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SKILLmagic  作者: もののべ
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私と先輩

2700pv突破しました!有難うございます!

もうすぐで突如現れた遊園地の話になっていきます。お楽しみに!

私は中学生活が不安でした。


私はあまり現実(リアル)で人と話すことが出来ませんでした。


教室で孤立していく。


それが確かな実感としてありました。







――――そんな時、私と彼らは出会いました。



私に勇気をくれる人達に――――。





「じゃあ、今日の7時に迷宮塔前の噴水の前ね!」


「おう、じゃあな」


「塾から帰ってきてから参加するわ」


「今日は私も出来るよ」


「え?! 沙織ちゃんも来てくれんの? 助かるわぁ~!」


放課の鐘が鳴り響く校内では遊ぶ約束が交わされていた。話題は勿論、『skill magic』。


「ちゃんと、ゲーム名で呼ばないと返事してあげないんだからね!」


「わーってるよ。じゃ、7時なー」


「あの人来てくれるかな?」


「ああ、ミキさん? あの人強いからなぁ。今日も来てくれると嬉しいんだけどな。一応DMしとくわ」


その会話を聞きながら私は頭の中で反芻した。

――――今日の7時、噴水前……。

仮想世界(あっち)では、素直な自分になれるのに。

現実(こっち)じゃ、静かな仮面を被ったまま。

でも、自分に言い訳して、それでいいとしている自分がいる。拒絶を恐れる弱い自分が。


――――はぁ。


情けなく、溜息をついて席を立つ。

ふと、液晶(こくばん)を見ると、そこには4月28日と表示されていた。入学をしてから約2週間、か……。


――――ダメだなぁ。私。


「今日どの部活見学行くよ?」


「あー? 俺は野球いくぜ」


「ねー、どこ行くぅ? マネージャー見学行ってみない?」


「行ってみよっか! 格好いい先輩いるかもよ!」


徐々に散らばり始めるクラスメイト達の会話を拾う。


――――――私も。一緒に行っていい?


私も、と。

それだけでいいのに。その一言をどうしても言えない。

私だって……! 変わりたい!


――――でも!でも! 今日はまず難易度の低そうな文化部を……。


結局、逃げている私自身に「逃げるんかい!」と突っ込む。ほんと情けない。





「…………読書、部?」




私の小さな呟きに振り返った少女がいたことを私は知りもしなかった。








* * *








「………無、無念」


ノックを躊躇うこと数分。


――――やっぱり、恐い‼


と、逃げ腰の私はゆっくりと後退を始めた。端からみれば、物凄くヤバい人だと思われてしまうだろう。でもここは別棟の4階の端っこの空き教室。誰もくるはずないから大丈夫っ!


「……何してるの?」


「ひゃああっ!」


大袈裟に肩を揺らして、光の速さで振り返る。


そこには、とてもいたたまれない顔をしている男子がいた。


――――うわあああああああああああああああっ!?


心の中で絶叫し「す、すいません……」と謎に謝ってここから立ち去ろうとしたとき男子の後ろで聞いた事がある声が聞こえてくる。


「お兄ちゃん、教室の前で何してんの? ――――あ!! 来てくれたの!?」


――――白井、沙織(しらい さおり)、さん。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はウンチャラカンチャラ。


って、お兄ちゃんって事はこの人が白井さんのお兄さん!?



「さ、行こ?」


「うっ……うん」


生唾を呑み込み決心する。

今日は体験入部をしに来た旨を伝える。

白井さんが教室の扉を開けてくれ、三人で空き教室に入室する。


「うーす」


「し、失礼しますっ!」


「さ、やりますか~!」


「まず自己紹介しようぜ。おい、沙織も!」


「さて」と、お兄さんが頬をかきながら口を開いた。


「じゃ、俺から。俺は白井祐翔しらいゆうと。この部活の一応副部長。ここは読書部ってのは建前で実際はゲーム部なんだよ。今日は宜しくな」


「じゃあ、次は私ね。私は白井沙織しらいさおり。趣味はゲーム。よろしくね」


――――わ、私の番だ。どうしようぅぅ。


春山翠咲(はるやまみさき)ですっ。どうぞよろしゅくっ――――!」


――――――噛んじゃった。


心臓が破裂するほど拍動し、嫌な汗が背中を伝う。


――――――笑い者にされる……。


覚悟し、目を瞑った。けれどいつになっても笑い声が聞こえることはなく、その代わりに。




「宜しくね! 翠咲ちゃん」


「宜しく、春山」




――――――――。





「さ! やりますか~」


暫くお兄さん達と談笑していると、白井さんが席を立ち、窓の横に置いてあるテレビを持ってきてゲームの電源を入れた。


「え? 一世代前の『プレイサターションズ6』ですか!」


「そうだよ。よく知ってるな」


お兄さんが驚いたような表情をつくる。


「しかも『過去のskill magic』と言われている『ダークドラゴンズダグマー』ですか⁉」


「え~! 知ってるの!? 話合いそうじゃん!」


「うん! まさか知っている人がいるとは!」


「この曲がり角のところは……翠咲ちゃん!」


「トラップギミックですよね!? 沙織ちゃんもその階段は――――!」



「「崩落する!」」





私と沙織ちゃんはこの後、二時間ほどゲームを楽しんだ。



――――久しく忘れていた。こんなにゲームって楽しいものなんだ。



「あ、やばっ! 皆との約束があるんだ!」


「……あ」


――――7時に噴水前。


「お兄ちゃん、私帰るね。9時に夜ご飯食べるから! 後、戸締まりよろしくね」


せわしなく、扉を閉めて出ていく沙織ちゃん。

別れ際に「またやろうね」と、言葉を残して。

二人だけになった教室は静寂に包まれた。

でも、その沈黙はすぐにお兄さんが破った。


「楽しそうにゲームしてたな。沙織も、春山も」


「今日はほんとに楽しかったです。有難うございました」


お兄さんは「それは良かった」と、少し照れたように笑って、そのあとちょっと真面目な顔になった。


「あいつはさ、ああいう性格だけどさ。滅多に人には見せないんだよ。周りに会わせてるっていうか。だからさ、正直、沙織を見て驚いたよ。あんな楽しそうに時間忘れてゲームしてんの久々に見た」


「そう、なんですか」


「そうそう。だから春山――――。あいつと友達になってやってくれないか?」


――――――――違う。


違うんだ。見透かされたようで悔しいけど、でも…………。



それ以上に嬉しかった。

お兄さんは、私に友達がいない事を見透かしてたんだ。それをふまえて、私に建前りゆうをくれた。友達をつくる建前(りゆう)を、一歩踏み出す勇気をくれた。



――――なんて優しいんだろう。


私はバックから一枚の紙を取り出した。その上にボールペンを滑らせていく。



「春山。送ってこうか? 外暗いし――――ん?」


()()()()。これからどうぞ宜しくお願いします!」


私は『入部届』に『読書部』と書いて白井先輩に渡した。


「いいのか? まだ体験期間あるけど」


「それを聞くのは良くないですよ? もう私は決めました!」


白井先輩は「そっか」と、嬉しそうに笑い手を出してくる。



「宜しくな。春山」


「はい!」


私は両手で彼の手を握り返した。

よろしければ、ブクマ、コメントしていってくださると嬉しいです!

昔は少し静かな性格だったんですね。ミキさん。


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