記憶の欠片
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老人がそう切り出したことにより、戦闘は終わりを迎えた。
そして、俺は螺旋階段を上っていく老人の後を追った。
「ここでいいか」
「すげぇな。綺麗な景色だ」
屋上に来るとskill magicの世界をすべて見渡すことができた。
「それじゃあ、ここは…………」
「そう、ここはこのゲームのラスボスの部屋だよ」
「やっぱりか」
「元、だけどね」
「もう、ハックされたことで最上階が25階になってしまったからね」
老人は少し残念そうに笑った。
「じゃあ、なんでここが残っているんだ?」
「それはね、ここは君が作った世界だからだよ」
「え?」
老人の言葉を聞いて頭の中のどこかで思い当たる何かがあったけど、それを思い出すことはかなわない。
「君は自分の記憶が薄れていくのに気づいた。もし自分が記憶をなくした後でこのゲームをプレイしたときのために、この『手抜きクエスト』を作り、そして強制参加させ、記憶を少しでも取り戻してもらえるように、とね」
「何より君の頼みだったから君の作ったこのクエストのボス役をやっているんだよ」
「? 貴方はNPCじゃないのか?」
「まあ、間違いじゃない。でも私はもと人間だよ」
「それって…………」
「映像的存在って知っているかな?」
「現実の意識を永久的にデータにとどめるってやつですか?」
「そうそう、私はそのただ一人の成功者。このゲームの作成者でもある」
「そして君はたった一人のゲームクリア者ってわけだね」
「昔の俺がこのゲームをクリアしていた!!!??」
「君の太刀筋は素晴らしかった。昔は少し荒々しかったけど、今は優しさがある」
「てことは、あなたはラスボスってことか」
「ご名答」
「私の口からは何も言えない。でもね、君は一個だけ絶対に忘れてはいけないことを忘れているよ」
老人はにっこりと笑い、紫の剣を差し出してきた。
「この剣は君に返すよ。あっ、と、これは言ってもいいかな?」
「?」
「君だけは、支配者の正体を知っている」
「!?」
――――ぬぽおおお。君は所詮、実験動物ってことだお。
「!?!?」
頭に激痛が走り、いやな汗がとどめなく流れ出す。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
だれだ。お前は。オマエハ、ダレ?
「大丈夫かい? やっぱダメだったね。変な負担をかけちゃいけなかったか」
「はあ、はあっ!」
何かを思い出すことを拒絶している…………?
「すまないね。もう大丈夫かと思っていたものだから」
「い、いえ……」
老人は、「話を変えようか」と言いながら下に広がる美しい世界を見下ろした。
「その剣、【紫電】は剣が受けたダメージを紫の電として相手に与える能力を持つ。発動条件は短文詠唱を行うこと」
あまりの話の変わりように少々焦りながらも、「詠唱?」と聞き返す。
「そう、私の場合は【――――荒れろ。紫電】だけど、最後に【紫電】がつくのと、5文字くらいなら発動どんな文でもするんだけどね」
頭を掻きながら照れ笑いする老人。
ちゃんと、中二臭い詠唱だとわかっていたんだ……。
「おや、もう時間か。じゃあねシロカくん。私の作ったこの世界を救ってくれ――――」
その言葉を聞いた瞬間、『クエストクリア!』の文字が現れる。
そして、俺がいた鍛冶屋の裏手に戻ってきていた。
あの老人が何者なのか結局わからなかったが、貴重な話と願いを託された。
俺は夕時の遊園地を歩き出した。
え? 遊園地⁉
鍛冶屋の表通りがなぜ遊園地?
続きをお楽しみに!




