与えられた試練 7
「はぁ〜、極楽極楽……」
いい湯だなぁ、ホントに……
「行くわよ? 三、二、一……」
「よし、体を洗うか……」
「ごぉー!」
ジンが浴槽から出て、体を洗いに行こうとすると同時に、お風呂のドアが勢い良く開かれる。その突然の出来事に、ジンは驚きの声を上げる。
「うぎゃぁあ!?」
「「「「一緒に入るわよー!!」」」」
「ふざけるなぁー!!」
四つの影。それはいつもの四人だ。レベッカ、マーシュ、エレン、へレーナ。お風呂の時は大体こうなる。
ジンは叫び、逃げようとしたところを抑えられ、抵抗できず、レベッカ達に従わざるをえなくなった。ジンは、ただただ落ち込んだ。
もう何も隠すことをせず、同等とお風呂に入っている四人を見て、ジンももう隠すことをしなかった。
「それで? どうして男湯に入りに来たんです?」
「そんなの簡単よ。女子だけじゃ味気ないじゃない?」
「何が味気ないですか! 毎度毎度、僕は独りで入りたいんですよ! ゆっくりさせてくださいよ!」
「何よそんなに怒って。少しは喜びなさい? こんな機会滅多に無いわよ?」
「決めた。僕はお風呂の時間をずらします。こっそり入ります。もう決めた。ふんだ」
「まぁそれならそれでいいわ」
その後は、何だかんだ言っといて、会話を楽しんだ。ジンも本気で怒っている訳ではい。ただ恥ずかしいだけなのだ。
お風呂から上がり、披露のせいで眠気がどっとくる。ジンは眠たい目を擦りながら廊下を歩き、部屋へ入る。
殆ど目が開いていない状態でベットへ潜り、三秒で夢の世界へ行く。この時、ジンは気づいてはいなかった。隣で眠っている者の存在に……
翌朝、目が覚め、起き上がろうとする。が、何故か体が重くて起き上がれない。まだ意識が朦朧としていて、視界もぼやけていたため、何が乗っているのかわからなかった。
「うぅ……重い……」
体の向きは変えられたため、横向きから仰向けへと体勢を変える。すると、仰向けになった瞬間に突然口が塞がれた。
「……!?」
ジンは訳がわからず、手を使って上に乗っている何かをどかそうとするが、両手も塞がれ、何も出来なくなる。
な、なんだこれ!? 柔らかい……えっ!? 何か口の中に……これは……誰かの舌か!?
ようやく視界が戻ってきて、その何かがようやくわかる。それを知った瞬間、ジンは急激に顔が赤くなる。そして、
『やぁおはようジン。目覚めのキスはどうだったか? 我ながら良いものだな』
そう。ジンはずっと隣で寝ていたレッドに、熱いキスをされていた。それもかなりディープな物だ。
「ぼ、僕のファーストがレッドさんに……」
『なんだ初めてだったのか? 我が初めてで良かったな。ちなみに我も初めてだ。お互い様だな』
「良いわけないでしょうがぁ〜〜!」
その叫び声は、城の中を駆け巡った。
ジンはさっきの感触が頭から離れなくなる。初めてがまさかの龍だ。しかも最強と謳われる龍だ。それを考えただけでジンは顔が赤くなる。それに人の姿は美人ときた。ジンはこの事は一生忘れないだろう。
この事はレベッカさん達には黙っておかないと……
『なぁジン、もう一度いいか?』
「……はい?」
今なんて言ったんだ? もう一度って……えっ!?
再び、ジンはレッドに唇を奪われる。今回のキスは訳が分からない。
その時、ジンは思った。ここにレベッカさん達が来なくて良かった、と。次の瞬間。
「ジンまだ起きてないのー?」
こ、この声は!?
そして、その時は訪れる。お決まりのパターンだ。濃厚なキスをしている所を、次はエレンとへレーナに見られる。二人の口は、顎が外れるんじゃないかと言わんばかりに開いていた。
終わったな。僕はこの先の展開がわかる気がする。まずはへレーナさんがレベッカさんに言う。そして四人で作戦会議。そしてフルボッコ。ここまでは想像出来るな。
レッドもようやく気づき、ジンの唇からゆっくりと唇を離す。
『なんだそんな顔をして。お主らもするか? 今なら黙っててやるぞ?』
「「えっ!?」」
待って待って。何を言ってるのこの龍は。一緒にするかだって? そんな事は絶対にする訳がない。だってする理由が無い。だから……ちょっと? 何をそんなにギラギラした目で近寄ってくるんですか!? お願い助けて!!
『ま、やらせはせんがな?』
そう言って、レッドはジンを強く抱きしめる。
「「えっ……」」
く、苦しいぃ……
この後、ジンはいつものように、レベッカ達にリンチにされました。




