珊瑚海の死闘6
1942年5月9日 1830
珊瑚海 北西部
IJN蒼龍
「何?敵空母が?」
「はい、伊21潜からの報告です。敵空母を撃沈した模様です。現在、索敵機にも確認させています。」
通信参謀の報告に山口は驚く。
「どちらにせよもう攻撃はできないな。無駄な消耗をしてしまう。」
「はい、夜明けと共に索敵機を出します。」
「夜間は対潜哨戒を厳に、翔鶴の二の舞は避けないとな。」
潜水艦に対するトラウマを日本海軍は少しだけだが増えていた。
「駆逐隊に警戒を厳にさせます。」
「飛龍は?」
「損傷の修復は進んでますが艦載機の方の損傷が激しいです。数機はどうにかなりますが稼動機はかなり少なくなりました。」
「いくつだ?」
「明日の朝までに本艦も合わせて40機まで稼動可能です。無論直衛機を除いてます。」
航空参謀は自信を含ませた声で言う。二航戦の夜は更けて行く。
1942年5月10日 0600
日本近海
日が昇ったこの海に日本海軍の艦艇よりは薄い灰色をした艦艇が航行していた。
「まさか、ここにもう一度来るとはな。」
「真珠湾でもう一度やると言われたときは本気かと思いましたが、連中の空母がいないなら絶好のチャンスですね」
空母ホーネット、合衆国の空母はB25を満載していた。そしてそれのエンジンには火が入っていた。
「発艦始め!」
ハルゼーはそのあだなの通りブルの様な声で言った。
合衆国は日本海軍の空母の稼動空母が(MO作戦に参加している蒼龍、飛龍を除けば)2隻しかいないことを知った時、ドーリットル空襲の再現を行うことにした。
そのためにハワイにいた空母を日本近海に送った。
「このチャンスは逃せない。」
ルーズベルトはそう言い放ち空母を送った。インド洋での敗北により落ちた連合軍の戦意を高めるためにもう一度行うことにした。
マッケーン中佐に率いられた爆撃隊は日本本土、横須賀を目標にして飛び立った。