっかりしろ! だ、だ、大丈夫だからっ。助かるからぁ……!」
ポーチから高速回復ポーションを取りだし口に注ぐ。
しかし。HPは回復しなかった。心臓に突き刺さったナイフを引抜いて傷口に注ぐ。
結果は変わらなかった。
「…………先輩、先輩」
「ミキ!」
ミキの体はピエロになることはなく、どんどん透明になっていく。
「先輩、先輩。…………あり……がと」
涙が拭っても、拭っても、拭っても、拭っても、止まらない。
「遊園地、楽しかった……よ。先輩、ありがと」
その言葉を最後にミキは透明になって消えた。
「うあああああああああああああああああああああああ、ああああああ、うあああああああああああああああああああああ!!」
〇〇〇
シロカの後ろにピエロが立った。シロカは気づいているのに動かない。その様子をみて何を思ったのか。ピエロは堂々とナイフを拾い、シロカの脳天めがけて降り下ろした。
そのナイフはシロカに届くことなく地面に惨めに転がった。腕ごと。
「ギィィィヤヤヤ………!!」
想像複製。刃。
想像複製。紫電。
ピエロは目で捉えることすら出来なかった。
いつ、シロカが紫電を持ち自分を斬ったのか。
シロカが抑揚のない声で告げる。死の宣告を。
「泣け。【紫電】」
自分で書いていて泣いちゃいました。涙もろいのかな……。




