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冒険者は最強職ですよ?  作者: 夏夜弘
第三章 アルゴネズム国編
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与えられた試練 5

 翌日、レベッカとマーシュが謝り、このことは一件落着する。まぁそんな大きな事でも無かったが……


 エレン、へレーナは依然として変わらない。だが、どうもへレーナだけは元気が無い。理由を尋ねるのはは、もしかしたら、訊かれて嫌なことがあるかもしれないので、ジンはそっとしておくことにした。


 朝食を取ったあと、一同はそれぞれの訓練場所へと移動する。レベッカ達はホワイトと、ジンはレッドと一緒にその場所へ向かう。


 その途中で、レッドが突然独り言のように喋り出す。


『あのエルフ、今は元気が無いだろ? あれは試練の一環だ。お主が気にすることではない。だからほおっておけ』


「…………」


 ジンは無言のまま、ただ横を歩いた。


 昨日と同じ庭に着き、準備体操をしたあと、ジンはレッドへ、とある提案をする。


「レッドさん、僕に何か制限を掛けてください。例えば目を瞑って闘えとか、剣は使わないで闘えとか……」


『その気持ちは悪くない。が、ダメだ。そのレベルにまだ達してはいない。我に一発でも攻撃を入れてみろ。そうしたら考えてやる』


「わかりました。ならいきます!」


 ジンは、力強く地面を蹴る。


 そして一時間後。


「はぁ……はぁ……」


『お主なぁ……頭が硬いぞ? 攻撃にばかり気を取られて防御が疎かになっている。それだから簡単な攻撃を食らってしまうのだ』


「そう言われてもですねぇ……」


『自分がやられる前にやる。それはたしかに良い、だがな? その相手にもよる。お主は格上の相手……前日の魔王幹部じゃな。あの様な相手と闘うときもそのスタイルで闘っておったのか?』


「そ、それは……」


『はぁー……図星か。本当に硬い。硬すぎる。一回脳ミソ改造してみるか?』


「それは嫌ですよ! サイボーグじゃないんですよ!」


『そういう事だ。嫌なら考え方を変えろ。まずはそこからだ』


「……と言われましても……僕にはそれ以外の考え方なんて思い浮かばないですけど……」


『しょうがない。参考までにだが我のスタイルを教えてやろう。我はこうだ。とりあえずぶっ殺す。以上』


「いやいや参考にならねぇ!!」


『そうか? このスタイルでずっとやってきたんだがなぁ……』


「脳筋だ……」


『まぁでもお主の考え方よりは良いだろう』


「たいして変わりませんよ……」


『だが我はやられる前にやる、というやり方はしておらん。そこの差だ』


「……ぐうの音も出ないです……」


『もっと周りも見ろ。気をさぐれ、魔力を感じろ、よく言うだろ? 考えるな感じろ、と』


「そんなの今の僕にできませんよ!?」


『じゃあまずはそこからだ。それが出来なければ我はお主とは組手はせん。良いな?』


「えぇ!? 具体的にはどんな訓練を……」


『我が魔法を放つ。それを目隠ししたジンが避ける。簡単だろ?』


「そんなの怖すぎるでしょ!? 下手したら死んじゃいますよ僕!?」


『そこは安心しろ。威力は極力抑えるからな!』


「何でサムズアップしてるんですか……信用なさすぎるでしょ……」


『まぁ課題ができた事は良かったじゃないか、これならただこうやって闘うだけの日々を過ごさなくて済む。良いじゃないか。な?』


「まぁそうですね。僕の欠点が見つかる事はいい事です。じゃあ午後はその訓練をしましょう」


『わかった。あ、念の為に言っておくが、一回も避ける事が出来なかったら夕飯抜きだぞ?』


「えぇ!? それは本当にですか!?」


『あぁ。じゃなきゃ面白くないだろ?』


「面白くないだろ? じゃないですよ! 魔法で死ぬ前に餓死で死にますよ僕!?」


『安心しろ。水は飲ませてやるからな?』


「いやだぁぁあ!?」


 その後、ジンとレッドは一旦お昼休憩にする。汗でベトベトだったため、ジンは一度着替えて、その後に昼食とした。


 そして、レッドが『そろそろ始めるぞ。それと場所を変える。あそこは我の魔法では壊しかねん。だから移動するぞ』


「はーい……ん? まって、あの広い庭が壊れるって何? 威力抑えてくれるんですよねぇ?」


『抑えるとも。だけども庭はダメだ。もしもの時のために場所を変える』


「もしもの時のためってなんだ!? 僕嫌な予感しかしないんですけど!?」


『お主の信じる師匠を信じろ。我は嘘はつかぬからな!』


「もうすでに嘘くせぇ!!」


『よし、では訓練場へいざ参るぞ!』


「やる気満々だぁ……死にたくねぇ……」


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