ONEonONE
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疲労が蓄積されていく。
頭痛はするし、最悪の気分だ。
剣を握る手が震えている。
疲労からか、恐怖からか。
でも、この感覚は前のボス戦の時に感じたものとよくにていた。命のやり取りをしている時の高揚感。生きているって実感している。
戦闘狂って訳じゃないと思うけど、この感覚がどうしても俺は味わいたかった。
※※※
「はあ……はあ……」
バラバラに破壊しようと復活する泥人形を相手にして数時間。極限の緊張と相まって、疲労はピークを迎えていた。
「……何体目よ! いい加減にして」
既に大半がやられ、数人のプレイヤーしか生き残っていない。
「もう、ポーションがない!! 誰か助け――」
目の前で消えて行くプレイヤー。あまり気の長い方ではないのだ。俺は。怒りメーターは10を軽く越えていると思う。
「ふざけるなよ。何人殺せば気がすむんだよ」
誰に届くこともない小さな独り言を残し、複製を解除する。
そして、剣に触れ複製する。
剣と、カズのステータスの両方を複製する事は出来ない。
だから、カズのステータスを捨て、自分のスタイルで勝負する。絶対倒す。
「皆は少し休んでいてくれ。俺が危なくなった時だけ援護してくれれば良い」
「分かった」
「……そうします。救世主さん」
サユリ、ミキを含め、数人のプレイヤーに声をかけて下がらせる。
……さあ。一対一だ。
笑みを浮かべ、泥人形を見据える。
そして、地面をこれでもかと踏みつけ、泥人形に肉薄する。
泥人形の攻撃はかなり単調で避けやすい。しかし、威力が威力なので侮れないところがあるが。
「おおおおお‼」
「オオオオオ!」
泥人形の咆哮。 拳を固めて振り上げる。動きは単調。それゆえの破壊力。俺の速さと、泥人形のパワー。どっちが勝つか。
『あれ』を使ってみるか。
俺が説教をされた後でも、どうしても迷宮にいきたかった訳。それは――――。
泥人形の拳が目前に迫る。
「お兄ちゃん‼」
遠くで妹の悲鳴にも似た声が聞こえて。俺は振り向いた。
「後ろっ!!」
「大丈夫だよ。サユリ。もう『斬った』」
俺の目の前に迫っていた拳が突如静止。その数秒後、その拳はバラバラになってボトボトと地面に落下した。
※※※※
「うそ…………見えなかった」
「あれは、ランクAの剣技スキル『乱舞』だろうな。多分」
「多分ってどう言うことじゃ?」
「目で追えない。なんてチート剣技スキルなんて作られる訳ないでしょ? だからあの速度は、お兄ちゃんの筋力ステータスが化け物になっているってことで、それを考慮して、思い付く剣技スキルは『乱舞』くらいだからね」
それに続けてカズがサユリの説明に補足する。
「その化け物じみたステータスのお陰で、なんの剣技スキルを使ったかわからないレベルの速さを手にいれたって事じゃないかな」
通常【スキル】とは主に二つに分けられる。剣技スキル等の『戦闘系スキル』と武器製造スキルや、料理スキル等の『日常系スキル』である。ランクはそのスキルの強さ順にS、A、B~Dとランク付けされている。
そのスキルを会得する方法として『スキルポイント』で会得するのが一般的。
モンスターの強さごとに入手できる『スキルポイント』の量は違うが、大体1~50000ptまで。
シロカの場合、『ケルベロス・スネーク』をひとりで撃破したので入手できる『スキルポイント』は25000pt。(数人で倒した場合は山分け)ランクAの剣技スキル会得は、10000pt。残りの15000pt分の『スキルポイント』をシロカはステータスの『筋力』に全振り。初心者らしいと言えば初心者らしい。
しかし15000pt分『筋力』パラメーターがアップすると言うことは、サユリ達よりも僅かに劣る程度の筋力。初心者でこれは恐ろしい。
