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天高く翔ぶ鶴は海をゆく   作者: ゆうすけ
10/10

珊瑚海の死闘7

1942年5月10日 0700

珊瑚海


この日、日米の機動部隊は日出と共に索敵機を放った。

既に日本軍は祥鳳、飛龍中破青葉、敷波小破、合衆国軍はレキシントン轟沈、チェスター、モナガン小破の被害を受けていた。

だが米軍はモレスビーを放棄出来ないため戦いを続けるしかない。そして日本軍は続く作戦の為にモレスビーを確保せねばならなかった。

最初に見つけたのは米軍であった。


USSレキシントン

「索敵機より入電、敵艦隊発見、方位艦隊より320度距離200。空母3、重巡6、駆逐艦多数確認以上です。」

通信参謀の報告にフレッチャーは笑みを浮かべる。」

「よろしい、直ちに全機発艦せよ、空母を沈めるのだ!絶対に」

フレッチャーの眼は前日空母を沈められたせいで復讐に燃えていた。それは叶うかもしれなかった。


0915

IJN祥鳳

祥鳳は、燃えていた。

米軍の攻撃は0800から始まり、この小型空母をしつこく狙っていた。

フレッチャーの空母を沈めよとの命令から、攻撃隊長はこの傷ついた空母を狙っていた。

「敵雷撃機4、右舷より突っ込んでくる!」

「面舵一杯!迎撃急げ!」

伊沢大佐は大量の汗をかきながら回避命令を出していた。しかしながら祥鳳はすでに爆弾4発命中、魚雷2本命中、至近弾8発飛行甲板使用不能となっておりもはや満身創痍であった。

「敵機、左舷より6機!」

回避直後であるため回避が困難であった。

まずい。伊沢は思った。その間にTBDは祥鳳に向かってくる。


「パウンディー1より全機、あの小型空母を狙うぞ!」

パウンディー1ことマックイーン中尉は愛機のTBDを祥鳳へ向ける。別の隊のTBDが雷撃するが目測が甘いらしい、外れていた。だがそこで生じたすきを彼は見逃さなかった。

「今だ!GOGOGO!」

機を突撃進路へ向ける。途中重巡が立塞がるがそれをすり抜ける。

その瞬間に重巡から放たれた機銃弾が4番機のコックピットを貫きパイロットを惨殺する。そのまま機体は錐揉みで海に落ちる。

さらに祥鳳から撃たれた高角砲弾が2番機を叩き落とす。

だが興奮状態にあるマックイーンはそれを無視する。

そして祥鳳に狙いを定め、投下した。機体を全速力にさせ空母の上を通り過ぎる。

「中尉!」

後部機銃座からの声にかれは敵空母へ振り向く。

大きな水柱が立っていた。

「ブラボー!」

マックイーンは叫ぶ。

(これで俺は空母を沈めた英雄だ!)

彼は歓喜したしかしその瞬間祥鳳から放たれた最後の高角砲弾が彼の機体に命中しマックイーンは最後まで英雄を夢見ながら珊瑚海に落ちた。


その後祥鳳は1地時間ほど火災と浸水に揉まれながら珊瑚海の水底へと艦首から沈んでいった。

だが伊沢は沈没が避けられないと知った0931には総員退艦を命令し0955には死者、行方不明者の422名を除く全員が退艦していた。その中には艦長も含まれていた。

祥鳳沈没後、2航戦司令の山口はすぐさま攻撃隊を放っていた。祥鳳の仇のために。

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