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壊れたる翻訳機

ハーメルン版の方は文字に特殊効果を付けれるのでその分内容がちょこっと増えている……


翻訳機、何気なくいつも使っているが、これが壊れてしまっては大いに困るのだろう。

今回はそのことをこってりと思い知らされた。



その日はホノルド氏から連絡が入った。

「これから到着する便は事故で軽い電磁パルスの影響を受けたらしい、乗客は無事だが、翻訳機がイカれちまったそうだ」

つまりは会話も出来ないのだろうか。

「まあ全員がまるっきり壊れたって訳でもないらしいから」

という事なので、まあ大丈夫だろうと高を括っていた。

結果としてかなり苦労する事となる。


一人目の客人が歩いてきた。狼に似た人種である、見たところ身体に異常はなさそうだが。

が、書類を出さない。なぜだろうと彼に書類を出すように促した。

「すみません、もっと大きい声で」

書類を出してください!

「まだ小さいですね」

書類を!!!提出!!!してください!!!

「うわ、大きすぎる!」

書類をご提示願います!!

「ああ、書類ね。国によって入管のやり方はまちまちだから」

くそう、先が思いやられる。

さて、次なる客人もオオカミさんであった。彼の翻訳機も壊れているのだろうか。

書類をご提示願います!!

「うわわ!びっくりした!急に叫ばないでおくれよ!」

ああよかった、壊れてなかったんですね。

「え?もうちょっとゆっくりで」

ほ ん や く き は こ わ れ て い る み た い で す ね 。

「ああそうだ、酷いパルスだった、見てくれ、俺のハンチャビーさんが壊れちまったよ」

ハ ン チ ャ ビ ー さ ん っ て な に ……ゴホン、心の声までゆっくりでなくてもいいか。

というか、どういう壊れ方なんだそれは……。

その後しばらくは、翻訳機が正常な客が続いていた。

それも長くは続かなかった。


その人物もオオカミさんであった。

「俺は窓際にいたからどんな壊れ方をしたやら」

とりあえず、普通に話しかけてみた。

「えらく古めかしい喋り方だな、もっと若い感じで」

⊇れτ″ナニ″レヽι″ょぅ、ζ、″τ″すカゝ?

「いや、それはそれで古いよ……」

何やらドン引きした様子である……要らぬ恥を搔いてしまった。

となると、逆なのではないか。

かかるうちいで方はいかがならむ。

「……うーん、若者言葉はちょっと」

やっぱり逆になっているようだ。

其れにてはかくはいかがであろう。

「もうちょっと古く」

そんな世代間で通じないほどころころ変わるもんなのあんたらの言葉って!

デハコレデハドウデアリマショウカ。

「うーん、なんか違うんだなぁ」

。カウロダ事ウイウコ、アャジ

「そうだよ!それそれ!それで、何をすれば?」

。イサダクテシ示提テ全ヲ類書タキテッ持

「わかったわかったよ~ありがとう!」

ふぅ、なんとか乗り切ったようだ。

先の様子を見た感じ……以降の客はみんな壊れている様子だ。外側の席だった人たちばかりなんだと。

「ゆっくり喋ってよ」

し ょ る い を は い け ん い た し ま す 。

「上下に昇り降りしつつ」

入 書 の 示 お い し す

 国 類 提 を 願 致 ま 。

「暗号文風にお願いします、信号的なヤツで……」

--・-・ -- -・--・ ・- ・--- ・-・-- ・- --・-・ ・・ ・---・ --

「なんというか四角い感じ」


    必

   い 要

  さ   書

 下  。  類

  て   を

   し 提

    出


「もっとこう、ウネウネ這いずり回る感じで?」


 書

  類

    の

      提

       出

       を

      お

    願

  い

 い

 た

  し

    ま

      す

       。


「えぇ、どうやって喋ってるの……こわ……」

お前らのせいじゃろがい!!!

「え?ゆっくり喋って下さい、それで100年弱ぐらい古い言い方で」

!! イ ガ ロ ャ ジ イ セ ノ ラ 前 オ

という感じで、ようやく最後の客が去って行った。

事故で仕方ないとはいえウンザリである、もう電磁パルスなんてこりごりだ!


そういえば吉田は一体どうやって乗り切ったのだろうか。

「翻訳機のスピーカー機能を使ってな」

はあ。そんな機能あったっけ。

「前にも使ったじゃないか」

……使ったかな、使ったかも。


気に入ったらブクマ……いや、今回はアレなので別にいいです……はい……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回の主人公は想像を絶する発話能力を発揮していますね。 ほんとうにどうやって発音しているのでしょうか。
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