読み物:エルサレム最終攻勢
中東に行った帝国陸軍が気になっていると思うので、ある記事を紹介しておこう。
エルサレムで行われたパレスチナ地方へと侵攻したガウラ帝国とイスラエル・パレスチナ軍の最後の戦い。
帝国軍はその圧倒的な技術的優位と進軍速度で容易くこの二つの軍を解体した。
追い詰められた連合軍はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレムへと退却。
帝国軍はこれを包囲し、無傷で占領、帝国軍によるパレスチナ地方平定は完了した。
-参加戦力-
【イスラエル・パレスチナ連合軍】指揮官:ガディ・ダヤン、アブデュルハミド・スィヤーム
民間防衛軍エルサレム管区
第340"イドン"予備役機甲師団
決死隊"サラーフッディーン"
戦力:8,746
損害:6,522
【ガウラ帝国】指揮官:エトゥナ・ミディイェ
第3強襲師団
第9異邦旅団
第45陸軍航空戦隊
戦力:22,000
損害:無し
-背景-
イスラエル、パレスチナ軍は帝国の侵攻を受けてより一度も勝利する事も無いままその領土の殆どを奪われた。
海軍、空軍は満足な抵抗も出来ぬまま戦争開始の1週間で9割を壊滅させられ、陸軍も帝国軍相手に為す術もなかった。
夏季にはガウラ人の体質により進軍は停止していたが、反攻作戦は全てが失敗し、帝国軍に全く被害を与えることが出来なかった。
最初、この連合軍の仲は険悪であったが、帝国軍に圧倒されやむを得ず足並みを整えさせられることとなる。
しかし両軍が協力態勢を整えても帝国軍の攻撃を止める事は出来なかった。
また、帝国軍の使用する『カルセドナ重戦車』の装甲を貫徹できる装備を持っていなかった。
連合軍は最終的に聖地エルサレムへと後退する。
この時の残存戦力は両軍合わせて1万人にも満たなかった。
一方、帝国軍は古い歴史を持つ都市であるエルサレムで戦闘を行う事は占領後の統治に悪影響を及ぼすと考えていた。
これはガウラ人の価値観から見ても非常に抵抗のある行為であったのだ。
司令官であるエトゥナ・ミディイェはこれを包囲し、補給を断絶させ自ずから降伏するのを待つことに決める。
また、砲火による都市への被害を減らすべくを少数の超能力兵を潜入させ、連合軍の装甲戦力を完全に破壊した。
-降伏勧告-
ミディイェは包囲を完了する直前に、連合軍に最初の降伏勧告を行った。
また市街地にはヘブライ語とアラビア語で以下のように書かれたビラを空中から散布した。
「非戦闘員は避難せよ、武器を持つ者はそれを捨てよ、補給は断たれる、飢餓が来る」
これは住民たちの恐怖を煽ったが、連合軍は降伏を拒み、市民の避難を禁じた。
市民への避難の妨害にミディイェは激怒し、すぐに総攻撃を開始するように命じたが部下に窘められる。
数日後に包囲は完了し、連合軍と市民は都市にある備蓄のみで暮らさなくてはならなくなった。
-戦闘-
それからひと月ほど帝国軍は座して待った。
都市は既に飢餓が蔓延しており、市民たちは軍の制止を振り切って都市を脱出していた。
帝国軍はこれの支援と対応に時間を費やしていたが、ついに連合軍の限界が訪れた。
支援作戦中の第3強襲師団の第12小隊が攻撃を受け、それに応じて全軍の攻勢を開始、最後の戦いが始まった。
帝国軍の強襲兵たちは速やかに市内へと浸透し、連合軍兵を投降させるか、あるいは撲殺していった。
連合軍の持つ小銃では帝国軍兵士の鎧を撃ち抜くことは出来なかった。
戦闘は2時間ほどで終了した。
-イスラエル・パレスチナの降伏とその影響-
戦闘の敗北により、両国は抵抗する力をすべて失い帝国に降伏した。
降伏の翌日、ミディイェはニュース番組『帝国日報』にて中東の安定化の推進並びにバルカン、アフリカの平定も計画している事を発表し、中東再編と称して更なる侵攻を宣言した。
この報道は全世界を震撼させ、特にアメリカに強い反宇宙人感情を抱かせることとなる。
また日本、イギリスは帝国に協力したと非難され、地球情勢上での孤立を深めた。
一方で占領下ではインフラの修復と建造、治安対策、教育機関の設置など善政と呼べる体制が敷かれていた。
帝国軍は宗教や人種間の犯罪を特に厳しく取り締まり、お互いの憎悪感情の払拭に努めた。
これは後の統治計画である『エトゥナ・プラン』遂行の為でもあった。
※作者からのお知らせ:もっと面白い感じの事思いついたら加筆修正の可能性があります。