しかも、シロカの加護【複製】で剣を複製した状態で、スキル『乱舞』を行った場合、斬撃数が片手剣で行った時の倍。それなのに筋力パラメーターのお陰で片手剣で行った時と同じ時間で『乱舞』を終える事ができる。
つまり、実質速度も2倍。
「圧倒的な速さじゃのう」
「そうだね。本当に凄いよ、お兄ちゃんは」
サユリは兄を尊敬の眼差しで見つめていた。
※※※
「おおおおお‼」
俺が会得した剣技スキル『乱舞』は速い上に強い。しかし、問題はスキルを使用するたびにMPが減少する事だ。
MPが0になってしまうと激しい『酔い』の感覚に教われ、まともに戦闘できない。
それも視野にいれて戦わねばばらなかった。
「レベルの低い俺には、使えるのは後3回くらいか」
正直キツいな。この戦闘が終わったらMPにスキルポイントを全振りしよう。
「ボオオ……」
弱々しい声残し、泥人形はただの泥と化した。
「ボオオオオオオオオ‼」
別方向から泥人形の雄叫びが聞こえ、新たな泥人形が姿を現す。
「っ!」
繰り出された拳を『乱舞』で破壊する。
……しまった。つい反射的に。あと2回。
後悔している暇はない。この攻防で見つけるんだ。クリア方法を。
「ボオオオオオオオオ‼」
「くっ……!」
むやみやたらに自分の足元を薙ぎ払う泥人形の足元をスライディングでくぐり抜け、後ろに回る。そして、一度距離を開けるべく泥人形の背中を睨みながらバックステップ。
「?!」
しっかりと見ていたはずなのに。一瞬たりとも目を離さなかった。なのに、泥人形は俺の後ろで右足を高く振り上げ、サッカーのシュート体勢のようなポーズをとっていた。
――――やられる‼
「うおおおおおお!!」
『乱舞』で泥人形の足を斬り捌く。
――が、威力が威力。勢いに負け、はるか後方の壁に叩きつけられる。
「ううっ……!!」
壁にめり込んだ体を起こせぬまま、泥人形の接近を許してしまう。
視界の端で『赤』を示す体力ゲージが目に入る。しかも残り1回しか『乱舞』は使えない。
これを喰らったら確実にゲームオーバーだ。
後先考えていられねえ、けど防ぎきれるか……。
その時横から光の直線が駆け抜け、腕を削ぎ落とす。
「シロカ! 大丈夫か!⁉」
イチハの声が遠くで聞こえてくる。
「……マジ助かった」
壁から体をお越し、もう一度泥人形の後ろに回る。
「馬鹿者! 同じ轍を踏むでない‼」
泥人形はやはり、超高速で俺の背後に回っていた。
泥人形は踏み潰そうと高く振り上げ、一思いに振り下ろそうとした。
「……ナイス」
イチハの熱戦が足を破壊した。
「この隙に……! 『サウンド』!!」
種族・人間が使える固有スキル『サウンド』を発動する。
すると、この泥人形の他にもう一つモンスターの反応があり、泥人形とそのモンスターには、なにやら変な線のようなもので繋がっている。
謎は解けた。これで、ゲームクリアだ。
「……?」
皆にそれを伝えようとした瞬間。
激しい頭痛と目眩に襲われる。成す術なく、地面に倒れこむ。
「……『サウンド』も、ま、MPを……」
「ボオオオオオ」
「お兄ちゃん!」
一人でハシャギすぎたか。カズもサユリもイチハも、もう間に合わないくらいに距離が離れている。
泥人形はゆっくりと手を伸ばしてきた。
……やっと分かったのに‼ ゲームクリアの方法が!
「畜生……! 」
動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!
その願いは聞き届けられない。
その瞬間。俺の脳裏に説明が流れこんできた。
この感覚は……。
この絶望的な状況で、俺は反撃の一手を思い付いた。
シロカさん、絶体絶命ですね。
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