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ミステリーサークルサークル

諸君はミステリーサークルというものをご存じだろうか。

まあ、恐らくはあまり聞きなれない言葉であろう、私もあんまり知らない。



珍しい客人が来た。

それぞれ、アヌンナキ人、メウベ人、シン国人、クートゥリュー人の男性4人組である。

銀河四大古文明の揃い踏みだ。それにしても珍しい。

加えて彼らは高齢のようである。

「いやいや、随分と久々に来ましたな」

「そうですなぁ」

随分と仲がよろしい様子である、にしても、以前も来たことがあるというのはどういうことだろう。

「言葉の通りですよ……まあ、非合法でしたが」

まあそうだろう、久々という事は宇宙港開港以前に訪れたという事になる。

「ご存じですかな、ミステリーサークルというものを」

アヌンナキの男性が問いかける。いや、全然。

結構昔に流行ったやつじゃなかったかしら。

「左様、西暦だと……何年だったかな」

「1980年代ですよ」

「ああそうだった!懐かしい、何だったかな、アハーみたいな曲……」

「それはアーティスト名ですよ」

よく知らないんだけど、どうやら地球に来たことがあるのは本当のようである。

ワイワイ喋りながら、4人の老人たちは入国していった。


その日の夜、ミステリーサークルについて軽く調べてみる。

要約すると単なるいたずらである。

農作物が幾何学模様に倒される現象や跡の事を言い、

当初は原因が不明で、UFOが原因だのプラズマだの色々と取り沙汰されていたようだ。

いわゆる超常現象ってヤツである。

日本でも、福岡県篠栗町にいくつか現れ、

町おこしに利用されたそうな。

話題になった途端に世界中に模倣犯が登場したり、

UFOがサークルを作る映像が捏造されたりと、

ひと悶着もふた悶着もあったそうだが、結局のところは、

ダグ・バウワーとデイヴ・チョーリーという二人の老人のいたずらによるものであった。

……では、彼らは?


そして翌朝のニュース。

篠栗町に数十年の時を経て再びミステリーサークルが現れたのである!

昨日の会話が本当ならば、あの四人の仕業と見て間違いないだろう。

つまり、ミステリーサークルは本当に宇宙人の仕業だったんだよッ!

な、なんだってーーーーー!!

……しかし宇宙時代の今、さして驚くほどの事でもないのである。夢が無いなぁ。

出勤すると、ロビーに例の四人がいた。

彼らにミステリーサークルについて聞いてみる。

「もちろんその通り、我々が作ったものだ」

ではダグとデイヴの話は……。

「あれも本当。残念ながらもう亡くなっていたが……」

「二人は我々の恩人です」

何やら事情があるらしい。

「まあ、我々は銀河社会に黙って、不法に宇宙を旅していたのだよ」

メウベ人の老人が小さい声で言った。まあ大きな声じゃ言えないよね。

「地球の、ブリテン島を見ていた時に宇宙船が故障したのです」

まあよくある話ではありますが、とそのアヌンナキ人は付け加えた。

なんでも、その時に二人に出会い、匿ってもらったのだという。

不時着した地点は麦畑であり、収穫間近の麦が円形に倒れてしまった。

宇宙人騒ぎになれば、いずれ銀河社会にもバレてしまう、重罪は免れない。

そこでダグとデイヴは彼らにある提案をした。

宇宙船を自分たちが買った山小屋に隠し、そこで修理を行う。

円形に倒れた麦は自分たちが作ったことにする。

そして、山小屋の位置がバレないように、イギリス各地に作る。

4人の内、技術者は1人しかいなかったために、

残りの3人と合わせて5人はミステリーサークル作りに奔走した。

技術者の人は一人で船の修理、可哀想。「そうでしょう!?」

……もちろん作り方はベニヤ板とポールを用いたやり方である。

最初に作ったのは1978年、そして修理が終わる1991年まで続けられた。

「厳密に言えば、1980年には修理は終わっていたがのぉ」

イギリスでの生活が楽しくて10年ほど居座ってしまったらしい……。

つまり、かのミステリーサークルは宇宙人が宇宙船の痕跡を誤魔化すために、

手作業で作っていたというのが真相であるらしい。ホントかよー!?

「でもあの時は本当に楽しかった……ダグとデイヴも、本当にいい友人だった」

「ああ……」「昨日のことのように思い出せるよ」

4人とも、すっかり思い出に浸ってしまった。

かの乱痴気騒ぎにそんな美しい友情のエピソードがあったとは、

なんとも胸にジーンと沁みる心地である。


そういえば、今朝の篠栗町のはやっぱりあなた方の仕業?

「……? いや我々ではないが」

えーーっ!?


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